今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

103 駿河台(東京都)・・・消えて行く人も記憶も駿河台

2007-11-29 22:18:09 | 東京(区部)
街にはおのずと表情が生まれ、時間の経過とともに「顔」となって定着する。時にはすぐ隣り合わせの街同士でも、ずいぶんと異なる顔つきになることがある。東京では例えば、日本橋と兜町を歩いてみればいい。大手銀行の、エリートサラリーマンがお行儀よく歩いている日本橋界隈から道を一本渡ると、ネクタイをだらしなく緩め、銜えタバコで目を落ち着かなく動かしている男たちが増える。相場師の街・兜町である。 ニューヨーク . . . 本文を読む
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102 膳所(滋賀県)・・・義仲寺の墓石を縫って亀が行く

2007-11-27 00:28:04 | 滋賀・京都
琵琶湖の水が瀬田川に流れ落ちるあたりの湖上に、水の出を抑える「栓」のような水城が築かれた。草津と大津を繋ぐ東海道の大津寄りの湖岸で、その一帯を膳所(ぜぜ)という。街道は今も生活道路として生きており、「湖魚佃煮」を売る店が並んでいたりする。そんな街道筋に、壬申の乱で敗れた大友皇子を祀る神社があったり、木曽義仲と松尾芭蕉の墓が並び建つ寺が史跡指定を受けていたりする。何やら「死」が身近である。 「膳 . . . 本文を読む
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101 台場(東京都)・・・寒々とビルの墓場かお台場は

2007-11-23 00:26:38 | 東京(区部)
黒船襲来にあわてた徳川幕府が、江戸湾に急遽築いた「大砲台場」が、今では現代建築の展示場のようになって臨海副都心を名乗っている。ガラスとサッシの、冷え冷えとしたビル街を縫って、無人の「ゆりかもめ」が走り抜けて行く。かつて手塚治虫が描いた未来都市が、現実となってここに出現したような思いにならないでもないけれど、もしこれが未来の街の姿だとしたら、私は「未来」になど行きたくはない。 新橋を出発した「新 . . . 本文を読む
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100 近江八幡(滋賀県)・・・「紫野」湖国の光満ち満ちて

2007-11-15 21:43:23 | 滋賀・京都
「日本一おいしいと思うから・・・」と講釈つきでいただいたバウムクーヘンは、香り豊かで甘過ぎず、確かに実にうまかった。製造元を確認すると、滋賀県近江八幡市の和菓子屋さんだという。最初は地方都市の、小さな世界で評判を取る店に過ぎなかったのだろうが、やがて東京の百貨店に進出するまでになる。それほどの味が、どのような街から生まれたのか知りたくなって、それ以来、そこは「行ってみたい街」になった。 近江八 . . . 本文を読む
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099 大津(滋賀県)・・・湖は都のガヤガヤ遠くして

2007-11-13 10:25:50 | 滋賀・京都
大津へは、京都駅からJRに揺られて到着した。その間わずか1駅、所要時間は9分であった。隣接する府県の中心都市が、これほど近接して存在している例は他にないのではないか。これでは大津は「志賀の都」というよりも、むしろ「京の都」の裏庭ではないか。滋賀県の県庁は、なぜ大津に置かれたのだろう。地理的なバランスを考えたら、彦根あたりこそ適地と思うのだが、いろいろな事情があったのであろう。   大津は琵琶湖の . . . 本文を読む
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098 布田(東京都)・・・鬼太郎が徘徊している商店街

2007-11-07 20:50:23 | 東京(都下)
東京都下の調布市に「布田」という土地がある。江戸時代には「布田五宿」と呼び習わされた甲州街道の宿場町で、布田のほか国領や石原といった、今も残る地名に細々と旅籠が軒を連ねていたらしい。布田はその中心で、遊郭もある退廃的地域だった。そのせいか五宿の総鎮守である布多天神社界隈には「ゲゲゲの鬼太郎」一族がたむろしていて、それが妙に街に溶け込んでいる。ブーツよりも下駄が似合う街なのである。 京王線調布駅 . . . 本文を読む
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097 京都(京都府)・・・羨望と嫌悪を浴びて「お出でやす」

2007-11-06 23:21:13 | 滋賀・京都
京都は特別な街だ。「日本的」と呼ばれる文化が、これほど凝縮している街は他にないし、この街を素通りして「雅び」を語ることはできない。それほど京は、「私たちの国」にとって特別な存在である。だから市民生活の便はさておいて、京都にはその「特別さ」を維持し、さらに磨きをかけて欲しいと田舎者(私)は思う。行政は建造物の高さを制限し、広告の色や仕様も規制する動きを強めているらしい。田舎者は大賛成である。 こ . . . 本文を読む
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