高岡古城公園の芸術広場で、点在するブロンズ像を鑑賞していると、唐突に、森の奥から子供たちが溢れ出てきた。同じような年格好の制服や私服の列が、どこまでも続くかのように途絶えない。われわれジジババ4人を列に巻き込み、「こんにちわー」の集中砲火を浴びせて広場奥へと向かって行く。「何年生?」「4年です!」。城跡の体育館で、合同授業でもあるのだろうか。久しぶりに見る可愛く元気な子供たちに、こちらまで嬉しくなる。
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「空が広い街ね」と一人が言うと、3人は天を仰いで「そうだねぇ」と頷いた。私たちは金沢の、金沢城公園を歩いている。往時の天守や御殿はすでに無く、わずかに復元された櫓と門が広場を縁取っているだけだからだろう、街の真ん中でこれほど空の広さを覚えることは珍しい。この街を「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたふもの」と詠むしかなかった室生犀星にとって、故郷の空は広く眩し過ぎたのかも知れない。
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