今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

219 道後(愛媛県)・・・神の湯で足を伸ばせば眠くなり

2009-05-31 13:28:41 | 愛媛・高知
松山に行くにあたって、案内を買って出てくれたW君に「道後温泉にたっぷり浸かりたいものだ」と、当然そうなるだろうと考えて連絡した。とたんに「あんな所は詰まらん」と却下されてしまった。これでは日本最古(本当かな?)の温泉に入りそびれてしまうかもしれないと慌て、松山に着くや、待ち合わせの前に急ぎ出かけることにした。太宰府に向かう万葉人さえわざわざ寄り道した温泉だ、一度くらいは入っておくことが、地主神へ . . . 本文を読む
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218 松山(愛媛県)・・・ゆるゆるとおくれんかなもし松山は

2009-05-30 00:05:09 | 愛媛・高知
すでに還暦を過ぎたというのに、足を踏み入れたことのない土地が二つもある。47の都道府県で愛媛県と香川県だ。なぜ未だ行く機会がないのかと腹を立てていたところ、松山に行くことになった。かねて関心の街である、張り切らないはずがない。《坊ちゃん》なら「馬鹿にしていらあ」と啖呵を切るであろうほどあっけなく、飛行機は瀬戸内の島々をグーンと回り込んで着陸した。夜には学生時代のゼミ仲間と飲むことになっている。 . . . 本文を読む
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217 藤枝(静岡県)・・・藤の香にむせるがごとし東海道

2009-05-29 15:35:47 | 静岡・山梨
池波正太郎が創出した仕掛人・藤枝梅安は、江戸の鍼灸師にして悪人の始末をカネで請け負う殺し屋である。その姓をどうするか、考えあぐねた作家は東海道五十三次の宿場一覧を眺め、・・・駿府・鞠子・岡部と辿って藤枝に至り、「これだ!」と膝を打ったのだという。殺し屋の出生地とされたことが街にとってよかったのかどうかは知らないが、街の名が一段とポピュラーになったことは確かであろう。実際は「閑寂」という表現が似合 . . . 本文を読む
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216 福岡(福岡県)・・・恵まれた街は桜を敷き延べて

2009-05-28 11:09:08 | 山口・福岡
全国に先駆けて福岡で桜が開花したというニュースが、今年の桜前線の変調を伺わせていた。しかしおかげで福岡入りした3月下旬、街はちょうど満開を迎えていて、福岡城公園からの眺めは、ビル群がピンクの海に浮かんでいるかのように見事だった。街には、もともと好条件に恵まれている「祝福された地」と、悪条件を克服して暮らしの場に創り変えた「刻苦の地」があるように思えてならない。福岡は、そのどちらであろうか? 魏 . . . 本文を読む
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215 志賀島(福岡県)・・・元寇も眠り破れず金印は

2009-05-26 21:00:46 | 山口・福岡
空港としては最も市街地に近い、つまり最も便利な空港であろう福岡空港に、博多湾上空から着陸態勢に入るとき、羽田からの便はおおむね、小さな島の上を通過する。やや歪んだ円形の平坦な緑の島が、細々と延びる砂州で辛うじて陸地に続いている。あの「金印」の志賀島である。博多で少々時間が空いたので、JRを乗り継いで出かけてみる。ゆかしくも「海ノ中道」と名の付いた、細々とした砂州を渡ってみたかったのである。 西 . . . 本文を読む
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214 門司(福岡県)・・・関門は僅か5分の双子なり

2009-05-19 20:54:00 | 山口・福岡
米国にTwin townと呼ばれる街がある。ミネソタ州のミネアポリス市とセント・ポール市のことで、両市はまるで一つの街であるかのように市街地が続く双子の街なのだ。そのことが大リーグMinnesota Twinsのチーム名の由来だと、ずいぶん昔に訪問した際に教えられた。門司と下関も海峡を挟んでいるとはいえ、まるでTwin townだな、と思った。ただ街のニオイが、下関は漁業、門司は工業の違いがある . . . 本文を読む
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213 下関(山口県)・・・フクよりも味わい深き歴史あり

2009-05-10 20:50:11 | 山口・福岡
下関で何に驚いたかといえば、関門海峡の幅の余りに狭いことだった。以前、歩いて門司へと渡ったことがあるのだから、そんなことは承知しているはずだったのだけれど、改めて赤間神宮前の岸壁から、手を延ばせば届くような門司の街を眺めていると、二つの街の関係に思いが広がって見飽きない。そして海面が波ではなく、縞を描いて流れていることに気づき、その流れに逆らって進む船の、喘ぎながら行く様子が物珍しいのだった。 . . . 本文を読む
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212 青森(青森県)・・・縄文もねぶたも今は雪の下

2009-05-08 00:51:13 | 青森・秋田
八戸で新幹線を降り、在来線の特急に乗り継ぐと間もなく、車窓が吹雪で乱れてきた。春の雪ではあるけれど、陸奥の大地はまだ冬眠中のようだ。そうやって1時間、落日前の青森に着いた。鉄路は行き止まって大きく折られ、終わる。くたびれた旅人が吐き出される終着駅は、これからにときめく人々が集まって来る始発駅でもある。終日落ち着かないターミナルを、私はそそくさと後にする。街にも雪が残っていた。 「青森ねぶた」を . . . 本文を読む
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211 八戸(青森県)・・・南部とはここをねじょうに駒進め

2009-05-07 16:28:24 | 青森・秋田
港に行く時間のゆとりがなかったから、八戸の真髄に触れないまま帰って来たのかもしれない。しかしイカは食べた。デパートや銀行が並ぶ通りから折れた横町に、おばさんたちが海産物を売る露店が並んでいて、そこでイカ焼きを売っていたのだ。私の好物のイカの、日本一の水揚げ港が八戸である。しかし市街地は港からかなり内陸に入った高台にあるようで、まずまずの賑わいである繁華街はおしゃれで、港町の雰囲気には遠い。 八 . . . 本文を読む
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210 盛岡(岩手県)・・・不来方の空蒼くして身を塞ぐ

2009-05-06 22:40:22 | 岩手・宮城
寂寥感などと書くと、いささか気取った言い回しになって気恥ずかしいのだが、盛岡の街を歩きながら、しだいに膨らんで来るその種の感情に戸惑い、困惑した。街の様子が貧相で侘しいというわけではない。人口30万人ほどの、県都としては規模の小さな街ではあるけれど、盛岡は寡黙ながら、南部20万石の歴史を沈潜させたいい街なのだ。ところが駅に降り、駅西側の総ガラス張りのビルに入って、そうした想いが募って来たのである . . . 本文を読む
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