今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

1166 芝山(千葉県)房総のご先祖様は埴輪顔

2024-05-16 12:28:37 | 茨城・千葉
「芝山町」の位置が知りたくて、銚子駅と千葉駅・船橋駅をそれぞれ直線で結んでみる。「房総半島の付け根」と言う場合、東端は銚子だろうが、西端がどこになるのか迷ったからだ。すると芝山町は、みごとにその2本のラインの中間位置に収まった。つまり「芝山町は房総半島付け根の真ん中」と言っていいのだろう。北総台地の南端が九十九里平野へと降っていくあたりの半島深部で、北側は成田空港が食い込み、町の中央を「はにわ道」が貫いている。 . . . 本文を読む
コメント

1165 銚子(千葉県)銚子のイワシは確かに美味い

2024-05-14 08:38:56 | 茨城・千葉
千葉駅午前6時30分発の総武本線各駅停車銚子行きは、パラパラと空席が残る程度の混み具合だった。佐倉で隣のボックス席が空になったので移ろうと腰を上げると、前方から小走りにやって来た小柄な女性が、手にした袋をサッと放り投げ、私を押し退けるようにして席を占めた。そして靴を脱ぐや両脚を前の座席にドサッと延ばし、残った席をコートやバッグで塞ぐ。おもむろに汚れた紙の束を取り出し、足元に並べて1枚1枚点検し始めた。 . . . 本文を読む
コメント

1164 屏風ヶ浦(千葉県)地球の鼓動を聴きながら赤はげ道

2024-05-12 22:02:32 | 茨城・千葉
日本中が快晴だというこの日、銚子市の屏風ヶ浦海岸は穏やかな潮風が吹き抜け、散歩者の気分を心地よく弾ませてくれる。剥き出しの地層が巨大な崖を形成し、10キロも太平洋と対峙して続くという屏風ヶ浦の景観を見に来た私は、崖下の遊歩道をゆっくり進みながら地球の歴史に耳を傾けている。だが聞こえてくるのは微かな潮騒くらいで、たまに名も知らぬ野鳥が飛んで来てチチッと鳴いて去って行く。地球の歴史は大きく余りに遠い。 . . . 本文を読む
コメント

1135 谷津(千葉県)薔薇一輪、干潟のほとり秋陽浴び

2023-11-05 16:28:14 | 茨城・千葉
この一輪に出会えただけで、今日はここまでやって来た甲斐があったと、いささか大仰な思いになるほど美しい薔薇である。快晴の陽を浴びる黄金の一輪は、程よく開花し切った瞬間にあり、どの花びらにもまだ一片のシミもない。秋バラが見ごろを迎えている「習志野市谷津バラ園」で、私はうっとりと立ち尽くしている。「世界のバラ800種類7500株」の園内は色彩と笑顔が溢れ、余りにうっとりしてしまった私は、品種名を確認し損ねた。 . . . 本文を読む
コメント

1134 津田沼(千葉県)長年の不明払いに津田沼へ

2023-11-04 17:05:12 | 茨城・千葉
東京・三鷹駅と千葉駅を結ぶJRの路線がある。車体の黄色いラインが目印の「中央総武線各駅停車」だ。私は三鷹に住んでいるのでよく利用するのだが、この呼称が正式な路線名かどうか、いまだ知らない。また「三鷹発津田沼行き」という電車が多いので、津田沼という駅名は馴染みがある。ところが津田沼は行ったことがないから知らない街だ。よく利用するのに知らないまま乗っているわけで、いつもモヤモヤした気分が残る電車なのである。 . . . 本文を読む
コメント

1080 古河(茨城県)渡良瀬の川のほとりに篆刻の美

2023-02-07 09:23:21 | 茨城・千葉
書に「篆刻(てんこく)」というジャンルがある。石に文字を刻み、印章とする「書と彫刻の融合」を目指す美術工芸だ。文字はもっぱら篆書体を用いるから篆刻と言う。古代中国からの長い歴史があり、優れた篆刻には文字の意味だけでなくその形、バランスに「えも言われぬ味」が生まれる。書画の落款として用いられるが、それ自体が作品として鑑賞の対象になる。その篆刻を集めた美術館が古河にあるというではないか。楽しみに出かけてみる。 . . . 本文を読む
コメント

1075 鹿島灘(茨城県)陽光の灘の向かいはモントレー

2022-12-20 17:38:17 | 茨城・千葉
「灘」とは「風波が荒く航海の困難な海」のことだそうで、海上保安庁の水路図誌には14ヶ所が挙げられているという。図誌に目を通したわけではないから正確なことは書けないけれど、「鹿島灘」は大洗岬から房総の犬吠埼までの、茨城県の海岸線の南半分ほどを言うらしい。 全国14の灘のうち、最も東かつ北に位している。私はその海を、大洗マリンタワーの60メートル上空から眺めている。「風波が荒く」など想像できない穏やかさだ。 . . . 本文を読む
コメント

1073 香取(千葉県)水郷は海だったのだよと鳥が舞い

2022-12-16 15:35:25 | 茨城・千葉
広大な関東平野を下った流水が集まり、海への出口を探っているあたりだから、あちこちに大きな「水溜り」が形成されるのは当然だったろう。長兄格が霞ヶ浦(西浦)だとすれば次男は北浦、そして末っ子が外浪逆浦(そとなさかうら)とでもなろうか。印旛、手賀、牛久などの沼々は従兄弟のようなものだ。いったん留まった膨大な水は、結局は利根本流に纏められ、銚子で太洋に注ぐ。人々は内海の入口に当たる南と北に神を祀り、世界の守りとした。 . . . 本文を読む
コメント

1072 成田(千葉県)お不動に行って来ますとジェット便

2022-12-14 11:13:48 | 茨城・千葉
駅から続く参道は歩道が拡張されつつあるようで、実に歩きやすい。ところが途中から狭くなって唐突に下り坂になる。気がつくと前方に、寺院の大屋根と丹塗りの塔の甍が望まれる。あれが成田山新勝寺であろう。参道の人波が増え始め、ずっと纏わりついている鰻を焼く匂いも濃さを増してきたようだ。江戸・葛飾で水戸街道から分かれ、市川や船橋の宿場を経由してきた成田街道は、佐倉の城下を経てようやく目的地にたどり着いたわけである。 . . . 本文を読む
コメント

1071 佐倉(千葉県)通勤の武士が行き交う古径なり

2022-12-11 09:06:42 | 茨城・千葉
「武家屋敷街」を残す旧城下町は、全国に結構ある。旅の記憶を巻き戻すと、横手、角館、毛馬内、新発田、金沢、篠山、唐津、竹田、飫肥、知覧など、地域に根付いた佇まいが次々と浮かんで来る。堀田家11万石の北総・佐倉にもそうした通りが残り、往時の生活そのままの屋敷が並んでいる。150年ほど遡れば、侍や家族が行き来していた道だ。「佐倉の原風景と文化を後世に伝える」ことを目的に、地元の人たちが心を込めて活動しているらしい。 . . . 本文を読む
コメント

1054 加曽利(千葉県)カソリとは何のことかと縄文さん

2022-09-11 09:14:39 | 茨城・千葉
社会人となって群馬に赴任したころだから、私は20代半ばだった。近くで縄文時代の遺跡が見つかったというので発掘現場を見に行った。そこは広大な台地上に、竪穴住居跡が重なり合って出土する集落跡だった。作業を指揮する調査員らに近づくと、「ほとんどカソリイーだな」「そうか、じゃあチューキか」などという会話が耳に届いたけれど、何のことかさっぱりわからない。だがやがて「こんな面白い世界があったのか」と気づいたのだった。 . . . 本文を読む
コメント

1053 佐倉(千葉県)北総の台地に積もる歴史と学問

2022-09-10 10:08:41 | 茨城・千葉
佐倉市のサイトによると、市は「千葉県北部、下総台地の中央部に位置し、都心からの距離は40キロ」なのだという。このエリアに疎い私には、大雑把に「成田空港の手前の街」と理解した方が早いようだ。城址を中心に武家屋敷が残る古い町並みと、東京や千葉のベッドタウンとして開発されたニュータウンで形成されているようで、17万人ほどが暮らす。私は「国立歴史民俗博物館がある街」として、かねて訪ねる機会を待っていたのである。 . . . 本文を読む
コメント

1002 土気(千葉県)外壁をのびのび伸ばし写実かな

2021-12-24 16:43:47 | 茨城・千葉
この建物を見たかった。空中に長く突き出した空洞は何なのだろう。なぜこのような造形が生まれたのか、内部はどんな空間になっているのだろうと、様々な想念が湧いてくる。写真で初めて知った際は「澄んだ空気の高原の、緑なす緩やかな斜面に建っている」イメージが浮かんだものだ。写実絵画を専門とする美術館だというが、その所蔵作品以上に「美術館」を見たいと思った。房総半島内陸の千葉市緑区あすみが丘にある「ホキ美術館」である。 . . . 本文を読む
コメント

1001 市原(千葉県)平安の気分晴れ晴れ更科姫

2021-12-20 10:26:21 | 茨城・千葉
わずか4日で市原を再訪したのは、房総里山芸術祭の帰り、五井駅前で「更級日記 旅立ちのまち」という大きな看板を見かけたからだ。そうだったかと高校時代の古文を思い出し、帰宅して市原市の地図を開いた。そして市役所の近くに上総国の国分寺と国分尼寺跡が残されていることを知った。更級日記の内容はほとんど覚えていないものの、国司の娘が綴った平安文学だと記憶している。だから「上総の平安時代」に行きたくなったのである。 . . . 本文を読む
コメント

1000 五井(千葉県)房総の野山分け入りコトコトと

2021-12-19 17:21:18 | 茨城・千葉
内房線の五井駅は、小湊鉄道の始発駅でもある。房総半島の中央部で、39キロの路線を営業する小さな鉄道会社だ。沿線の景観も含めた路線は「ちば文化遺産」に選定されているのだとかで、確かに里山を背景に行くディーゼル列車は美しい。五井駅を出ると程なく田園地帯に入り、車窓は「まだ首都圏の人口過密地帯だろう」という先入観を覆す。大正時代に計画された安房・小湊町に延伸しないまま終着駅になるけれど、それでも「小湊」鉄道と言う。 . . . 本文を読む
コメント