今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

797 フムレベック(デンマーク)

2017-11-15 07:00:00 | 海外
フムレベック(Humlebæk)がどのような街か知らないけれど、コペンハーゲンから特急電車に乗って北へ30分ほど、駅も駅前も小さく閑散として、いわゆる田舎町なのだろう。ところが乗客の多くがここで降り、みんなぞろぞろ同じ方向へ歩いて行く。どうやら私たちと目的地が同じらしい。この街には「世界一美しい」と讃えられるルイジアナ近代美術館があるのだ。心ゆくまで美術を楽しみたい人のためにある美術館なのだという。 . . . 本文を読む
コメント

796 コペンハーゲン③(デンマーク)

2017-11-14 07:00:00 | 海外
我が家の狭いリビングに鎮座しているのは、デンマーク家具の机だ。池袋の西武で見かけ、そのシンプルさが気に入って購入してもう20年ほどになる。デンマーク・デザインはどこか私の肌に合うようで、買ってからよく見るとCOPENHAGENと刻印されていたりする。北欧の人たちは、寒くて暗い冬を快適に乗り切ろうとインテリアに凝る、そのことがデザインを育てる、といった解説を耳にする。よく出来た話だが私は違うと思う。 . . . 本文を読む
コメント

795 コペンハーゲン②(デンマーク)

2017-11-13 07:00:00 | 海外
スウェーデン人の尊崇の対象がアルフレッド・ベルンハルド・ノーベルであるとするなら、デンマーク国民の敬愛を一身に集めるのはハンス・クリスチャン・アンデルセンであろう。日本の子供であった私も、その童話で大きくなった。しかしその像は、コペンハーゲン市庁舎の片隅といってもいい歩道の空きスペースで、チボリ公園の上空を見つめて寒々と座っている。貧困と挫折と未婚の生涯を、じっと振り返っているのだろうか。 . . . 本文を読む
コメント

794 コペンハーゲン①(デンマーク)

2017-11-12 07:00:00 | 海外
空模様が冴えなかったからだろうか、コペンハーゲンの記憶はいささか暗い。運河沿いにパステルカラーの古い建物が並ぶ観光名所ニューハウンも、時折り冷たい雨がぱらつくなかで通り過ぎるだけにした。ただ私の気分を重くしているのは、お天気のせいばかりではない。デンマークが1年前から採用している難民政策が、どうにも理解できないからなのだ。「世界一幸福な国」の人々が、難民が所持するお金を没収するというのである。 . . . 本文を読む
コメント

793 グスタフスベリ(スウエーデン)

2017-11-10 07:00:00 | 海外
ストックホルムから高速バスに乗ってGustavsbergに行く。日本語に置き換えると「グスタフスベリ」となるようだ。日本の明治維新より40年も早く設立されたスウェーデンの陶磁器メーカーの本拠地で、街の名がそのまま社名になっているらしい。木の葉のモチーフ・ベルサや青いプラムのプルヌスシリーズなど、日本でも人気のブランドだが、錨のマークの刻印にはGustafsbergと刻まれている。このvとfの違いは何だろう? . . . 本文を読む
コメント

792 ストックホルム④(スウエーデン)

2017-11-09 07:00:00 | 海外
スウェーデンの女性は脚が長い。その脚を、スリムなパンツで覆っているものだから、余計に長く見える。ビルの屋上から延びる展望橋で街を眺めていると、高校生だろうか、女の子たちがやって来て笑い転げている。写真を撮ってもいいかと仕草で訊ねると、オーケーと片脚を手すりにかけてポーズを決めてくれた。何とも長い脚である。スウェーデンは「世界で女性が生活しやすい国」のベスト1に選ばれている。そのせいだろうか? . . . 本文を読む
コメント

791 ストックホルム③(スウエーデン)

2017-11-08 07:00:00 | 海外
ストックホルムも岩盤の上に建つ街だ。地下鉄はホームも通路も削られた岩が剥き出しで、所々その壁がアーティストのカンバスになっている。路線が少ないから、東京のように乗換案内の表示で埋め尽くす必要がないのだろう。こんなところにもコンパクトな街の暮らしよさがにじみ出る。私たちは観光名所のガムラ・スタンは素通りし、セーデルマルム島のSlussen駅で降りる。私が勝手に「ミレニアムタウン」と名付けている街である。 . . . 本文を読む
コメント

790 ストックホルム②(スウエーデン)

2017-11-07 07:00:00 | 海外
訪問が週末に重なったので、楽しみにしていた蚤の市に行く。ヨーロッパの人たちはこうしたマーケットが大好きなようで、大きな街では何ヵ所も開かれている。その一つ、ヒョートリエット広場は中心繁華街の中にあって、早朝から賑わっている。広場の正面に建つブルーの建物は、ノーベル賞の授賞式が行われるコンサートホールだというが、ストックホルム市民にとってはノーベル賞も蚤の市も、日常生活の一部になっているのだろう。 . . . 本文を読む
コメント

789 ストックホルム①(スウエーデン)

2017-11-06 11:06:16 | 海外
ストックホルムは美しい街だ。しかしそれは眼を水平に保ち、入り江越しの街並を遠望したときに限られる。脚もとに眼を落とすと、タバコの吸い殻などゴミが散乱していて汚れている。石造の街区はヨーロッパだと感じるものの、繁華街の賑わいに紛れ込むと、いつの間にかアメリカにいるような気分になる。移民の受け入れに積極的な国情が、アメリカ的雰囲気を感じさせるのだろうか。乱雑さも喧噪も、中心部の一部に限られるのだが。 . . . 本文を読む
コメント

788 タリン(エストニア)

2017-11-04 08:51:32 | 海外
ヘルシンキ滞在の1日を利用して、エストニアのタリンに行ってみる。首都にして、旧市街が世界遺産に指定されている街だ。フィンランド湾を南下するフェリーで2時間、ともにEU加盟国であるから、出入国に特別の手続きはない。新潟市から佐渡島に渡るほどの時間と気安さだ。バイキングが暴れまわり、ハンザ同盟の船団が富を満載し、日本海を目指すロシア・バルティック艦隊が行き交ったバルト海は、雲が垂れ込め波穏やかだ。 . . . 本文を読む
コメント

787 ヘルシンキ⑤(フィンランド)

2017-11-03 05:50:23 | 海外
シベリウスの交響詩・フィンランディアをあらためて聴く。彼の地から帰ったばかりだからだろう、様々な情景が浮かんでくる。私にはわからないことながら、この曲はフィンランドの人々の祖国愛を燃え上がらせるらしい。厳しい寒冷地気候や大国の狭間という地理的困難を克服し、豊かで美しい国を建設したスオミの人々。寡黙で静けさを好むように見受けられる市民たちの内に秘める情熱を、 シベリウスは刺激してやまないのだろう。 . . . 本文を読む
コメント

786 ヘルシンキ④(フィンランド)

2017-11-02 09:00:01 | 海外
フィンランドではなぜ、次々と優れたデザインが生まれるのだろう。その秘密が知りたいと、デザイン美術館を訪ねたのはもちろんだが、港湾地区にあるKAAPELIに行ってみる。Nokiaの工場だったという大きくて素っ気ないビルが、若手アーティストの制作拠点になっているというのだ。若者に混じって、子供たちも生き生きと出入りしている。フロア案内は読めないから勝手に探検する。なんだか自分も若返ってくるような気分だ。 . . . 本文を読む
コメント

785 松本(長野県)水玉を街にちりばめ天守閣

2017-11-01 07:00:00 | 新潟・長野
松本は草間彌生さんの出身地である。だからだろう、松本市美術館は外壁も赤い水玉で飾られ、まるで彌生美術館だ。それをお目当てにやって来たのだろうか、中国か韓国か、若い女性グループがポーズを決めて写真を撮り合っている。私はデンマークで、彼女の作品を観て来たばかりなのだが、それでも飽きることはない。ここでは初期の作品も展示され、神経の病に苦しむ画家が、いかにして独自の世界を生み出して行ったかを観る。 . . . 本文を読む
コメント