職員室通信・600字の教育学

小高進の職員室通信 ①教育コミュニティ編 ②教師の授業修業編 ③日常行事編 ④主任会トピックス編 ⑤あれこれ特集記事編

★大人気の部活動「総合文化部」は、部活動改革「全員強制加入から任意加入制への転換」の秘策・うら技か?

2012-11-04 22:38:32 | 僕のモンマルトル日記

 

職員室通信 僕の言語が学校教育側に偏った言語になっていることにショックを受ける
2012
11.04


★「平成24年度東北地区社会教育研究大会・第57回東北地区公民館大会 兼 平成24年度青森県社会教育研究大会・第53回青森県公民館研究フォーラム」という長い大会名の研究大会に出席した。
 研究主題=東北発「震災を乗り越える社会教育の力」~自助と共助の絆ある地域づくりへの挑戦~

 行政職の頃、社会教育関係の方々をご案内(引率)するという立場で、何度も出席している。
 また、教育支援ボランティア事業に携わっているときは、発表者として参加したこともある。
 今回は、引率者でもない。
 発表者でもない。
 コーディネーターでもコメンテーターでもない。
 「裸」で参加し、僕という人間を、社会教育の「ことば」の時空にさらしてみたいと思った。

 こんなふうに思う背景には、次のような体験がある。
 昔、数年間、教育現場を離れていた時期がある。
 ひさしぶりに学校に帰ったら、その場で語られる「ことば」、交わされる「ことば」に、僕は「ああ、教育に携わる人間の教育を語ることばって、いいなぁぁ!」と涙がこみあげるほど感動した。

 さあ、今回の社会教育研究大会の「ことば」は、僕にどういう衝撃を与えるのだろうか?

★もちろん、主題の「震災を乗り越える社会教育の力」ではないが――
 現在の日本の社会教育にどれくらいの力があるのか?
 あるいは、ないのか?
 また、 日本の社会教育は、今、どこからどこへ向かおうとしているのか? 
 そして、どんな「位置」にあるのか?
 ――という(僕の悪いクセである)批評的視点がないわけではない。
 でも、それは前面に出さない。
 1日目、2日目と、研究大会に身を置いているうちに、自然にそういう視点で思考しはじめるかもしれないけれど、まずは、自分を、太陽の光に布団をさらすように、さらしてみよう……と、全体会場の最後部の席――たまたま、そこが空いていた――に身を置いた。

★本日は1点だけ書くことにする。
 今、僕のうちには、さらすことによって受けた衝撃と、批評的視点から展開した思いとが混在している。
 なんだか、2点目から、即、後者になりそうだから、本日は、くりかえしになるが、1点だけで止める。

 さっきの「ひさしぶりに学校に帰ったら」のくだりと同じ言い回し――「ああ、社会教育に携わる人間の社会教育を語ることばって、いいなぁぁ!」と、ホンマにホンマに感動した(^_^)v。
 と、同時に、僕の言語が学校教育側に偏った言語になっていることに気づき、ショックを受けた。
 僕の自慢は、学校教育と社会教育の両方に携わっていることだ。
 名刺の肩書きのひとつに「学社融合コーディネーター」と明記しているくらいだ。
 でも、今回、「これではいかん!」と猛省。(つづく)





               

 実質的には「全員強制加入から任意加入制への転換」と同じ状況に至るが……


★2学期にはいって、2人の保護者から学校部活動について相談があった。
 Aさんの相談は、現在の学校部活動が家庭生活や学習活動を圧迫している。早急な見直し・改善が必要だ……というものだった。
 Bさんの相談は、(Aさんの意見とは逆に)学校部活動を、時間的にも内容的にも現状以上に充実してほしい……というものだった。

★まず、部活動に関する本校の現状を確認することにしよう。
 活動時間は、前期(4/1~10/31)は、平日は午後6時15分活動終了、午後6時30分完全退下。
 後期(11/1~3/31)は、平日は午後5時45分活動終了、午後6時完全退下。
 土曜日・日曜日については、第1・3日曜日は部活動休止日。
 他の週の土曜日・日曜日については、土曜日・日曜日のいずれかを休止日とする。
 なお、土曜日・日曜日の活動時間については、3~4時間を目安とする。(ただし、練習試合等を計画した場合は、これを超えることがある。)
 また、職員会議・学年会議等で本校の教職員が指導にあたれない日は、部活動休止日(家庭・地域で活動する日)とする。

 この活動時間について昨年度末、全保護者からアンケートをとった結果が、次の通りである。
 ・ちょうどよい=77%
 ・やりすぎる=13%
 ・もう少しやれ=8%
 ・もっとやれ=2%
 これをみると、おおむねご理解いただいているものの、Aさんとほぼ同意見(やりすぎる)と考える方が13%、Bさんとほぼ同意見(もう少しやれ&もっとやれ)と考える方が10%(8%+2%)と、いずれも決して少なくはないことがわかる。

★Aさんにも、Bさんにも、次のように回答申しあげた。

(1)活動の時間については、市内中学校のなかでは平均的、もしくはやや少な目の量である。
 しかし、土曜日・日曜日の活動については部によって長時間になっているケースもある。これは、今後、改める。
 朝練習は認めていない。
 活動延長は、中体連夏季大会に限り、30分間の延長を認めている。

(2)また、学校部活動が生徒の学習活動に影響を与えているということについては、次の観点から、大きな問題があると考えている。
 毎日の50分間の授業でつまずいてしまう生徒がでてくる。
 それを放課後などの時間を使って適切な補習を行えば、つまずきを克服することができる。
 しかし、現状は部活動の時間になったから、勉強がわかってもわからなくても一斉に部活動をはじめる。
 また教師にしても、補習をやりたくとも、自分が担当する部活動の指導にあたらなければならない。(当然、事故等の責任問題もからんで……)
 義務教育の中学校はあくまでも学習指導要領の内容の徹底が第一であり、これをクリアーした上での部活動という原則を重く受けとめている。
 しかし、具体的な改善策を示せないでいる。

(3)学校週5日制や新しい学習指導要領を提言した中央教育審議会答申『21世紀を展望したわが国の教育の在り方について』は、学校依存の現状――僕がいつもくりかえしくりかえし述べている言い方だと「学校の教育独占体制(学校の教育丸抱え体制)」――を改善しなければならないとして、校外での生徒指導と、この部活動の問題を取りあげ、学校が「すべての子どもにその参加を義務づけ画一的に活動を強制したり、勝利至上主義的な考え方から長時間の活動を強制するようなあり方は改善を図る必要がある」として、学校は学習指導面の指導により集中すべきことを指摘している。

 本校では、ここで指摘する「長時間の活動の強制」についてはかなり改善が進んでいる。
 しかし、「全員加入制」の問題については従来と変わっていない。

 「全員加入制」について昨年度末、全保護者からアンケートをとった結果、21%の方が、全員加入制を廃し、任意加入制への移行を希望している。
 今後の重要な検討課題である。

(4)部活動の意義は十分承知している。
 部活動は、教育課程外活動であるため、部活動を実施する・しないについては校長の判断とされている。(任意加入制についても同じ。)
 だから、理屈のうえでは「来年度から本校は部活動は実施しない」という選択も可能である。
 同じく「来年度から本校は部活動は任意加入制とする」という選択も可能である。
 しかし、部活動の教育的意義を考え、生徒の実態、保護者の方々の意見を踏まえ、現在の体制を選択している。

 部活動を実施する以上は、Bさんの意見のように、内容的に充実したものにしたい。
 そのひとつの方策として、以前にもお知らせしたが、小学校・中学校と家庭と地域が協働して、教育コミュニティ・すこやかみなみネット・ボランティア人材バンクを創設した。
 対象は、PTA会員、PTAのOB、地域の人々(原則として学区内)である。
 ボランティアの活動については次のような部門(例)がある。
 ・〈教科指導(含 総合的な学習・道徳等)の支援部門〉
 ・〈学校行事の支援部門〉
 ・〈読み聞かせ等図書館活動支援部門〉
 ・〈花壇づくり、校舎修理等環境づくり部門〉
 ・〈登下校の安全確保、学区巡視部門〉
 ・〈部活動の支援部門〉
 ・〈ボランティアセンター部門(人材バンクの管理・コーディネート)〉等々……。

 この中の「部活動の支援部門」の方々のお力を借りて、より質の高い部活動にしたい。
 ただし、職員会議・学年会議等で本校の教職員が指導にあたれない日に、部活動支援部門のコーチの方に指導をお願いすることは、事故等の責任問題との関連でできない。
 この点はご理解いただきたい。

★以上、Aさん、Bさんの相談にこたえるという形で、部活動に関する学校側の(実に歯切れの悪い)考えを、クドクドと述べた。
 Aさん、Bさんと同様、僕も部活動の早急な見直し・改善が必要だと考えている。
 部活動は、他にも多くの問題をかかえている。
 たとえば、少子化に伴い、現在ある部を維持することが年々むずかしくなっている。
 また、生徒のなかには、レクリエーション的にその種目を楽しみたいという生徒もいるし、競技志向の生徒もいる。
 現在の部活動は、それを1つの部として運営せざるをえないという苦しい事情がある。
 これらをどう改善していくかは、ほんとうにむずかしい問題である。
 「だから仕方がないから、ただ現体制を継続する」というのではなく、改善に向けて具体的に一歩前進したい。
 今後、①学区の実態を見据え、
 ②学校と保護者と地域の方々とで改善・改革の理念を共有しつつ、
 ③具体的な改善・改革の「一歩」を見つけだしていくつもりだ。
 多くの方々の意見をいただきたい。

★最後になるが、本校では部活動改善に向けた取り組み&努力事項として「部活動改革つなぎ4項目」を定めている。

(1)学年・学級(学年教員)で、あるいは、部活動(顧問)で、個々の生徒の社会教育活動(学習塾・稽古塾を含む)の実態を、可能な限り把握する。
 そのうえで、個々の生徒の社会教育活動が円滑に行われるように配慮する。

(2)地域で行われる社会教育活動や公的な社会教育活動への参加を奨励する。
 部活動と重なる場合も多いと思うが、各部顧問は、ここで充分、学社コーディネート力を発揮し調整に努める。
 子どもたちは学校教育ではとても育てられない力を社会教育で獲得する可能性がある。

(3)部活動の休止日については、冒頭でも述べたとおりである。
 くわえて、長期休業中の土・日は可能な限り休止日とし、生徒はもちろん、教職員自身も自身の家庭や地域で過ごすようにする。

(4)学校部活動に対する生徒・保護者の多様な要望への対応・改善策として、これまでの美術部、科学部、IT部を統合した「総合文化部」を開設した。
 現在の活動は、美術・文芸・パソコン(報道・ブログ)・科学などだが、今後、生徒の希望によって、本校顧問の管理のもとに地域・保護者のボランティアの方々に協力してもらい、メニューを増やしていく予定である。
 活動は、原則として、週3日程度(土曜・日曜の活動はなし)。
 この「部活動改革つなぎ4項目」の「総合文化部」のポイントは次の3点である。
 ①メニューを豊かにして、さまざまなニーズに応える。
 ②活動日に幅をもたせ、民間社会教育団体を含む社会教育活動との両立を可能にする。
 ③学校外活動(学校部活動や地域社会教育活動)のガイダンス、あるいはコーディネート機能を果たす。
 「ガイダンス、あるいはコーディネート機能」を具体的な例で説明すると――
 例1=ある運動部での活動がうまくいかなくなった生徒が、その運動部を退部し、総合文化部に入部する。総合文化部の報道メンバーとして、いろいろな部活動を取材するうちに、自分がソフトボールに向いていることに気づき、ソフトボール部に正式に入部する。……
 例2=当然、学校部活動と社会教育とのあいだでも、この機能は有効に働く。
 考えてみれば、学校部活動は、ひとつの部活動の継続指導に力を入れ、こういうガイダンス機能、コーディネート機能は軽く考えてきた経緯がある。

★ここまで書くと、既にお気づきの方もあると思うが、現在、子どもたちに大人気の「総合文化部」は、部活動改革「全員強制加入から任意加入制への転換」の「秘策」「奥の手」「うら技」といえなくもない。
 このことについて、僕のうちに、2つの声がある。
 1=たしかに実質的には「全員強制加入から任意加入制への転換」と同じ状況に至る。
 でも、この選択は、僕にとっては完全な退歩だ。
 地域&保護者と正面から部活動改革「全員強制加入から任意加入制への転換」論を展開すべきだ。

 2=波風を立てる必要はない。
 実質的に「全員強制加入から任意加入制への転換」を獲得し、あとから「全員強制加入から任意加入制への転換」論を展開すれば、理解を得られやすい。



★画像=今年も、MINAMIのカリンで、カリン酒をつくった。
 同じMINAMIのカリンでも、年によって実のでき方が違う。
 ある年、ずいぶん大きな実がなった。
 通常の2倍くらい。
 でも、カリン酒としては、あまりできはよくなかった。
 この点、今年のカリンは期待できる。
 小粒で、プンプンと香りがいい。
 輪切りにするとき、表面ににじみでてきた蜜で手がベタベタになった。
 熟成する花見の頃が楽しみだ(*^_^*)。

               

「ねじれ」を直視しないと「日本の教育ピンチ」は救えない


★毎年、毎年、この時期になると、僕の苦手なイベントが、あちこちで開かれる。
 「サケのつかみ獲り」だ。

 某ネットニュース=「サケのつかみ捕りで歓声」。
 ○○○のさけますふ化場で3日、サケのつかみ捕りイベントが始まった。
 多くの家族連れが来場し、特設プールの中で所狭しと泳ぎ回るサケを追い掛け、歓声を上げた。
 4日まで。(ニュース記事 以上)

 いやぁ~。
 蚊も殺さない僕には耐えられない画像だ。
 サケにしてみれば、難壁、隘路を乗り越えて、やっとふるさとの山川にたどり着いたと思ったら、なにも悪いことをした記憶もないのに、責め苦、千倍の阿鼻地獄「サケのつかみ獲り」が待っていた……というところだろう。

 くわえて、もうひとつ――
 春の「サケ稚魚体験放流」で「大きくなって帰ってきてねぇ~!」と手を振っている子どもたちと、数年後、その同じ子どもが大きくなり、同じく大きくなって帰ってきたサケを「捕まえ、懸命に引き上げる」姿が、僕のなかで、うまく接続できない。
 子どもたちに、いわば「ねじれた生き方」を強いている。

 では、どちらかをやめればOKなのか?

 「ねじれ」の正解を求めて、鮭文化に息づく町のHP「越後村上鮭ものがたり」をのぞいてみた。
 「三面川鮭稚放流式」や鮭の恵みに感謝する「鮭魂祭」と並行して、なんと、やっぱり「清流荒川鮭のつかみ捕り」が行われていた(*^_^*)。

 「ねじれ」を直視し、きちんと処理していかないと、「日本の教育ピンチ」は救えない。

 


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