WALKER’S 

歩く男の日日

4月11日 4日目 土佐民宿大平(土佐清水市)~はたご(大月町)

2014-05-26 | 14年四国の旅


 大平の朝食です。今年も納豆が出ました。昨年3つの宿で納豆が出て、どれもとても美味しくて、ついに家でも買って食べるようになってしまいました。食後のコーヒーも味わい深くてうれしい。2食付き7000円、昨年より500円の値上がりですが、これは仕方のないところでしょう。すぐに10%に上がるのであれば、この機会に500円上げてしまうのは普通のことでしょう。
 今日歩く距離は40km以下で札所もないので、ゆっくり7時ちょうどの出発です。今回は「来年も来ます」とは言いませんでした。来年は納経帳を持って巡るのでできるだけ遠回りは避けて、中村=足摺=三原村=愛南町、という効率重視のルートになってしまいます。



 宿を出て100mちょっと、国道に合流するところに新しい宿ができていました。魅力的な価格なのですが、ここを利用するお遍路さんは多くないでしょうね。


 宿から2kmほど行くと海の駅が見えてきました。この中にビビる大木さんが名誉館長を務めるジョン万次郎資料館があります。宿からもう少し近ければ昨日のうちに行くことも考えたけれど、往復4km以上となると負担が大きすぎます。もちろんこの時間には開いていません。


 3kmちょっと歩くときれいな夫婦岩が見えてきました。そういう名前が付いているかどうか分かりませんが、
 足摺はいつの間にか国立公園になっていました。54年前に発行された足摺国定公園の記念切手にはお遍路さんの姿が描かれています。ぼくがその切手を購入したのは発行されてから10年以上後のことですが、その頃にはまさか自分がお遍路さんになって足摺岬灯台を眺めるなんて思ってもみませんでした。





 8時18分、本日最初の休憩ポイント、道の駅めじかの里土佐清水に到着しました。8年前来たときと同タイムでした。9年前にも来たけれど、その時はここまでのタイムはとっていませんでした。

 この休憩所は8年前にはありませんでした。トイレの前にあったベンチで休んでいたら、隣に来た女(ここで働いている)がたばこを吸って大いに迷惑だったのを未だに忘れられません。


 道の駅から1600mほどで観光地竜串の町へ入っていきます。民宿とさやは10年前に泊まりました。応対も設備も良かったけれど、遍路宿にしては値段がちょっと高く、お風呂の石けんも有料だったのにはまいりました。遍路宿ではなく観光地の宿だから仕方ないのかも知れないけれど。次の日は下益野まで引き返して今ノ山峠越えで三原村に入り、延光寺まで行って門前の嶋屋旅館に泊まりました。2巡目でほとんど知識もなにもなく行き当たりばったりでした。


 足摺海洋館の前にある観光案内板です。見残し海岸は遍路道から2km以上離れているから初めから諦めていたけれど、これによると、観光船で行くみたいです。観光の時間も含めて往復で1時間と書いてあります。船に乗らなくてもいける竜串海岸、大竹小竹はそんなには離れていないけれど、大部行き過ぎてしまったので、もう戻れません。ここから行けるのは弘法大師見残し展望の跡だけのようです。


 案内板から少し西に来ると、ちゃんと道しるべがありました。一安心、距離も250m、手頃です。


 遊歩道が整備されています。この海岸もなかなかのものですが、見残しはもっとすごいということなのでしょう。


 大師のように見残しを展望します。どのあたりが見残し海岸かよく分からないのですが。




 ということだそうです。こちら側の道はもう最後になるかなあ、とこの時点では思っていたのですが、見残してしまったし、また泊まりたい宿も、会いたい人もいるので、再来年にはもう一度来てみたいという気持ちになっています。


 見残し展望の跡から1.5kmほど歩くと本日最初のトンネル、下川口トンネルが見えてきます。竜串から大月町に入る手前まではトンネルの道でもあります。


 下川口の集落を抜けてさらに1kmほど行くと、片粕トンネルです。昔の遍路道はトンネルの入口の所からぐるりと海岸線を巡る道があります。江戸時代にはその道さえなく山を越えていたのかも知れません。この過酷な海岸線を避ける近道が下川口から三原村へ向かう県道28号で、遍路地図にも赤線が付いています。この道はまだ歩いたことがありません。今ノ山峠越えより遠回りになりますが、峠の標高は250m、今ノ山峠は646mもあるから時間的にどれくらい遠回りになるかよく分かりません。県道28号から県道344号に入り、その道が三原村に入って1.5km、仁井田神社の近くに新しい農家民宿NOKOもできています。


 片粕トンネルの出口から歯朶ノ浦トンネルが見えています。


 歯朶ノ浦トンネルを抜けて1km先に貝ノ川トンネルです。


 貝ノ川トンネルの出口から叶崎トンネルの手前の大津大橋が見えています。


 叶崎の集落に入っていく手前に二つの民宿の看板がありました。ぼくは8年前に叶崎に泊まりました。このとき出た魚が最高に美味かった。料理を食べて声を上げそうになったのは後にも先にもこのときだけです。部屋やトイレ、洗面、お風呂は△なのですが、奥さんの人柄の良さと抜群の魚のおかげでぼくの中では「絶対また泊まりたい宿」の評価です。再来年、足摺の宿からここまで歩くとしたら33kmくらいなので、観光船で見残しを見学することも可能です。


 大津大橋から叶崎灯台が見えます。8年前は民宿に泊まるために、この橋は通らなかったので、この光景を眺めるのは初めてです。


 橋を渡り終えると叶崎トンネルです。入口の手前で2回目の休憩をとります。大平から19km、時間は10時31分、本日の中間ポイントです。


 灯台の方へは遊歩道があってそちらまで行けばベンチもあるのですが、手前の駐車スペースの地べたにへたり込みます。こちらの猫はやや用心深くてなかなか近づいてきてくれません。


 叶崎では24分の休憩、10時56分に出発です。叶崎トンネルを抜けたところからまた叶崎灯台を眺めます。8年前この道は通ったけれど、雨が降っていたし振り返るだけの余裕があったかどうか。灯台を見たか見なかったかはっきりした記憶は残っていません。


 叶崎トンネルを抜けて500mで西叶崎トンネルです。出口が見えているほど短いトンネルです。


 西叶崎トンネルの出口から脇の川トンネルが見えています。


 脇ノ川トンネルを抜けて500mで本日の宿がある大月町に入ります。土佐清水市の道は3日に渡って64km歩いたことになります。一つの自治体としては最も長い距離になります。


 大月町に入って2kmほど歩くと、大きな道路標識がありました。遍路シールを探すまでもありません。国道を離れます。昨年ここまではバスで通ったけれど、ここからは本当に8年ぶりの道です。その時は、この少し手前で先に出た同宿の男性を追い抜きました。


 大浦の集落を抜けるとちょっとした山越えの道が待っています。このみちはあまりきつくなかったという印象が残っています。


 山越えというよりは山の脇を巡ってくる道で標高は50mまでで全く問題ありませんでした。そして、何となく覚えている道がほとんどでした。やはり楽な道は記憶に残っていることが多いようです。あっという間に自動車道に出てきたという感じです。


 遍路道は自動車道を横断してまた山道へ入るのですが、今回はこの道は歩きません。前回は最後の方でよく分からなくなって、無理矢理自動車道にはいずり出てきたという苦い経験があるので、今回はすっきり舗装道を歩いてどちらがどれくらい遠回りになるかも確かめておきたいのです。


 ここからはしばらく初めて歩く道です。アップダウンもあまりないようです。


 遍路小屋がありました。こちら側の道には赤線が付いていないけれど、こちらを歩く人もいる、むしろ多いのかも知れません。


 そして、この光景です。歩きやすいということ以上に値打ちです。
 遍路道が自動車道に合流してくる道はちゃんとありました。しかも、かなり広くてしっかりした道でした。ぼくが無理矢理下りてきたであろうポイントとそんなに離れていませんでした。もう少ししっかり探せば本当の道で最後まで行けたようです。でも雨が降っていて傘もさしていて、初めての道で最後の方は半分パニックでした。




 12時04分番外霊場月山神社に到着しました。叶崎から70分、8年前より3分ほど早かったようです。最後の山道は1300mほどだから、そこでは4.8km/hほどで歩いていたことになります。
 昼食休憩は35分ほど、108円のビスケット一袋のみゆっくりいただきます。docomo携帯(ガラケー)は圏外になっています。


 月山神社を12時40分に出発、800mほど来たところに赤泊の浜へ下りていく分岐点が確認できました。8年前、ぼくが持っていた遍路地図(第4版)では姫ノ井小学校の近くに下りていく自動車道に赤線があって、赤泊の浜に下りていく道には赤線はありませんでした。その前の白黒の地図でもそうでした。しかも、赤泊へ下りていく道もこの近道ではなく大きく折れ曲がる遠回りの道しか書いてありませんでした。
 だから8年前来たときには、全く意識せずに歩いたし、そんな道があったという記憶も残っていなかったので少し心配だったけれど、分かりやすい道しるべがありました。


 この道しるべは2008年に建てられたから前回ぼくが来た2年後です。2007年に出た第8版の地図からは展望台経由のこの近道にのみ赤線が付いています。遠回りの大きく折れ曲がる道には赤線はありません。その頃この道が整備されたのでしょうが、昔の遍路道は遠回りで赤泊へ下りていく道ではなかったかと、首を傾げながら展望台へ向かいます。


 登ると書いてありますが、大したことはありません、高さも距離も苦にならない程度。他にも、地元の小学生が作ってくれた道しるべがいくつかありました。


 自動車道の分岐から赤泊の浜までは地図を見る限り1km弱というところですが、ほとんどが下り坂だったにもかかわらず20分もかかりました。焼山寺や横峰寺の登りと同じくらいのスピードしかでなかったことになります。後半のつづら折りの下りはかなり膝に負担がかかり、且つ慎重に下りなければなりませんでした。そして一番すごかったのがこの浜の手前の部分です、ゴロゴロとした大きな石や岩が敷き詰めていて、気をつけないといつでもどこでも捻挫できるという感じです。こんな所で挫折するわけにはいかないので、細心の注意を払いながらそろりそろりと浜に下りていきます。浜に下りてもご覧のようなゴロゴロで思ったように進めません。ここから脱出できるのか一瞬途方に暮れそうになるくらいです。


 何とか無事に浜の上の道まで上がってくると、地元の人20人くらいが大宴会の真っ最中でした。桜は完全に終わっているし、平日だし、いったい何なのかという感じですが、恒例の行事だと言っていました。ぼくが山道を下ってきたというと、感心して、「お接待させて」とラップに包んだ炊き込みご飯のおにぎり2個と500ccのペットボトルのお茶を持ってきてくれました。険しい道を乗り越えてきたばかりなので、ご褒美を頂いたような気持ちになりました。本日の宿は朝食がないので、おにぎりは明日の朝いただくことにします。


 赤泊の浜から1800m、探していた家がやっと見つかりました。


 元善根宿、西田家です。四元さんがこの家で江戸時代、明治時代のおびただしい納札を見せて貰っていました。むかしのお遍路さんの多くがこちらの道を歩いていたことを知ってびっくりしたのを覚えています。昔は、おそらくあの自動車道はなかったのでしょう。そして、自動車道ができてみるとこちらの道よりは大分楽で時間も短縮できるということで、遍路地図では赤線が付いてしまったのでしょう。
 ここで、初めてチェ・サンヒさんの遍路シールを確認しました。2年前くらいに貼られたはずなのに色落ちが激しいようです。ここまでは本当に見事なまでに見ることはなかったです。


 昨年バスの中から眺めるしかなかった姫ノ井郵便局にようやく戻ってきました。この中に入るのは8年ぶりです。また来たいと思いつつ、こちら側の道は下ノ加江方面へ打ち戻るよりも14kmは遠回りになるので、これだけの歳月を要してしまいました。


 8年前ここに来たときは朝からずっと雨で、月山神社を出た後、休めそうな所が全然なくて、ようやく見つけたこの郵便局で休ませてもらいました。そのとき太龍寺の黒豆茶をごちそうになり、このタオルもいただきました。以来、07年、08年、09年の通し、12年の別格区切り打ち、そして昨年今年とずっとこれ1本で巡っています。当時、ぼくは白衣も着けず、金剛杖も菅傘も持たなかったので、お遍路だと気がつかれることも少なく、自然お接待を受けることもほとんどなかったので、この郵便局で休ませてもらったときのことは心に沁みました。それを忘れないようにこのタオルを大事に使い続けてきたのです。
 もう一度、局長さんに会いたかったのですが、仕事で外出中だとのこと、残念だったのですが、8年前のことを女性局員さんにお話しして、ブログのアドレスを書いた納札を渡してもらうようにお願いしたので、すっきりしました。でもまた、このタオルを持って来られたらいいな、とは思っています。


 事情を話して納札を差し出すと、少し待ってくださいと、局員さんが奥に入っていって、この、ごっくん馬路村を持ってきてくれました。本日2回目のお接待で感激です。郵便局のすぐ横に新しい遍路小屋ができていて、そこで本日3回目の休憩です。


 郵便局の横では20分ほど休憩し、14時20分に出発です。宿まであと7km弱だからちょうどいい時間です。郵便局から4900m、道の駅大月には45分で到着、時速6.5kmですから十分すぎる速さですが、8年前はそれよりもう少し速かった。


 15時30分、本日の宿はたごに無事到着しました。8年ぶりにこちらの道に戻ってくることができて大満足の1日でした。


 お刺身三種盛りで量も十分、キビナゴとハマチと白身(名前は分からなかった)、これで今回泊まった土佐の4つの宿のお刺身は全部種類が違ったことになります。ありがたいことです。ご飯は大抵3杯は食べるのですが、2杯でも十分なくらいおかずの量はたっぷりでした。
 ご主人は感じのいい方で。お遍路の話をたくさんしてくれました。普段はお遍路さんはあまり通る道ではないけれど、大型連休の時はご多分に漏れず満室で(3室)で断るのが大変だといってました。今日は金曜なので釣客二人連れが二組で満室です。部屋は隣との間仕切りがふすま1枚で丸聞こえ、おとなりさんは12時近くまで缶ビール缶酎ハイで盛り上がり、寝たと思ったら大いびき。ぼくはいったいどれくらい眠ったのだろうという感じでした。5年前までなら腹の一つもたてたかも知れませんが、今回は、そういうこともあるでしょう、という感じで、寝ころんで目をつぶっているだけでも十分という開き直りができました。1日中歩いて、風呂に入って、夕食をたっぷり食べて、ということで、本当に熟睡感はなくても、疲れはとれていて朝はいつも通りという感じでした。
 夕食付き4000円、素泊まり2500円、朝食はありません。
 部屋はテレビもなくそういう感じですが、月~木曜だと釣り客もなくお遍路さんもあまり来ないので一人で静かということが多いと思います。そうであれば、この食事でこの値段ですから、当然◎の評価をする人が多いと思います。ぼくはたまたま運が悪かったということで、評価は○ということにはなりますが。