オアフ島南部の中心域に、内陸へ大きく広がる入江がある。パールハーバーだ。日米の歴史で忘れてはならない「真珠湾」である。日本時間1941年12月8日未明、ここは12月7日、日曜日の穏やかに晴れた午前8時前だった。島の北西から侵入してきた日本の大編隊が、停泊中の米艦船に襲いかかった。写真上空の、青空部分からだったかもしれない。写真奥には、1177人の兵士と共に撃沈された戦艦アリゾナの、白いMemorialが見える。
オアフ島のダニエル・K・イノウエ国際空港は、パールハーバーのヒッカム統合基地に併設されているので、羽田から7時間余をかけてやって来るハワイの旅は、真珠湾の全域を鳥瞰することから始まる。私が生まれる前の戦闘ではあるけれど、日本人としては様々な思いが湧いて来る。それは米国人も同様であろう。現在は海軍太平洋艦隊の司令部や空軍の基地が置かれる、米国の巨大軍事拠点だ。市街地に近い入江の、中央には島が浮かんでいる。
1895年、米国はハワイ共和国を併合、ハワイ準州とする。1778年の英国人キャプテン・クックの「発見」により、白人社会ではサンドイッチ諸島と呼ばれるようになっていたハワイは、カメハメハ1世によってハワイ王国として統一された。しかし英・仏などの領有争いが続き、結局、米国はハワイ王国を滅亡に追い込む。米国が強引にハワイ併合に進んだのは、それほど太平洋におけるハワイの位置の重要性を「再発見」したからだった。
国立公園局が管理するパールハーバー国立記念館の入場予約者たちなのだろう、ナショナルメモリアルの入り口には列ができている。だが私はフェンスの外から眺めるだけにした。なんとも気が重いのである。映画『地上より永遠に』を観たのは中学生のころだったかもしれない。映画の人間模様はほとんど記憶に残らなかったものの、緩んだ気分の日曜日の基地に、突然、空襲警報が鳴り響いた際の緊張は忘れられない。戦争の愚かしさである。
基地の近くで制服姿の兵士たちを見かける。市民たちと談笑しながら行く光景は、平和そのものだ。しかし自己の論理でウクライナ侵攻に踏み切るロシアのような国がある限り、抑止力は不可欠だと考えるのも現実であろう。人類はまだこの程度の愚かしい段階にあるのだ。ただそうした中であればこそ、戦争放棄を国是としている日本人は、どんなに困難であってもそのことに誇りを持ち、世界の国の手本になる覚悟を捨ててはならないと信じる。
ホノルル市街の後背地に「パンチボウル」と呼ばれる火口跡がある。ダイヤモンドヘッドをやや小さく丸くしたような姿をしている。カメハメハがハワイを統一した際の古戦場だそうだが、現在は国立太平洋記念墓地として、第二次大戦後の合衆国戦没兵士の墓が並んでいる。日本人移民2世の若者の多くが米国社会に溶け込もうと兵役志願したと言われ、墓地で眠っている。プルメリアやモンキーポッドが枝を広げ、涼やかな木蔭を作る奥津城である。
ハワイ州の公用語はハワイ語と英語で、空港の案内もまずハワイ語で伝えられる。しかしポリネシア語族のハワイ語は消滅の危機にあるそうで、ハワイ大学での研究・普及活動などが期待されている。州も「先住民に血が繋がる市民だけが居住できる宅地」の開発を進めるなど、先住民文化の保護が意識されているようだ。ポリネシア人のルーツは台湾先住民だという。ハワイは軍事ではなく、太平洋文化の発展拠点になってほしいものだ。(2024.6.30)
オアフ島のダニエル・K・イノウエ国際空港は、パールハーバーのヒッカム統合基地に併設されているので、羽田から7時間余をかけてやって来るハワイの旅は、真珠湾の全域を鳥瞰することから始まる。私が生まれる前の戦闘ではあるけれど、日本人としては様々な思いが湧いて来る。それは米国人も同様であろう。現在は海軍太平洋艦隊の司令部や空軍の基地が置かれる、米国の巨大軍事拠点だ。市街地に近い入江の、中央には島が浮かんでいる。
1895年、米国はハワイ共和国を併合、ハワイ準州とする。1778年の英国人キャプテン・クックの「発見」により、白人社会ではサンドイッチ諸島と呼ばれるようになっていたハワイは、カメハメハ1世によってハワイ王国として統一された。しかし英・仏などの領有争いが続き、結局、米国はハワイ王国を滅亡に追い込む。米国が強引にハワイ併合に進んだのは、それほど太平洋におけるハワイの位置の重要性を「再発見」したからだった。
国立公園局が管理するパールハーバー国立記念館の入場予約者たちなのだろう、ナショナルメモリアルの入り口には列ができている。だが私はフェンスの外から眺めるだけにした。なんとも気が重いのである。映画『地上より永遠に』を観たのは中学生のころだったかもしれない。映画の人間模様はほとんど記憶に残らなかったものの、緩んだ気分の日曜日の基地に、突然、空襲警報が鳴り響いた際の緊張は忘れられない。戦争の愚かしさである。
基地の近くで制服姿の兵士たちを見かける。市民たちと談笑しながら行く光景は、平和そのものだ。しかし自己の論理でウクライナ侵攻に踏み切るロシアのような国がある限り、抑止力は不可欠だと考えるのも現実であろう。人類はまだこの程度の愚かしい段階にあるのだ。ただそうした中であればこそ、戦争放棄を国是としている日本人は、どんなに困難であってもそのことに誇りを持ち、世界の国の手本になる覚悟を捨ててはならないと信じる。
ホノルル市街の後背地に「パンチボウル」と呼ばれる火口跡がある。ダイヤモンドヘッドをやや小さく丸くしたような姿をしている。カメハメハがハワイを統一した際の古戦場だそうだが、現在は国立太平洋記念墓地として、第二次大戦後の合衆国戦没兵士の墓が並んでいる。日本人移民2世の若者の多くが米国社会に溶け込もうと兵役志願したと言われ、墓地で眠っている。プルメリアやモンキーポッドが枝を広げ、涼やかな木蔭を作る奥津城である。
ハワイ州の公用語はハワイ語と英語で、空港の案内もまずハワイ語で伝えられる。しかしポリネシア語族のハワイ語は消滅の危機にあるそうで、ハワイ大学での研究・普及活動などが期待されている。州も「先住民に血が繋がる市民だけが居住できる宅地」の開発を進めるなど、先住民文化の保護が意識されているようだ。ポリネシア人のルーツは台湾先住民だという。ハワイは軍事ではなく、太平洋文化の発展拠点になってほしいものだ。(2024.6.30)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます