今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

1133 新潟(新潟県)喜寿のジジババ同級会ではしゃぐ

2023-10-23 20:36:08 | 新潟・長野
新潟市の美術館に、『読書』と題するレジェのモザイク画が展示されている。私はその二人を15歳だと推察している。15歳といえば中学3年生である。大雑把に言えば「多感なお年ごろ」であろうか。本人たちは「もう子供じゃないモン」などと背伸びしているのだろうが、それから60年も経って卒業写真を眺めてごらんなさい、「ああ、こんなに幼気な可愛さであったか」と自分で自分に感動するに違いない。その新潟で、中学の同級会が開かれた。 . . . 本文を読む
コメント

1120 上高地(長野県)夏雲や神を仰いで上高地

2023-09-04 06:23:46 | 新潟・長野
岳沢と呼ぶらしい、氷河が削ったような巨大なV字状渓谷を、遠く前穂高と奥穂高が見下ろしている。振り向けば焼岳の孤峯が、ケショウヤナギに縁取られている。尾瀬と上高地は山の景勝地の双璧だろうか。いやいや山に疎い私が知らないだけで、自然が生み出す美しい景観はもっとたくさんあるに違いない。ただ上高地がその一つであることに異論は出ないだろう。河童橋の畔で、梓川と山塊の大パノラマに眼を奪われている私がその証人である。 . . . 本文を読む
コメント

1098 塩尻(長野県)アルプスを見晴らし葡萄畑の街

2023-04-30 07:42:02 | 新潟・長野
この写真は11年前のこの季節に撮ったものだ。並木の緑があまりに美しいのでシャッターを押したところ、可愛いチビちゃんたちが写り込んでくれて、塩尻の記念に保存しておいたのだ。二人はもう中学生だろう。市役所近くの並木道である。今日は中津川から乗った「特急しなの」を降り、乗り継ぐ「あずさ」を2本やり過ごして同じ道を歩いている。塩尻はこうやって、乗り継ぎの短時間を歩くことが多い。この街が鉄道網の要衝である証である。 . . . 本文を読む
コメント

1095 妻籠(長野県)「つまご」とは姫街道の籠の中

2023-04-26 13:57:45 | 新潟・長野
全国ニュースで取り上げられるほど、中山道・妻籠(つまご)宿が外国人観光客で賑わっていることは承知していた。しかし実際にやって来て、「こんなにも!」と驚いている私である。英独仏に中国語、さらには東南アジアのどこかの言葉やロシア語らしき会話が「山の中」で交錯している。これでは宿泊予約が取れないのも当然かと納得するのだが、それにしても皆さん、何を求めてわざわざここまでやって来るのだろう。不思議な思いで立ち止まる。 . . . 本文を読む
コメント

1094 木曽福島(長野県)「出女」を留める関はもはや無く

2023-04-24 18:26:18 | 新潟・長野
日本列島で「海から最も遠い地点」は、長野・群馬県境の佐久市田口榊山の山中であることが、国土地理院により特定されているのだそうだが、そこから南西に直線距離で100キロほど離れた「木曽」も、同じくらい太平洋からも日本海からも離れているように思われる。かの文豪が描いた通り、「木曽路はすべて山の中である」のだが、そうした土地はこの山国ではいたるところにある。しかし木曽は、何か特別な匂いがする「山の中」なのである。 . . . 本文を読む
コメント

1091 小諸(長野県)快癒祝う古城のほとりの濁り酒

2023-03-26 12:28:25 | 新潟・長野
小諸で小さな同級会が開かれた。新潟市の中学校で同級だった後期高齢者の4人が、そのうちの小諸在住の一人が大きな病から快癒したことを祝おうと、集まったのだ。東京では前日に桜の満開が発表されているものの、信州小諸ともなると蕾はまだ固い。それでも「古城のほとり」あたりでは、千曲川の流れが春を運んでくるのだろうか、ミズキやモクレンが開花し始めている。幼馴染とは不思議なもので、会えばいっぺんに時間が溶けてしまう。 . . . 本文を読む
コメント

1057 新潟③(新潟県)懐かしく忘じ難きは故郷なり

2022-10-01 11:05:43 | 新潟・長野
新潟は私の故郷だから、つい新潟の自慢をしたくなるのだけれど、しかし改めて考えると、この街は特筆するほどのものは何もない。「新」というのだからさほど古い街ではないのだろうし、城下町ではないからそうした風情もない。ましてや讃えられるほどの風光の地でもない。それだけに「信濃川があってよかった」と、久しぶりの帰郷で思うのはそのことだ。大河が成す広い空と、そこに架かる石造りの橋、そして佐渡に沈む夕日は実にいいのだ。 . . . 本文を読む
コメント

1056 新潟②(新潟県)浜焼きの香に誘われて本町通り

2022-09-23 16:40:42 | 新潟・長野
新潟市は私のふるさとである。だがすでに親はおらず家もない。この場合、「新潟に帰る」という表現は正しいだろうか。もはや他所者として「新潟に行く」と言うべきなのだろうか。こんなことで迷う私を、安吾は「ふるさとは語ることなし」と突き放す。その石碑が建つ砂山を遊び場にしていた元少年は、安吾の齢をとっくに超えていながら、いつまでもグダグダと故郷を語り続けたがる。そしてこの季節、ナス漬けとカキノモトを食べたがるのだ。 . . . 本文を読む
コメント

1055 新潟①(新潟県)ふるさとは語ることあり信濃川

2022-09-20 13:45:11 | 新潟・長野
いきなり「新潟に行きたい」という想いが湧いてきた。「何のために」と質されても思い浮かぶ理由はなく、久しぶりの「帰郷」になる。顔を見せれば喜んでくれる親戚知人は多いはずだが、墓参りのためでもなく、ただ行きたくなったのである。これが年寄りの感傷というなら気恥ずかしいけれど、新潟の街の空気に身を浸せばそれで満たされる程度の想いのようである。小学校入学前の短時日を過ごした中心街へ、妻を誘って「とき」に飛び乗った。 . . . 本文を読む
コメント

1049 諏訪(長野県)「スワ」とは何か謎のまま

2022-08-12 23:01:54 | 新潟・長野
諏訪の街は一言では表し難いところがある。二日間滞在しただけの他所者が言うのはおこがましいけれど、10代にわたる諏訪氏が城主を続けた高島藩のお膝元ではあるものの、「城下町」と言った趣は薄い。また湯量豊富で大きな旅館が建ち並ぶ上諏訪温泉があるけれど、この街を「温泉郷」と言うのは当たらないような気がする。さらには全国に25000社ある諏訪神社の総本社たる諏訪大社上社の鎮座地であるけれど、「社家街」の印象はない。 . . . 本文を読む
コメント

1048 下諏訪(長野県)天と地と諏訪の大社の御柱

2022-08-10 15:47:20 | 新潟・長野
下諏訪町の「諏訪大社下社秋宮」に来ている。諏訪湖畔から北へ1.2キロほど入った丘陵の麓だ。境内に入ると巨大な注連縄を飾った大社造の神楽殿が建ち、出雲系の神社であると解る。特異なのはその奥の両側に建つ「御柱」であろう。枝を落とされ、皮を剥かれた巨木が屹立している。7年に一度、諏訪地域6市町村の氏子によって山から伐り出され、豪快に曳航される神事で名高い。今年はその神事の年にあたり、御柱は真新しい光を放っている。 . . . 本文を読む
コメント

1047 岡谷(長野県)イルフとは「古い」の逆か童画館

2022-08-07 07:56:13 | 新潟・長野
諏訪湖の地図には、湖面を3分割する線が引かれているものがある。湖にも岡谷市・下諏訪町・諏訪市の境界線があるらしい。西岸に広がる岡谷市は、広大な市域のほとんどが山地で、諏訪湖に臨む限られた傾斜地に街が営まれている。総面積の85平方キロに「諏訪湖の持分」が含まれているのかは知らない。市章は円を上下に2等分したシンプルなデザインで、「上は岡」「下は谷」を表しているのだそうだが、「上は陸」「下は湖」の方が判り易い。 . . . 本文を読む
コメント

1046 諏訪湖(長野県)湖畔にて縄文人と夏花火

2022-08-05 14:43:42 | 新潟・長野
旅先で、諮らずも打ち上げ花火に遭遇した。諏訪湖の湖上花火大会だ。ポスターには第74回とあるから、この地方の夏の大イベントなのだろう。だが新型コロナの影響で、午後8時半から10分間だけの打ち上げである。例年なら数十万人の人出で埋まる一夜になるようだが、今年は10分間だけが15日間続く。見物客はいささか寂しいけれど、しかし行きずりの他所者にとってはこれで十分な華やぎであって、しばし酷暑を忘れ楽しんだ。 . . . 本文を読む
コメント

983 国上(新潟県)良寛の草庵に思う冬夜かな

2021-10-20 15:09:38 | 新潟・長野
今日は冬至(2005年を思い出している)。先月訪れた新潟の国上山など、良寛ゆかりの地を思い出しながら、良寛の『冬夜長し』に浸っている。このところ改めて良寛に興味が向き、なかでもその漢詩『冬夜長し』に強く惹き付けられている。「冬夜」は「冬至冬夜」といって、冬至のことを指すのだそうだ。良寛がこの詩を詠んだのは60歳ころといわれるから、私はまさに同じ年ごろの「その日」にいるわけで、今夜はひときわこの詩の良寛和尚が、身近に感じられるのである。 . . . 本文を読む
コメント

971 松本(長野県)「松ぼん」の熱暑それぞれ日を送る

2021-09-20 10:05:33 | 新潟・長野
長野県下で最大の夏祭りなのだという「松本ぼんぼん」が開催される日、ピンク色の祭り提灯で飾り付けられた街は、今年一番ではないかと思われる熱波を跳ね返して、水浴びをするチビッ子の歓声が響いている。信濃路はいつも空気が澄んでいる印象があるのだが、なかでも「松本はいい街だ」と訪れるたびに思う。美しく整った家並みの中心に、松本城が優雅に座っている、というイメージなのである。ただ街は、構造線上にあるという課題がある。 . . . 本文を読む
コメント