Side Steps' Today

裏版Side Steps' Today

散財日記

2020年09月19日 | CD批評
松岡直也&ウィシング 「Live at Moureaux Festival」
前回同様、記憶に刻まれるライブ…しかもなぜかCDを聴いた場所の映像付きという意味では本作。記憶に刻まれた場所は、もう陽の落ちた関越インター花園出口付近。松岡直也(以下敬称略)といえば我らSide Stepsが1992年に出場したマツダのジャス・コンテストでの審査委員長であり、結果そのコンテストでSSが優勝したために受賞後のパーティーで一緒に飲食する機会に恵まれたのだが、より強く印象に残るのは直也本人でなく直也夫人…。ご本人は寡黙な一方で夫人はまさに豪快系、あの村上ポンタが夫人にイジられてタジタジになっていたのが強く印象に残る。似た一般的イメージでいえば野村克也・沙知代夫妻か。ポンタでさえあの扱いなら直也氏の日常における地位と力関係は想像に難くない。で演奏だが、名曲Noche Corriendoのサックスソロ3:40付近からやってくる有名な場面。テナーサックスソロ裏のベースライン(高橋ゲタ夫氏)が突然暴れ出す。モニターから自分の音が聞こえないのが原因の模様でG→F→E♭→Fのコード進行中に(サウンドから判定するにAmpegのBabyBassがフレットレスなことから)Fがシャープ気味になったの最後に完全に音を探す展開となって暴走。ただ暴走ベースよりも興味深いのは他プレイヤーの演奏。まず、動揺著しいのは当然ながらソロ中のサックス。自分がコードを錯誤しているかも…という不安心理煽る不協音の中、コーダルなフレーズは吹けずにトリルやロングローンで切り抜けようと必死。直也のピアノも当初はやや動揺するも次第に正しい音を強く提示すべくモントゥーノも自ずとアクセントがつく。ドラムも直ぐにこの異常事態に気が付いてシンバルで喝を入れるが、ドラム故に自分が正しいコード感を提示できない歯痒さの中で気丈にシンバルでアクセント、というバンドとしての非常事態への対応がとても一体感のある(勝手な妄想に基づく)ものになっていて好感度大。演奏を聞いたPAがモニターを調整したのか暴走は直に終息するが、これをカバーすべくその後の演奏もグーで、これをそのままレコードとして世に出す男気もまたグー。不思議にこの暴走フリーベースも聴き続けていると違和感がなくなってくるだけでなく、カッコよくさえ聴こえてくるのは流石(笑)。 
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