著者は免疫システム学の教授で薬学博士。
友人が「LPSって、凄いんだよ~」と言って貸してくれた本ですが、
私にとっては「ナニ、それ?」という感じの、馴染みのない言葉でした。
本文中を探しまくってやっと見つけたのが、
p.88 LPSは、グラム陰性細菌の細胞壁の外側に存在している物質。
グラム陽性細菌には存在しません。
LPSは、糖と脂質が結合した構造をしているので、日本語では
「糖脂質」あるいは「リポ多糖」と呼ばれ、
英語では「Lipopoly saccharide」、略して「LPS」と呼ばれています。
グラムというのは「デンマークの細菌学者」の名前で、その方が
<細菌を染色して、細胞壁の構造の違いを明確にする方法>を確立したそうな。
ま、この記述だけ見ても、相当専門用語が多く、難しい内容です。
何となく、へぇ~、そうなのかなぁ?と思った点は、
p.80 COV-19(=新型コロナウイルス。以下、コロナ)に感染した後、
免疫獲得の立ち上がりが遅い。
p.89 病原体が体内に入ると、まずマクロファージなどを中心とする
自然免疫が働く。次に1週間程度かかって獲得免疫が働きだし、
抗体ができる。
インフルエンザの場合、ウイルス自体の毒性が強く、曝露して
感染するとすぐに、発熱、咳、鼻汁、筋肉痛など明らかな症状が出て、
発症後2日~1週間で獲得免疫が立ち上がり、抗体ができてくるのが普通
(獲得免疫で抑え込めれば1週間~10日で治癒。抑え込みに失敗すると、
肺炎が広がり、まれに死に至るケースも)
p.82 新型コロナは毒性が弱いために、生体が抗体を出すほどの”外敵”ではなく、
自然免疫での処理で十分と判断してしまっているのではないか
著者の推測は、
p.83 日本の場合、新型コロナウイルスに曝露した人がたとえ他者を曝露させた
としても、多くが自然免疫で処理されている。軽症以上の発症率は低く、
それゆえ抗体陽性率も低くなっている
PCR検査では、体内で自然免疫によって処理されたウイルスの残骸にも
陽性反応が出るため、こうした状態でPCR検査の陽性者全員を
「感染者」として捕捉しても、適切な対策は講じられない。ゆえに、
陽性者数に一喜一憂していてもいい実がなく、
自然免疫による無症状割合や、発症率、重篤化率などを
精査するべきである
私もこの説に全面的に賛成です。
p.148 日本人のコロナ感染症における死亡者の割合が、欧米に比べて
際立って少ない原因について
日本人(アジア系人種)は、欧米人に比べて血栓ができにくい
日本人特有の生活習慣、遺伝子や、医療体制の充実度などの他に結核予防に
用いられるBCGワクチン接種が何らかの役割を果たしているかもしれない
LPSは食生活(摂取する食べ物)で増やすことができるそうです。
p.115 無農薬の野菜、海藻類、玄米、納豆、みそ汁、、、
それらで作る日本の昔ながらの食事を心がけることがポイントになります。
ふむ。じゃあ、そんなに大騒ぎして「LPSを!!」と言わなくてもいいのでは?
と思ってしまいますが、上記のような食事をしている人は今や少数派なのでしょう。
我が家は団塊世代夫婦二人ですから、毎食、発酵食品や食物繊維の山です。
今流行の「イタリアン」「ラーメン」「寿司」などは、お付き合い程度、
または行事食の<賑やかし>に夫が作る程度です。
同じ日本人でも、
昔風和食の内容か、現代風お洒落な洋食なのか?で、
体内のLPSの量は大きく差がついていきそうです。
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