今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

706 佐渡⑦(新潟県)新しい佐渡は綺麗で美味しくて

2016-06-19 10:51:25 | 新潟・長野
私は朱鷺を見た。大空を舞うトキを。旅の最終日、ホテルで早朝の真野湾を眺めていると、ツガイなのだろう、大きな2羽が海上を戯れ飛んでいる。逆光になって色は識別できないものの、ゆったりとした羽の動きはトキに違いない。「トキだ、朱鷺だ!」と叫んでいるうちに、2羽はこちらに回り込んで来て、住宅地の裏山方面へ消えて行った。ホテルの人は「トキもあり得ますね」と微妙な言い方をする。本当にトキだったのだろうか。 . . . 本文を読む
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705 佐渡⑥(新潟県)優しさが島の心根クレマチス

2016-06-18 06:00:00 | 新潟・長野
大佐渡と小佐渡に挟まれた佐渡市泉あたりをドライブしていると、海が見えないものだから、島にいることを忘れそうになる。向こうに霞む峰に、自衛隊の大きな白いレーダー基地が建っていることに気がついて「ああ、あれが金北山か」と、改めて佐渡を意識する。あまりに長閑な田園風景に「隠居生活には最適な土地だな」などと羨んでみる。しかし順徳上皇にとっては、ただ寂しいだけの鄙の地だったのだろう、などと偲んでもみる。 . . . 本文を読む
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704 佐渡⑤(新潟県)営々と能と手仕事守られて

2016-06-17 11:45:04 | 新潟・長野
佐渡を「佐渡」たらしめているのは、トキや金山もさることながら、島で守られ発展して来た伝統芸能や工芸の数々なのではないだろうか。陶芸や彫金、竹細工など、佐渡工芸の水準は極めて高い。金山労働者の作業着がルーツらしい裂き織りも、「佐渡裂織」としてその仲間に加わろうとしている。芸能になると私はまだ触れる機会がないものの、田植えを終え、島は能のシーズンに入ったようだ。こうした伝統が、佐渡の空気を醸している。 . . . 本文を読む
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703 佐渡④(新潟県)特産を摘蕾で産むおけさ柿

2016-06-16 14:18:50 | 新潟・長野
天保11年(1840年)といっても、今から高々176年の昔に過ぎない。佐渡奉行に任命された川路聖謨は、江戸・板橋を出立して越後・寺泊から佐渡・赤泊に渡り、相川に着任した。奉行所に落ち着いた本人は「よき眺めなり」と満足げだが、14日間の旅だった。一方、私たちは午前7時半に東京・三鷹を出発、新幹線と高速船を乗り継いで5時間で佐渡の土を踏んだ。176年とは、これほどの変化をもたらすものか。大した進化である。 . . . 本文を読む
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702 佐渡③(新潟県)穴穿つ金の筋へと穴穿つ

2016-06-15 16:08:48 | 新潟・長野
佐渡は「日本の海岸地形が全てそろっている島」だというが、ただの島ではない。黄金の島であったことはご存知の通り。300万年前、日本海の海底隆起が始まり、一部は2000mも盛り上がって佐渡ヶ島を造った。そのとき隆起した岩盤に、3000万年前の火山活動が形成した金銀鉱床が含まれていたのは奇跡であろう。この生まれながらの「金の島」が、388年間の採掘で提供した金の量は、砂金などを別にしても78トンにのぼる。 . . . 本文を読む
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701 佐渡②(新潟県)この島を丸ごとどうだジオパーク

2016-06-14 16:48:25 | 新潟・長野
佐渡は花に埋もれているだけでなく、大地そのものが尽きない興味を秘めているらしい。金や銀を豊富に埋蔵していた宝の島は、地球の生成についても饒舌に語っているようなのだ。その貴重さを知る人たちが「佐渡ジオパーク推進協議会」を結成、佐渡島を「世界ジオパーク」に認定してもらおうと活動を展開している。地図と写真のパンフレットが用意され、島内のポイントには解説板も設置されている。しばし地球の営みを聴いてみよう。 . . . 本文を読む
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700 佐渡①(新潟県)カンゾウにイワユリヒヨコ花の島

2016-06-07 16:52:07 | 新潟・長野
春から夏にかけて、佐渡は花の島になる。日に日に濃さを増す新緑に、黄、橙、白、紫と彩りが加わり、爽快かつ贅沢な点描が生まれる。しかも四囲の海は「のたり」と鎮まり、蒼穹は澄んで眩しいほどである。だから「佐渡に行ってみたい」と家人に求められれば、私にとっては3年前と同じ季節になるとはいえ、やはりこの機を選ぶことになる。新潟港から1時間5分、「もう着いたか」と驚かせるスピードで、高速船は両津港に着岸した。 . . . 本文を読む
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