今日は、この街にいます。

昨日の街は、懐かしい記憶になった。そして・・

1062 大和郡山(奈良県)幾つもの記憶交錯金魚の街

2022-10-29 10:17:20 | 奈良・和歌山
大和郡山市は奈良盆地のほぼ中央に市域を広げる、人口84000人ほどの街だ。131万人の県民が暮らす奈良県では奈良市、橿原市、生駒市に継ぐ4番目の人口規模になる。市域の北東端に羅城門跡が残るように、平城京の外縁である九条大路が現市街地を貫いていて、8世紀ころには京域を窺う魑魅魍魎が跋扈していた土地かもしれない。だが16世紀には大和全域から紀伊・和泉まで治める拠点になった街でもある。豪壮な城跡が残って . . . 本文を読む
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1061 法隆寺(奈良県)幾たびの斑鳩の空法隆寺

2022-10-26 17:21:57 | 奈良・和歌山
再びの法隆寺である。もう何度目の訪問になるだろうか。1400年の寺の歴史を思えば、そこに重なる私の人生など一瞬に過ぎない。だが一瞬の側に立ってみれば、その1度1度が懐かしく愛おしいのだ。繰り返し書いてきたように、私が奈良・大和路に強い憧憬を抱くようになったきっかけは、この大寺と、そして寺を包む斑鳩の里にある。そのことを思い浮かべつつ西院伽藍に踏み入る。すると思わず「これが最後かな」と言葉が口をつい . . . 本文を読む
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1060 唐古(奈良県)楼を建てムラを造った弥生人

2022-10-24 11:19:27 | 奈良・和歌山
大和盆地のほぼ中央部に、田原本(たわらもと)という人口3万1000人ほどの町があって、その真ん中を貫く京都―奈良―和歌山を結ぶ国道24号線沿いに、「唐古」「鍵」の集落がある。盆地中央部だからひたすら平坦で、南には吉野の山々、南東隅に三輪山の稜線を望み、大和川、寺川、飛鳥川が北上して行く。弥生時代の大規模な集落跡が発掘された「唐古・鍵遺跡」は、そんな長閑な大きな空の下に広がっている。ランドマークは復元された楼閣だ。 . . . 本文を読む
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1059 東大寺(奈良県)逝く秋や鹿に噛まれて東大寺

2022-10-22 21:42:37 | 奈良・和歌山
東大寺南大門前はいつもの賑わいである。「いつもの」というのは、これまで何度も訪れている私が見慣れている賑わい、ということなのであって、コロナ禍のここ3年ほどはずいぶん寂れていたのだろう。長いこと空腹に耐えていた鹿たちは、ようやく戻って来た修学旅行生や外国人観光客を囲み、鹿せんべいをねだっている。神の使いだという鹿たちは判ってくれるだろうか、私が観光ではなく、8世紀を旅するために来ているということを。 . . . 本文を読む
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1058 興福寺(奈良県)往く雲の南都北嶺興福寺

2022-10-20 21:35:45 | 奈良・和歌山
奈良は14年ぶりになる。大和路行脚に無上の喜びを見出した20歳のころ以来、これほどの無沙汰は初めてではないか。この間に平城宮跡は大極殿や朱雀門が復元され、JR奈良駅が新しくなっている。そして興福寺では、20年かけて再建が進められていた中金堂が完成、300年ぶりに伽藍の中枢が蘇った。古都は着々と変化しているのだ。その興福寺を訪ねると、大修理を控える五重塔が特別に開扉されている。旅先でたまに出会う幸運である。 . . . 本文を読む
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1057 新潟③(新潟県)懐かしく忘じ難きは故郷なり

2022-10-01 11:05:43 | 新潟・長野
新潟は私の故郷だから、つい新潟の自慢をしたくなるのだけれど、しかし改めて考えると、この街は特筆するほどのものは何もない。「新」というのだからさほど古い街ではないのだろうし、城下町ではないからそうした風情もない。ましてや讃えられるほどの風光の地でもない。それだけに「信濃川があってよかった」と、久しぶりの帰郷で思うのはそのことだ。大河が成す広い空と、そこに架かる石造りの橋、そして佐渡に沈む夕日は実にいいのだ。 . . . 本文を読む
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