今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

1173 ハワイ①【米国】

2024-07-09 15:10:27 | 海外
地球表面の70%は海面であり、最も広い海が太平洋であることは常識だ。ただその太平洋が1億6600万平方キロだと言われてもピンとこないし、地球上の陸地を全て収めても十分なスペースがあり、日本列島なら約440個を並べることができると噛み砕いて聞かされると、余計に掴み所がなくなる。ハワイ・オアフ島西端の「ハロナ・ブローホール展望台」に立って四囲を見渡している私は、精一杯背伸びして見るのだが、視界に限りがある。



ハワイは大海原に生まれた火山列島だ。500万年前から50万年前にかけて隆起した海底が、8つの島になって2400キロの弧を描いている。太平洋に「ポイント・ネモ」という地点がある。世界の海で、最も陸地から離れた地点のことで、南半球のチリとニュージーランドの中間点あたりがそれに当たる。もし島になっていなかったら、ハワイは北半球の「ポイント・ネモ」だったかもしれない。それほど日本からも米国からも遠く、孤立している。

(ハワイアン航空の機内誌より)

長く無人の島々であったハワイに、南方からポリネシア人が渡って来たのは西暦の紀元前後のことであり、人々が定住したのは西暦500年ごろだというのが、これまでの研究成果らしい。5万年前に「出アフリカ」を果たした人類の祖先は、ユーラシア大陸を各地に散った。インドシナ半島から島伝いに西へ進んで太平洋に出た集団は、3000年前にはタヒチ島に到達する。そしてハワイは、人類が到達した最後の陸地になったのかもしれない。



西の水平線にうっすらと島影が見える。モロカイ島だろう。この海をカイウィ海峡と呼ぶらしい。北海道・宗谷岬から遠望したサハリンが思い浮かぶ。島まで45キロ程度だというから、宗谷海峡とほぼ同じだ。海のポリネシアンたちは、カヌーを巧みに操って軽々と行き来していたのだろう。その先に続くマウイ島やハワイ島は見えないけれど、海図さえあれば、彼らにとって海原は行く手を阻む障害ではなく、行き来を可能にする道なのである。



ハワイ州の人口は145万人ほどだが、先住ハワイアンやポリネシア系は全体の6%程度8万人ほどに減少しているらしい。人口は州都ホノルルがあるオアフ島に70%が集中し、アジア系が40%近くを占め最も多い。白人は25%ほどでヒスパニックや黒人は少ない。かつては日系人が40%を超えていたこともあったというが、現在は全体の14%弱。それでも日本語は街のあちらこちらで見かけられ、どこでも目立つ中国・韓国はあまり見かけない。



溶岩が凝固して崖を形成するハロナ展望台は、大洋を越えて来たうねりが衝突するたびに岩の隙間から盛大に潮が噴出する観光名所だ。そんなことより私は、ただただ広がる海の美しさに目を奪われている。眼前に居並ぶ妙齢のご婦人方も「なんて綺麗な青!」と叫んでいる。一人はハワイに、もう一人は米国西海岸に在住してともに40年、残る一人は日本在住70年だと日本語の会話が聞こえてくる。ハワイの位置を体現している3人組である。



ハワイの観光客は年間700万人に上り、軍需とともに州経済を支えている。コロナ禍以前は日本から130万人がやってきていたというから、米国内観光客に次いで多いのかもしれない。夜、丘陵地の住宅街からホノルル市街を見晴らすと、ビル群の灯が米国本土の大都会であるかのように煌めいている。そして早朝、ワイキキ・ビーチをドライブすると、ダイヤモンド・ヘッドが朝日を浴び始めるのだ。楽園で過ごした1週間を綴る。(2024.6.26-7.3)













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