今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

096 飛鳥(奈良県)・・・飛ぶ鳥の里には今日も萩の花

2007-10-27 15:58:04 | 奈良・和歌山
奈良県明日香村に飛鳥という「字」がある。村の北部地域の、飛鳥寺(安居院)や飛鳥坐神社の所在地である。写真(上)はその飛鳥集落を、西の甘樫丘から俯瞰したもので、右端の大屋根が飛鳥寺、左奥の森が飛鳥坐神社である。道は、神社の手前で南北の道路と交錯し、やや変則な「辻」を形成している。勝手ながら私はここを「飛鳥の辻」と名付け、飛鳥を考える際の基点にしている。私の飛鳥は、この辻から始まるのである。 坐神 . . . 本文を読む
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095 明日香(奈良県)・・・この地より国肇まりていま長閑

2007-10-21 22:24:42 | 奈良・和歌山
澄み切った日の空は眩しくて、蒼というより深い藍色に見えることがある。その日もそんな空が広がっていて、トビが一羽、ピューヒュルルと鳴いて輪を画いていた。他に耳に触れる音といえば、微かな風のそよぎくらいだろうか。涼やかな空気の塊が足下から吹き上げて来て、そのまま私を通り抜けて行く。多武峰(とうのみね)山腹のテラス状の台地に座り、私は「まほろば」と称えられた大和の国見を続けているのである。 多武峰は . . . 本文を読む
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094 故宮(台湾)・・・珍宝を一目見ようと押しかけて

2007-10-20 10:52:49 | 海外
清王朝にとって「故宮」といえば北京・紫禁城のこととなるのだろうが、今日では台北の故宮博物院を指すと考えた方が手っ取り早い。日本の侵略以来、中国各地を転々と疎開した財宝は、最終的には逸品60万点が精選され台湾に運ばれた。以来、台湾最大の観光資源となった。公開されているのはそのホンの一部に過ぎないが、「故宮」館内は観光客でごった返している。交わされる言葉のほとんどが日本語である。 「故宮」はすっか . . . 本文を読む
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093 淡水(台湾)・・・淡水で叫べば日本に届きそう

2007-10-18 11:24:15 | 海外
台北市内を南北に貫く淡水河が、台湾島のほぼ最北端で東シナ海に注ぐ河口の街が「淡水(Danshui)」である。地下鉄の開通で台北中心部とは1時間足らずで結ばれ、休日ともなれば若者のデートスポットとして大変な賑わいらしい。とはいえ私たちが出かけた日曜の朝、台風「柯羅莎」の余韻はまだ続いていて、市民は行楽どころではないようだった。淡水河もその名の優雅さとは裏腹に、濁流が渦巻いてしぶきを上げているのだっ . . . 本文を読む
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092 台南(台湾)・・・麗しの歴史は哀し400年

2007-10-16 20:04:39 | 海外
台南(Tainan)は台湾の古都である。とはいってもその歴史は、せいぜい400年を遡る程度である。そもそも台湾の「歴史」は16世紀半ば、この海域を通りかかったポルトガル船の船員が「Ilha Formosa(おお、麗しき島よ)!」と叫んだときに始まる。それまでの長い時間、現在では高山族と呼ばれる多くの先住民の暮らしがあったはずなのだが、文字を持たず、統一政権もない歴史は抹消されるのが現代なのである . . . 本文を読む
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091 高雄(台湾)・・・マスク付け職場に向かうバイク群

2007-10-15 11:13:46 | 海外
台湾は日本の九州とほぼ同じくらいの大きさで、頭を北に向けて太平洋の西端にごろんと置かれたサツマイモのような形をしている。台北を福岡だとすれば、高雄(Kaohsiung)は鹿児島あたりに位置する街だ。人口150万人の、台湾第2の大都会である。写真は市西部の寿山公園から眺めた夜景で、右の光群は港と工業地帯、左の光帯は中心街へと続く道路だ。新幹線の開通で台北とは90分で結ばれ、街は一段と賑わっているら . . . 本文を読む
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090 台北(台湾)・・・豊かさが本物となる手前かな

2007-10-13 11:13:34 | 海外
22年ぶりに再訪した台北(Taipei)は、「今年最大級」という台風で出迎えてくれた。日本では「台風15号」、台湾では「柯羅莎(karosa)」と命名された大型台風は、台湾全土で9人の死者を出した。無謀な旅行者はそれでもチャーター車に乗って街に出たのだが、全ての公共施設は臨時休業、お目当ての龍山寺も固く門を閉ざしていた。ただ22年の時の経過が、街を大きく変えたことは車窓からでも伺えた。 市内の . . . 本文を読む
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089 仙台(宮城県)・・・ファッションに振り向きもせず欅道

2007-10-09 20:50:37 | 岩手・宮城
仙台は大きな街だ。人口が100万人を超える、東北屈指の大都会である。そのうえ「杜の都」と呼ばれる緑豊かな美しい街だ。仙台に行くたびにそのことを感じるのだが、もうひとつ、いつも思うことがある。それは街を行く人、特に女性のファッションが垢抜けないことへの驚きだ。目鼻立ちは致し方ないとしても、それをカバーするセンスは磨くことができるはずだ。なのに街の賑わいに比べ、街行く人々が野暮ったいことの不思議・・ . . . 本文を読む
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088 塩釜(宮城県)・・・塩釜は磯の香りとキンモクセイ

2007-10-08 10:58:32 | 岩手・宮城
威勢がいいだけの、殺伐とした漁師町なのだろう――などと、勝手にイメージして塩釜へと出かけた。しかし私がいかに浅はかであるかは、その街を歩き始めてたちまちのうちに思い知らされた。狭く、小さな街ではあるけれど、落ち着きがある。地方らしく、疲れた寂れがにじんでいるものの、街角には気品すら感じさせる佇まいがある。さすがに陸奥一ノ宮・塩竈神社の鎮座地である。木犀の香りが漂ってきた。 夕暮れ前のこと、JR . . . 本文を読む
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