今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

1159 首里(沖縄県)闇深く花咲き乱れ琉球の空

2024-03-04 08:44:37 | 沖縄
再建中の首里城に行く。焼失した正殿などは大きな覆屋が組まれ、2026年のお披露目を目標に工事が進められている。標高140メートルほどの首里の丘に建つ城跡は、実に見晴らしがいい。全国的に暖冬だとはいえ、5日間滞在して名護市の路傍でヒマワリを眺め、読谷村で満開のコスモスに埋もれた。陽光の沖縄は、色が溢れて旅人の季節感を狂わせる。だが島は、基地問題だけでなく、根深い問題を抱えている。隅々まで蔓延る「貧困」である。 . . . 本文を読む
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1158 北谷(沖縄県)北谷から宜野湾へ芸術を歩く

2024-03-03 09:54:45 | 沖縄
沖縄に名嘉睦稔(なか・ぼくねん)という版画家がいることは知っていた。2000年の九州・沖縄サミットでも、その作品は広報用に活躍していた。何とか作品に対面したいものだと思い続けて、ようやく北谷町のボクネン美術館を訪ねることができた。幸い展示室は私と妻だけ。作品から作品へゆっくり歩く。そして大作『大礁円環』で足を止める。私は無数の魚たちに誘われ、いつの間にか沖縄の海中を散歩している。その没入姿を妻が写真に撮る。 . . . 本文を読む
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1157 読谷(沖縄県)私好みの「やちむん」を訪ねる

2024-02-29 14:46:11 | 沖縄
読谷村(よみたんそん)は沖縄本島中部の東シナ海に面し、全国の「村」で最も多い41634人が暮らす。座喜味城跡や残波ビーチといった豊かな歴史と美しい風光の村だが、沖縄戦では米軍の最初の上陸地になり、集団自決など多くの住民が命を落とす悲劇の村であった。敗戦で村の95%が米軍に接収され、現在も東部を嘉手納弾薬庫が占めるなど36%が基地のままだ。それでも村民は村づくりの目標に「いちゅいゆんたんざ」を掲げている。 . . . 本文を読む
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1156 本部(沖縄県)フクギを抜けるとエメラルドグリーン

2024-02-25 16:39:30 | 沖縄
沖縄には「樹」を眺める楽しみがある。土地の人にはごく見慣れた風景であろうが、北の人間にとっては枝の広がりや気根の荒々しさなど、自由奔放としか言いようのない亜熱帯の樹木は見上げていて飽きない。見つめ過ぎると、枝が人の腕のように動き出して、捕らえられそうな怖い錯覚に襲われる。例えば本部半島先端の備瀬崎の、遠浅の海に沿って延びる備瀬集落は、すべての家々がフクギに埋もれ、集落全体が濃密な緑に絡め取られている。 . . . 本文を読む
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1155 今帰仁(沖縄県)やんばるの歴史を語る今帰仁城

2024-02-24 19:37:21 | 沖縄
沖縄に「やんばる」という地域名がある。沖縄本島北部の緑豊かな森林地帯のことで、「やんばる国立公園」が広がる本島最北部の国頭村など三つの村を「やんばる3村」と呼ぶ。ただもっと広く、名護市以北の、東シナ海に大きく突き出している本部(もとぶ)半島一帯も含めて呼ぶこともあり、そのエリアは、14世紀ころの古代琉球・三山鼎立時代の「北山」にほぼ重なる。「中山」「南山」に対抗した北山王の拠点が、今帰仁(なきじん)城であった。 . . . 本文を読む
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1154 名護(沖縄県)市庁舎の日陰に入り海風当たる

2024-02-22 17:08:03 | 沖縄
名護市部瀬名の万国津梁館などを会場にして、九州・沖縄サミットが開催されたのは2000年7月だった。私はその直前、ブセナのホテルに滞在して周辺を見て回った。名護市役所では市長さんに会い、米軍普天間基地の移設先として国が求める辺野古沖について、賛否が割れる市民の様子を訊いた。そのあと辺野古岬を望む展望ポイントに案内され、ジュゴンの海の対岸に広がるキャンプ・シュワブを確認した。それが私の「初めての沖縄」だった。 . . . 本文を読む
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1153 那覇(沖縄県)コロナ乗り越え国際通りは人の波

2024-02-21 09:25:28 | 沖縄
日中はさほどの人出とも見えないのに、暮れなずむころになると「どこから湧いて来るのか」と思うほど通りは雑踏となる。那覇の国際通り。牧志市場界隈で連日、私もその一人になる。ほとんどが海外からの観光客と見受けられ、たまに修学旅行の高校生らが交わす日本語の会話が耳に入って来るとホッとする。「2月は今や繁忙期ですよ」とタクシー運転手さんはご機嫌である。コロナ禍を脱し、沖縄はようやく賑わいを取り戻したのだろうか。 . . . 本文を読む
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132 竹富島(沖縄県)・・・南国の光溢れて陰深し

2008-04-23 11:02:46 | 沖縄
砂というより、石灰か小麦粉のパウダーの上を歩いているような気分だった。竹富島のコンドイ浜は、砂浜と遠浅の海が白と水色に輝き、よく知る海辺とは別種の自然に見えた。そのうえ4月上旬とはとても思えない陽気で、子どもたちは海水浴、大人たちは大潮の恵みで遙か沖合いまで歩き、モズク採りを楽しんでいる。360度、1点の翳りもない世界で、アダンの陰に日差しを逃れた。田中一村の気分である。 八重山列島のうちの、 . . . 本文を読む
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131 石垣島(沖縄県)・・・八重山のサンゴ礁にて昼寝する

2008-04-20 23:40:54 | 沖縄
島の観光案内によれば、「石垣随一の景勝地」だという川平(かびら)湾から船は出港し、米原ビーチの沖合いに停泊した。ところが乗り合わせたダイバーたちは、潜水のできない私一人を置き去りにして、船長を先頭にさっさとサンゴ観察に潜ってしまった。4月になったばかりなのに気温は28度。薄い雲が程よく日差しを遮り、紺碧の東シナ海を渡ってくる微風が肌をなでる。微かな揺れの中で、私は午睡を決め込んだ。 鹿児島から . . . 本文を読む
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017 久高島(沖縄県)・・・サンシンの島晴れやかに旧正月

2007-02-22 20:29:58 | 沖縄
那覇での所用を終え、半日ほど時間が空いた。地図を睨んでいると「知念」という地名が目に入った。バスに飛び乗り1時間ほど揺られると、世界遺産・斎場御嶽(せいふぁうたき)に着いた。沖縄本島南部の東端に突き出した、半島のようなところにある知念村(現・南城市)の、太平洋を見晴らす丘の森の中である。私ははからずも、琉球王国の聖地に踏み入ることとなったのである。 「斎場=せいふぁ」とは特別に霊威の高い場所の . . . 本文を読む
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016 首里(沖縄県)・・・南国の光が生むか深き闇

2007-02-21 20:15:33 | 沖縄
原色の花々が咲き乱れる沖縄本島に3日間滞在し、二つの経済指標と一度の轟音を耳にした。経済指標は沖縄の観光収入と失業率についてであり、轟音はハワイから飛来したステルス戦闘機F22の編隊であった。2月だというのに23度と汗ばむ陽気の常夏の楽園は、日差しが強いだけ影も濃いのであろうか。 2月は観光・沖縄としてはシーズン・オフである。それでも羽田からの便はすべてジャンボ機であり、那覇の国際通りは週末ら . . . 本文を読む
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