今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

986 川越(埼玉県)100年を迎えて賑わう江戸の母

2021-10-27 09:09:37 | 埼玉・神奈川
久しぶりの川越散歩を楽しんでいると、カラフルなワッペンを貼ったゴミ収集車がやってきた。目を凝らすと「100th Anniversary」とある。川越市は2022年、市制100年を迎えるのだという。それは埼玉県で初めて誕生した「市」だった。江戸時代を通じて武蔵国の最有力城下町であった歴史を思えば、川越が「一番目の市」になるのは当然だっただろう。しかしそれが大正11年とは遅過ぎはしないか? 全国で90番目以下の順になる。 . . . 本文を読む
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985 高坂(埼玉県)散歩道が美術館という贅沢

2021-10-24 06:45:33 | 埼玉・神奈川
東武東上線の高坂(たかさか)駅と言っても、位置を特定できない人が多いかもしれない。池袋から急行で50分、東松山の一つ手前の駅だ。それでもなお見当がつかないというお方には、関越自動車道の渋滞情報でよく耳にする高坂パーキングエリアのある街、と言ったら聞き覚えがあるだろうか。とにかく私は吉見百穴を見物した帰り、東松山界隈を歩きたいとネットを漁っていて、高坂駅前から延びる「高坂彫刻プロムナード」を知ったのである。 . . . 本文を読む
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984 吉見(埼玉県)百穴の壁は緑に苔むして

2021-10-23 09:39:49 | 埼玉・神奈川
吉見百穴の、黒い穴がたくさん口を空ける古代横穴墓を眺めていて、近年、都会で流行る「合同墓」ビルは似た発想だと可笑しくなった。檀家制度から解き放たれた現代人は、同時に、納まる墓所を失いもした。新たに墓を求めるにしても、高額で遠い霊園を探すしかなく、結局は子孫たちに「墓仕舞い」の苦労を残しかねない。そこで生まれた新たな仕組みが合同墓なのだろうが、突然「薄葬令」を出された古墳時代人も、似た状況に置かれて考えたのだろう。 . . . 本文を読む
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983 国上(新潟県)良寛の草庵に思う冬夜かな

2021-10-20 15:09:38 | 新潟・長野
今日は冬至(2005年を思い出している)。先月訪れた新潟の国上山など、良寛ゆかりの地を思い出しながら、良寛の『冬夜長し』に浸っている。このところ改めて良寛に興味が向き、なかでもその漢詩『冬夜長し』に強く惹き付けられている。「冬夜」は「冬至冬夜」といって、冬至のことを指すのだそうだ。良寛がこの詩を詠んだのは60歳ころといわれるから、私はまさに同じ年ごろの「その日」にいるわけで、今夜はひときわこの詩の良寛和尚が、身近に感じられるのである。 . . . 本文を読む
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982 藤沢(神奈川県)人気の街に笑顔あふれる高校生

2021-10-19 01:05:08 | 埼玉・神奈川
鎌倉と藤沢を結ぶ江ノ島電鉄は、沿線に高校があるのだろう、午後4時ころの藤沢駅は、江ノ電が到着すると下校の高校生でデッキが溢れる。江の島帰りの私も同じ電車に乗り合わせ、一緒にデッキに吐き出されている。ほとんどがJRか小田急に乗り継ぐのか、迷わず先を急いでいる。通路の端では地味な雰囲気のおじさんが、フルートで彼ら彼女らの1日を癒すような優しげな曲を奏でているのだけれど、若者はおしゃべりとスマホに夢中だ。 . . . 本文を読む
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981 龍口(神奈川県)刑場も今は騒音に包まれて

2021-10-18 08:40:45 | 埼玉・神奈川
江ノ島に近い住宅地に囲まれて、藤沢市と鎌倉市を分かつように延びる緑の丘陵は片瀬丘陵だ。その南麓に甍を広げるのは龍口(りゅうこう)寺で、「日蓮宗霊跡本山」を掲げている。鎌倉で「龍ノ口」と耳にすれば、とっさに「刑場」が思い浮かぶのは、その時代をいささか聞きかじっているからかもしれない。門の脇には「刑場跡」の碑が建ち、門前の複雑な交差点は、「電車優先」と書かれた狭い道を江ノ電が行き交っている。中世に遡る道だろう。 . . . 本文を読む
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980 江ノ島(神奈川県)湘南の潮風いっぱい吸い込んで

2021-10-16 15:27:11 | 埼玉・神奈川
だいぶ以前のことになるが、江ノ島にやって来たことがある。弁天橋を歩いて渡り、せせこましい仲見世通りを抜けて石段を登り、いくつもある江島(えのしま)神社の宮々に辟易しながら丘頂に出て、展望灯台は一瞥するだけで帰った記憶がある。狭い小島にむりやり詰め込んだ俗悪なテーマパークという印象しか残らなかった。それでも再訪したのは、東京五輪のセーリング競技のせいだ。テレビ観戦していて、爽快な風を浴びたくなったのだ。 . . . 本文を読む
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979 つくば(茨城県)将門の蹄の跡に研究都市

2021-10-11 03:28:18 | 茨城・千葉
11年前、結城から笠間へ筑波山北麓を車で走り、南麓の筑波神社に立ち寄った折、関東平野を見晴らすことになって、改めてこの平野の広大さを認識した。街らしきものが点在することは遠望できたけれど、ほとんどが茫漠とした平原であった。その視界の中に「筑波研究学園都市」が含まれているであろうことは、意識に上らなかった。私はその位置すら正確に言えないのに、「つくば」は茨城県で最も頻繁に耳にする街の名のような気がしている。 . . . 本文を読む
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978 土浦(茨城県)霞浦コントレイルと日の出かな

2021-10-10 07:49:51 | 茨城・千葉
土浦の今朝の日の出は5時35分とある。それに間に合うようホテルを出る。霞ヶ浦から昇る朝日を眺めたいのだ。白み始めた街は「港町」という。内陸部なのに「港」とは、さすが琵琶湖に次ぐ広大な湖水だ。ジョギングをしている人がいる。釣り糸を垂れる人影が点在している。漁の準備を急ぐ人がいる。そして何の用もない私がいる。運動公園だという湖畔はよく整備され、無風無音の夜明けを迎えている。湖面は広々と空を支え、まことに清々しい。 . . . 本文を読む
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977 取手(茨城県)川風が広々と空独り占め

2021-10-09 10:14:37 | 茨城・千葉
知友に会いに何度も取手を訪れた高村光太郎は、「利根川の美しさは空間の美である」と言ったそうで、その通りだと私も思う。しかし詩人の表現は硬くていけない。もっと噛み砕いて「取手の街が気持ち良いのは、利根川の空が広いからだ」とでも言えばスッキリする。冒頭の写真がまさにそれだ。対岸は取手の市街地で、上流部の地平にかかるのは常磐線の鉄橋である。利根川は滔々と流れ、川風は微かに金木犀の香りを含んでいる。美しさは空の広さだ。 . . . 本文を読む
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976 我孫子(千葉県)手賀沼の我孫子の街に金木犀

2021-10-08 08:55:24 | 茨城・千葉
我孫子の一番の特色は「あびこ」という市の名前ではないだろうか。古代、支配者が支配民をこう呼び、それが地名となって残ったという説が有力らしく、ずいぶん古い言葉である。大和の大王が「吾が孫子(民)よ」と言ったかどうかは知らないけれど、北隣りは常陸国になる下総の大地である。近世には利根川と手賀沼に挟まれた「馬の背」状の地形の、背の部分を西から東へ水戸街道が延び、千住から四つ目の宿場が営まれた。我孫子宿である。 . . . 本文を読む
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975 柏(千葉県)膨張を続ける街も曲がり角

2021-10-07 08:52:17 | 茨城・千葉
改札が橋上にある駅で、利用者が地上のバスやタクシーと交錯せずに駅に行き来できるよう設置された構造物を、ペデストリアン・デッキというのだそうだ。英語のPedestrianは歩行者を意味するらしいから、「歩行者用広場」とでも訳せばいいのだろうか。今では多くの駅で見られるようになったけれど、その第1号は1973年に設置されたJR柏駅だという。それを見たくて、というわけでもないのだけれど、常磐線に乗ってやって来た。 . . . 本文を読む
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974 熱田(愛知県)畏くも神に仕える忙しさ

2021-10-03 08:37:58 | 岐阜・愛知・三重
熱田神宮に来ている(注:2009年時点)。在所は名古屋市熱田区神宮1−1−1。尾張国の聖地に違いない。神社のすぐ南には、旧東海道の七里の渡し跡が残っているから、かつては海に臨む社域だったのだろう。北方8キロほどに名古屋城がある。この配置を知って反射的に難波の住吉大社と大阪城の関係を思い浮かべたが、意味があるかどうかは分からない。ただいずれも神社の方が歴史ははるかに古く、熱田社の創祀は2世紀に遡るのだとか。恐ろしいほど古い。 . . . 本文を読む
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