河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

ISPO参加(感想)

2007-07-31 | 研究・講演
先ほど、ポスターセッションで発表を行ってきた。

書き留めておかないと時間が経つと忘れてしまうので、雑感を記しておく。
まず、全体に工学系の発表が多かった。
これは日本での義肢装具学会にも共通する傾向で、工学分野での進歩が医療に生かされているわけで望ましい傾向である。
しかし、私が愛読しているSFシリーズでは、切断者は受傷したその日に体と一体化した本物と機能的に全く遜色ない義肢を手術で手に入れることができるのだが、現実の義肢装具はそんな理想からはほど遠いものである。
骨格に直結した義足の研究も進んでいるが、進歩は遅々として進まない。
3年前に香港の学会でデモを行っていた骨格直結義肢をつけた患者さんが、今年も来ていた。
デザインやコンピューター制御などの機能は少しずつ進んでいるようだが、画期的な発明というのはなかなか出てこないようだ。

オーラルでの発表を聴きにぶらりと会場にはいると、聞き慣れた日本語英語の座長がいると思ったら、知り合いの先生であった。
スピーカーにも何人か知り合いの先生がいた。
国際学会で日本人の発表を聞いていると、自分も含めて英語力のなさにあきれる。
たいてい、研究内容は高度ですばらしい。
発表も発音はそこそこながら無事にこなす。
その後の質疑応答がだめなのである。
質問者はまさか、こんなにすばらしい発表をしているのだから英語がだめとは思っていない。
マイクで質問を終えて席に戻ろうとしたところに壇上のスピーカーが
「すみません。質問がよく聞き取れませんでした。」
と呼び止める。
しかたなくもう一度大きな声でゆっくり質問をする。それでも、
「すみません。もう一度言ってください。」
こんなやりとりの後、ぴんぼけの受け答えがある。
質問者はようやく日本人独特の英語のつたなさにあきれて質問を打ち切る。

やはり英語力は重要である。
昼休みに会場の近くでバンクーバーの地図とガイドブックを買ってベンチに座って読んでいたら、ちょうど横に座っていて携帯でしきりにビジネスの電話をかけまくって一息ついたビジネスマンに話しかけられた。
Are you new to Vancouver? Where did you come from?
と言った調子である。
しばし、会話を楽しみ、地元の人でないと知らないような情報をいくつか教えてもらった。
何でバンクーバーがYVRと省略されるのかと聞いたら、分からない単なる記号だろうという。
地元に住んでいると当たり前すぎて疑問にも思わないのだろう。
何故Yがつくのか今のところまだ分からない。

言葉ができるというのは学問をするのにも、人生を楽しむのにも重要な要素となる。
息子には自分と同じ苦労はさせたくないと思って、英語で授業をしてくれる小学校にやったのだがこれは良かったのか悪かったのかまだ結果は出ていない。
日本で日本人の親に育てられていると、頭の構造はやはり日本語になってしまう。
まだ、日本語もろくに操れない頭で外国語を勉強しても身につくのかという疑問は確かにある。
それでも何とか英検3級は合格したので日常会話レベルの英語力は身についてきているようだ。

とにかく語学は習うより慣れろなので、どんどん実践するしかない。
国際学会に来るたびに息子も含めて英語を何とかしなければと悔やむことしきりである。

肝心の今回の学会でつかんだものであるが、新しいコンセプトの腰痛用コルセットを見つけたのと、大手のOtto Bockが麻痺患者用のコンパクトな電気刺激装置を開発していることを知ったことくらいか。
今回の学会参加費は円安のせいもあって非常に高くついたので、まだ元は取れていない。
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ISPOに参加

2007-07-29 | 研究・講演
7/29-8/3にバンクーバーで行われる国際義肢装具学会で下記演題を発表する。

KNEE REHABILITATION USING ISOKINETIC CLOSED KINETIC CHAIN EXERCISE MACHINE
Kenji KAWAMURA, M.D.
KIBI International University, Okayama, JAPAN
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西讃整形外科懇話会夏期講演会

2007-07-25 | 研究・講演
香川労災病院の医局先輩の取り計らいで、西讃整形外科懇話会夏期講演会で講演をさせていただいた。

変形性膝関節症における閉運動連鎖運動の効果
吉備国際大学保健科学部教授 河村顕治

CKCを利用したホームエクササイズとして、入浴時にバスタブでレッグプレスを行う入浴エクササイズ ( NY Ex. )が効果的である。CKCでは膝関節における剪断力が減少する一方で圧迫力が高まるが、高齢者ではCKCでのレッグプレス出力が著明に低下しており危険なストレスが発生することはない。むしろ、最近の基礎研究からは適度な歩行やリズミカルなレッグプレス運動は軟骨代謝を刺激する効果があると考えられる。

四国で講演をするのは実は初めてである。
リハ学会の単位も取れると言うことで、たくさんの方が聞きに来てくださった。
同期の高橋先生なども来てくれ、講演後の懇親会も盛り上がった。
楽しいひとときであった。
時々、珍しいところに講演に呼ばれるのは大歓迎である。
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天野君大活躍

2007-07-19 | 研究・講演
今日一番の傑作メール

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河村 先生

たった今、このようなメールが届きました。
これは論文を書けということでしょうか?誰にでも来るものなのでしょうか、それとも選ばれたのでしょうか?
20枚という枚数が書けるか不安ですが(汗)。
どのようにすればよろしいでしょか?

***************
天野徹哉
***************


天野徹哉 先生 御机下


前略

先日は、軽井沢での第19回日本運動器リハビリテーション学会におきまして、ご講演
いただき、まことにありがとうございました。学会誌である、運動療法と物理療法で特
集を組み、先日の発表の中から「運動器に対する保存療法の介入」をテーマとして、先
生のご講演につきまして、ご寄稿いただければと考えております。


原稿枚数は図表を入れて20枚程度、執筆に際して共同執筆者を入れても結構です。原
稿は、9月末日を締め切りにする予定です。早急で申し訳ありませんが、ご高配いただ
ければ幸いです。つきましては、ご寄稿の可否につきまして、7月25日までにmail(orthhiji@med.kurume-u.ac.jp)で
折り返し、お返事をいただければ幸いです。

以上、よろしくお願い申し上げます。

日本運動器リハビリテーション学会
運動療法と物理療法
編集委員会

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同級生がこれを読んだら腰を抜かすような内容である。
しかし、千載一遇のチャンスなので、彼には何があっても論文を書かす。
いやだと言っても絶対に書かす。

世の中はこういう事があるからおもしろい。
ひょっとして学会奨励賞などもらったりして・・・
それはないか。
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台風一過

2007-07-15 | Private
7月としては最大規模という台風4号だが、朝起きてみると外は見事に晴れ渡っていた。
この連休はせっかく休みなのにどこにも行けないかと思っていたが、せっかくの海の日なのでどこかに出かけたくなった。

最近、書類仕事が増えていらいらすることが多かったのだが、こうしてぼんやりする時間も取れるので実際にはそんなに忙しいわけではないのだと言うことを自身に言い聞かせている。

ソネットM3の医師掲示板などを見ていると、最近の勤務医の置かれた状況は末期的で、確実に医療崩壊に向かっていると思わされる。私自身も、少しは医療に関わるものとして、大学がいくら大変だと言っても人の命に関わる責任はほとんど生じることがないので、病院で勤務医が直面させられている過酷な状況とは比べものにならないと思う。

自分より恵まれない立場の人を見て自分の置かれた状況を納得させるというのはあまり良いものではないが、自分はまだまだ余力があると感じられるのは良いことかもしれない。

いろいろあるが研究環境も改善してきているし、初心に返ってまた頑張ろうと思う。
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運動器リハ学会報告

2007-07-11 | 研究・講演
天野君より遅まきながら報告が届いた。
次の彼の発表は11月の義肢装具学会で、これには私も参加するつもりである。

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無事に発表終わりました。質問はフロアーからはなく、座長の千田先生からいくつかありました。
膝70°は高齢者には難しいのではないか。←これは抄録に高齢者に最適な運動療法と書いたためだと思います。
なぜ椅子からの立ち上がりを選んだのか。
これらの質問にはしっかり答えられました。
あとは、綱引き動作がハムストの筋活動があがると言われていたのですが、今回の方法も綱引きと同じような原理と思いました。

今回の学会に行って思ったのですが、今回来ていたドクターの先生は患者さんを対象とした研究が好きなようで、「何を何回したら、これだけ効果があった」という研究には非常に質問も多かったような気がします。

今回は45点はいけたのではないかと思います。声は震えなかったのですが、手足が震えました(笑)。
やはり一人では心細かったです。
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運動器リハビリテーション学会

2007-07-07 | 研究・講演
卒業生の天野君が下記発表を行った(はず・・・?)。
会場は軽井沢である。
私も行きたかった。

椅子からの立ち上がり運動によるCKCトレーニング
キーワード 閉運動連鎖・ハムストリング・表面筋電図
天野徹哉1),酒井孝文1),小池陽輔2)、平柳富美2)、近藤篤2)、山本武史2)、河村顕治(MD)2),
1)朝日リハビリテーション専門学校
2)吉備国際大学保健科学部理学療法学科
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ペーパーワークとの闘い

2007-07-07 | 大学
科研費が2つとJSTの研究費、文科省の教育高度化推進の助成金、オープンリサーチセンター補助金、企業からの奨学寄付金それに学内の研究費...これらが今年度私が執行しなければならない研究費だ。
当然のことながら鉛筆1本買うのでも学内ルールに従った書式の稟議書を書かなければならない。
さらに人を対象とした研究をするには倫理委員会に必要書類を提出して許可を受けなければならない。
また、被験者に謝金を出そうとするとこれにも稟議書が必要である。
出張すれば事前に書類を提出して事後に報告書がいる。
その結果、毎日毎日書類を書き続けることになる。

一生懸命外部資金を取ってきて頑張れば頑張るほど苦しくなる。
大学としてこれらの雑用を減らすように援助してくれればよいのだが、事務からはひっきりなしに問い合わせや書類の不備の指摘の連絡が来るばかりである。
しかたがないことと諦めているが、矛盾することを求められると毎日忙しいだけに切れてしまう。

昨日もそうだった。
補助金などを取ってくるには正確で詳細な予算立てが必要である。
そのためには主要な研究機器の業者見積もりを取り寄せる必要がある。
ところが大学の用度課は、各教員が見積もりを取ってはいけないという。
医療機器など1回見積もりを取るとその金額が固定してしまって、後から用度が価格交渉してもうまくいかないからだと説明されている。
さらにあろうことか、価格を調べて業者の指定をして購入稟議書を提出すると、業者との癒着が疑われると言う。
それならいったいどのようにして補助金の予算立てをしたらよいのか。
見積もりを取らずに具体的で説得力ある申請書が書けるのか?
こういった疑問には答えてくれない。
私学なのにまるでお役所である。

そんなこんなでつい声を荒げてしまった。
こういう事が続くと面倒になってもう外部資金を取るのをやめようかと思う。
しかし研究費がなくてはやりたいことが何もできない。
アンビバレント

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Brain Research論文掲載

2007-07-04 | 研究・講演
Brain Researchに下記論文が掲載された。

Osmotic shock-induced neurite extension via activation of p38 mitogen-activated protein kinase and CREB.
Kano Y, Nohno T, Shimada K, Nakagiri S, Hiragami F, Kawamura K, Motoda H, Numata K, Murai H, Koike Y, Inoue S, Miyamoto K.
Brain Res. 2007 Jun 18;1154:1-7. Epub 2007 Apr 5.
(概要)Although it is known that sustained activation of classical mitogen-induced protein kinase (MAPK, also known as ERK) induced by nerve growth factor (NGF) plays an important role in the induction of neurite outgrowth, the role of p38 MAPK in neural cell function is still not clear. We developed two neuronal cell lines from PC12 cells, PC12m3 and PC12m32, in which NGF-induced neurite outgrowth is impaired and that show neurite outgrowth in response to hyperosmotic shock. The frequencies of neurite outgrowth of PC12m3 and PC12m32 cells induced by osmotic shock were approximately 10- and 12-fold greater, respectively, than that in PC12 parental cells. The p38 MAPK pathway inhibitor SB203580 but not the ERK pathway blocker U0126 inhibited the ability of PC12m3 and PC12m32 cells to induce neurite outgrowth in response to osmotic shock. Furthermore, expression of a nonactivable form of p38 but not that of wild-type p38 significantly blocked neurite outgrowth induced by osmotic shock. The extent of phosphorylation of p38 MAPK induced by osmotic shock in PC12m32 cells was much greater than that in PC12 parental cells. The upstream kinases MKK3 and MKK6, which phosphorylate and activate p38 MAPK, also showed higher levels in PC12m32 cells than in PC12 parental cells when treated with osmotic shock. Inhibition of p38 MAPK by SB203580 resulted in inhibition of the activity of the transcription factor CREB, which is activated by osmotic shock. These findings indicate that activation of CREB mediated by a p38 pathway distinct from the NGF signaling pathway may be required for neurite outgrowth.
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