今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

200 江南(中国)・・・不思議なりところ変れば品変わり

2009-03-26 23:42:26 | 海外
上海・江南の旅から帰って、すでに3ヶ月。記憶がしだいに薄れる中にあって、どうにもしつこく思い出されることがある。それらはむしろ、旅のメインルートから外れた些細なことなのである。①気に入ったこと②不思議だったこと③驚いたこと――に大別される。「些細な驚きが連続するから、旅は楽しい」とも言えるわけで、一つ一つが妙に懐かしい。そうした記憶もいずれは消えていくのだろうか . . . 本文を読む
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199 上海(中国)・・・危うくも妖しき魅惑街に充ち

2009-03-23 22:29:49 | 海外
上海の夜景といえば、前回掲載した「外灘(バンド)」から「黄浦江」越しに、ライトアップされた「浦東新区」の高層ビル群を望むアングルが通り相場であるけれど、今回掲げた下町の裏通りも、なかなかの味わいである。蚤の市のような東台路「古玩街」付近のストリートだ。街灯に照らし出された長屋の壁に、葉を落とした街路樹がひしゃげた影を映している。この夜はクリスマス・イブ。その賑わいも、ここまでは届いて来ない。 . . . 本文を読む
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198 周荘(中国)・・・江南の水郷渇き舟ゆらら

2009-03-22 21:58:26 | 海外
中国における「江南」とは、揚子江(長江)下流域の南側に広がる水郷平野を指すらしい。水郷なら日本だってあるけれど、わが列島で縄文人が延々と狩猟採集生活を送っていたころ、この地ではすでに王権が覇を競う「高度?」な社会が生まれていた。高々700年の歴史しか無い上海滞在を機に、2000有余年の生活が沈潜している江南古鎮へと足を延ばした。朱家角でも同里でもよかったのだけれど、周荘(Zhou zhuang) . . . 本文を読む
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197 蘇州(中国)・・・名所より路地の奥こそ笑顔あり

2009-03-21 23:12:17 | 海外
「不覚なことに、案内されるままにバスに乗り、かつ降り、名所旧跡ばかりを観た。(こんなつまらない町が、蘇州か)と、つい思うようになった」。これは私の文章ではない。司馬遼太郎氏が最初に蘇州(Suzhou)を訪問した際の感想だと『街道をゆく~中国・江南の道』に記している。私たちの旅に先立つ30年前のことだが、留園、寒山寺、虎丘・・・似たようなコースだったのだろう。私が抱いた感想そのままなので、ここに転 . . . 本文を読む
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196 安曇川(滋賀県)・・・聖人の里に藤の樹陽炎の

2009-03-09 20:05:54 | 滋賀・京都
近江聖人・中江藤樹は慶長13年(1608年)、現在の滋賀県高島市安曇川町上小川の農家に生まれた。勉学に励んで四国の小藩に仕え、帰郷して里人らに儒学を教えて41歳で没した。簡単に書けばこれだけのことであるが、その短命を思うと、死後「聖人」と称えられたことは驚嘆に値する。いかなる人格者であったのか、また聖人を生んだ安曇川(あどかわ)とはどのような風土の地か、やはり出かけて、その空気に触れてみる必要が . . . 本文を読む
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195 米原(滋賀県)・・・東西をつないで街は静まれり

2009-03-08 16:36:38 | 滋賀・京都
訪れる人より、通過する人の数の方が圧倒的に多い街といえば、米原は全国屈指ではないか。つまり極めつけの交通要地ということである。古くは中山道と北陸道の分岐点に当たり、現代の鉄道網にあっては東海道本線と北陸本線の分岐・合流駅として東西の日本を繋ぐ。だから私も、何度も乗り換えたり通過したりしているのだが、この地に降り立ったことは一度も無い。今回、ひょんなことから米原駅で人と待ち合わせることになった。 . . . 本文を読む
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194 加計呂麻島(鹿児島県)・・・青と白緑に赤を加計合わせ

2009-03-07 12:29:36 | 熊本・鹿児島
奄美の海の蒼さは尋常でない、と前回、書いた。紺碧、群青、翠緑・・・、私の貧しい語彙力ではとうてい表現できないほど澄んで、深く濃い色合いである。島人は「それだけ開発が遅れているということ。石垣島には敵わないけれど、沖縄本島よりはきれいでしょう」と自虐的に自慢するのだが、私には石垣の海より綺麗に見えた。さらに奄美大島の南部に連なる加計呂麻島に渡れば、海はもはや「美しい!」を超絶して、神秘的ですらある . . . 本文を読む
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193 朽木(滋賀県)・・・幻か川霧の底鯖街道

2009-03-06 14:46:48 | 滋賀・京都
湖西を経て京都に行く必要が生じた。この願っても無い好機に、心が弾んだ。朽木を経由できることに、である。私の染色体には、どうやら秘境に憧れるDNAが組み込まれているようで、その名を耳にすると途端に血圧が上がる土地が、この国にいくつかある。《くつき》はその横綱格なのである。琵琶湖側から見れば比良山系の裏側にあって、丹波高地との間の谷に埋もれた隠れ里、というのが私が長年抱いて来た朽木のイメージであった . . . 本文を読む
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