日本の歴史に「佐渡」が登場するのは、日本書紀の欽明天皇5年の記述だというから、西暦544年と古い。「新潟」などという新しい地名は、古さでは足下にも及ばない。「12月の越の国からの報告によれば、佐渡の北の御名部の崎に粛慎(みしはせ)人が船でやって来て停泊し、漁をしている。島民は、あれは鬼だといって近づかないようにしている」という記事で、さぞや都を驚かせたのだろう。ところでこの《御名部》とは佐渡のどこか? . . . 本文を読む
佐渡は新潟市の沖合67キロに浮かぶ日本海の離島である。面積は855.41平方キロあって、北方領土や沖縄本島を除けば日本で最も大きな島だ。子供のころ「日本で唯一の自給自足できる島」だと教わった豊かな島は、昭和30年には12万7530人の暮らしがあった。だが人口は、今は6万1000人にまで減ったという。新潟市で育った私にとって佐渡は、夕日を浴びながら眺める水平線の長い山陵であった。その佐渡を再訪した。 . . . 本文を読む