河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

消えゆくすばらしいもの

2008-01-31 | 研究・講演
今朝届いたちょっとしたメールから巡り巡ってとんでもないことが判明した。

実はもうかなり前のことだが、オージー技研で開発中の体幹筋力測定装置を岡山県南部健康作りセンターに持ち込んで1000人以上の健常人のデータを取ってもらった。
体幹筋力測定装置で健常人の標準値をきちんと計測しているものは他にはないので、この器械は非常に貴重な計測器になった。
GT350の型番で発売されたが、実際にはあまり売れなかったそうだ。

今朝のメールは知り合いの先生からオージー技研からGT350を一時的に借りたいのだが口をきいて欲しいというものだった。
そのことをオージーに投げかけたらすぐに電話が返ってきた。

その内容が衝撃的で、実は薬事法が改正されて、その影響でGT350も再度薬事を通さなければならなくなったのだが、これまでは書類を提出するだけで良かったのが、今後はやっかいな検査データをそろえたりずいぶんとお金がかかることになってしまったのだそうだ。
それで、膝周りの筋力を測定するような売れ筋の物はコストをかけても維持するが、GT350のようにあまり台数がでない物は製造中止でカタログにも載せないことにしたのだとか。

そういう事情があってデモの申し出にも対応できなかったのだそうだ。

しかし、GT350は比較的安価で計測に時間もかからずさらに1000人以上もの基礎データがあるというのに、何とももったいないことである。

これからはWiiFitのようにネームバリューがあって大量に安価に供給されるような物しか生き残れないのかもしれない。


同じような話を最近ネットで読んだ。
それはマック専用のソフトを作っているエルゴソフトがEGワードというソフトの販売を中止するという記事である。
Appleのパソコンは欧米ではiPodの販売に伴って若年層にもかなり売れているのだそうだが、日本では昔からのマックユーザーしかマックを購入せずに確実にユーザーの高年齢化が進んでいるのだそうだ。
日本でしか売れない日本語ワープロソフトのEGワードはこれからはビジネスにならないと判断されたらしい。

結局いくら良い物でもビジネスにならなければ商品として提供することは不可能なのだという厳しい現実がそこにある。
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私と歩行分析 8

2008-01-31 | 私と歩行分析
3次元動作解析システム・エリートはその後何度も業者さんが来て調整を繰り返したがいつまで経ってもぱっとしない。
そうこうしているうちにそれまでMS-DOSベースだったのがWindows95で動く新しいバージョンになると言うので大いに期待した。
キャリブレーションもそれまでの大型のフレームを使用する方法からワンドを振る新しい方法になるとのことだった。
しかし、この期待も裏切られる。
とうとう堪忍袋の緒が切れた。

それでどうなったかというと、イタリアから学会で来日していたBTS社の副社長(だったと思う)に会って直談判した。
そうすると、
「これまで多大なご迷惑をおかけした。ついては特別サービスの用意がある。」
とのことで、なんと無償でカメラがそれまでの4台に加えて2台追加されたのである。

カメラが増えたことでモーションキャプチャーは不安定ながら何とかできるようになった。
それでも、時々調子が悪くてデータが欠損することがある。

もうこの頃になると、消耗してしまって調子の悪いエリートに触るのがいやになってきていた。

その一方で、吉備国際大学での取り組みもだんだん成果を見せ始め、自前で研究費が取れるようになってきた。
一貫してCKCの研究を行ってきていたのだが、まずはCYBEXのレバーアームの先にフットプレートをつけてその基部にロードセルを仕込んでCKCでの足部出力を計測するようなことを始めた。

いらいらするエリートの計測よりもこちらの方が単純で、知りたい計測値がすぐに出るので、それからは研究費を取ってきては自前で計測システムを作って研究を行うやり方に自然とシフトしていった。
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