漢字の「閑=カン」は「牛馬の小屋の扉を閉じるかんぬき」から生まれた文字だという。「閑静」「安閑」といった用いられ方をして、「のんびりと暇で静か」な様を指す。「閑谷」は「カンコク」と読んで「静かな谷」を言う。これを「シズタニ」と読ませて学問所の名称にしたのは岡山藩主・池田光政公かもしれず、学校の名としては実にふさわしい響きだ。ちなみに私に当てはまる「閑」を探すと、それは「閑人」であろうか。 . . . 本文を読む
日本の陶磁器の世界で、備前焼ほど独自の風合いを維持している産地は他にない。釉薬による彩色やコーティングを避け、ひたすら土を焼き締めることによって器を成す。弥生時代にまで遡るかもしれない土器の系譜を、最もよく伝える焼き物なのではないか。出荷量は美濃や有田といった大産地には及ばないものの、そんなことはどうでもいい(かどうかは知らないけれど)と、備前は「備前」を焼き続けているのである。
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播州赤穂といえば元禄・赤穂事件を抜きにして語れないことはわかるけれど、駅に掲げられた浅野内匠頭と大石内蔵助の辞世句に始まって、駅前ロータリーの内蔵助像から延びるお城通りを歩いていると、余りの忠臣蔵過多が鬱陶しくなってくる。極め付けは大石神社参道に並ぶ四十七士像で、何やら秦の始皇帝陵の兵馬俑のようである。そんな赤穂散歩で、弓道部員らしい女子高生を見かけほっとしたのは何故だろうか。
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