今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

275 桂浜(高知県)・・・太平洋見据える先はアメリカか

2010-03-29 15:30:51 | 愛媛・高知
空の玄関を「龍馬空港」と自称するほどの、毎日が「龍馬デー」といった具合の高知だが、11月はその誕生日と命日が重なっているということで、さらに特別な「龍馬月間」なのだそうだ。そこでこの間、桂浜の龍馬像には足場が組まれ、龍馬と同じ目線で11月の太平洋が眺められる。私も100円を支払って10メートルほどの高みに登ってみると、同じレベルで見る龍馬の横顔は下から見上げるより厳しく、凛々しいのだった。 小 . . . 本文を読む
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274 鎌倉(神奈川県)・・・哀しみの磯を染めつつ日は没す

2010-03-27 10:14:42 | 埼玉・神奈川
文化の日はやはり特異日であるらしく、秋晴れの一日は見事な落日で終わろうとしている。浜辺の人々は足を停め、晩照にシルエットを浮かべて恋人と戯れ、あるいは子連れの幸せを噛み締めている。独り佇むのは、私だけではないか。いや、私にも「連れ」はいるのだ。今は近くのホテルで知人の結婚披露宴に出席している。鎌倉への案内役の私は、しばし時間を潰すため、暮れなずむ由比ケ浜にやって来て、この絶景を堪能している。 . . . 本文を読む
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273 比治山(広島県)・・・鶯の口の先なり52万戸

2010-03-23 10:11:51 | 岡山・広島
街を見晴るかす日だまりで老人が二人、心地よさそうに会話を続けている。市街地の先は遠く港の重機が林立し、入り江は霞みながらもキラキラと陽を照り返している。梅の香が漂ってきたかと振り向くと、おびただしい石柱が並ぶ墓地であった。広島市の、平和記念公園から平和大通りをまっすぐ東へ、京橋川の先に丘が横たわっている。市民が憩う比治山(ひじやま)公園だ。その一角の小道を迷い込んだここは「陸軍墓地」であった。 . . . 本文を読む
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272 岡山(岡山県)・・・丹頂が舞う後楽の鄙びかな

2010-03-22 07:36:15 | 岡山・広島
『街道をゆく』の中で司馬遼太郎氏は「日本には都鄙の差別というのが基本としてある。古来、日本ほど首都の居住者を貴しとし、田舎をばかにしてきた国はない。世界にも類のなさそうな文化意識といっていい」と書いている。なぜそうした意識が根付いたかは分析されていないが、その指摘は当たっていると私も思う。だから「岡山は鄙びた街だ」などと書くと誤解されそうで気になるのだが、岡山の街を歩いての印象はそうであったのだ . . . 本文を読む
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271 置賜(山形県)・・・雪原をとぼとぼ行けばアルカディア

2010-03-21 08:09:43 | 山形・福島
「歩くのは無理だべ」という土地人の警告を無視して駅に向かうことにしたのだが、カリンの果樹園が点在する原は雪に埋もれ、風を遮る何物もない道が一本、延びているだけだ。たまに通りかかる車は、妖しげな雪だるま状態の私を避けるように走り去って行く。横殴りの雪がしだいに厳しくなっていささか心細い。鎮守の森らしい樹叢が近づいて来たが、雪宿りするにも通じる道が埋もれている。山形県は東置賜郡の高畠町で、私は独りだ . . . 本文を読む
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270 小樽(北海道)・・・文学があれば心は温まる

2010-03-02 09:31:12 | 北海道
雪の小樽を訪ねた。観光名所の運河は中国人観光客でにぎわっていたし、冬の寿司ネタが素晴らしいことは私自身が確認した。しかし書いておきたいのは「文学館」のことだ。小樽駅からまっすぐ港へ延びる「中央通り」の南側を、平行して下って行く大通りは「日銀通り」と呼ばれ、港湾経済華やかなりしころの街の風格を留めている。そのなかほどの旧日銀支店と、通りを挟んで向き合う建物に小樽文学館がある。 古いビルを再利用し . . . 本文を読む
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