河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

サルコペニアの専門家?

2014-04-29 | 研究・講演
確か3月のことだったと思うが、中国労働衛生協会というところから連絡があり、そこが発行している広報誌に記事を掲載したいので取材をさせて欲しいとのことであった。
記事のテーマはサルコペニアであり、『サルコペニアの専門家』の私に取材をしたいのだとか。

昨年、シニアNaviにサルコペニアの記事を書くことは書いたが、私自身は自分がサルコペニアの専門家だとは考えていなかった。
しかし、よくよく考えてみるとサルコペニアというのは加齢に伴って筋肉が減少するという整形外科医なら誰でも知っている常識につけられた言葉であり、高齢者の筋力低下を防止するのは私の長年の研究テーマでもあるので、そういう意味では私はサルコペニアの専門家と言われてもおかしくない。
実際に、現在行っている科研費での研究はサルコペニアの早期発見と予防をテーマにしている。

もうかなり昔のことであるが、日本医事新報社の依頼で、下記のようなQ&Aの記事を書いたこともあった。

Q:健康な六十歳代前半の人において四肢に荷重をかけた運動(例えば左右の足に五百グラムくらいの負荷をかけるなど)による筋力増加はどの程度期待できるか。また、年齢による筋力低下防止にはどの程度有効か。   
          (愛知県  開業医)
A:人の筋力は二十歳代をピークに減少を始め、六十歳頃から急激に低下する。この筋力低下は上肢よりも下肢の筋において顕著である。最近の我々の研究では大腿四頭筋の筋力低下の度合よりも、下肢全体で蹴る力の減少の度合が大きいことが判明した。超高齢化社会を迎え、中高年者が予防的に安価かつ簡便な方法で下肢全体の筋力を鍛えることが求められている。
 Fiatarone MA el al.(1994) は七十二-九十八歳の高齢者百人を対象に高負荷筋力増強トレーニングを実施して、筋力が約二倍に向上したと報告した1)。この時のトレーニングでは最大筋力の八十パーセントの重り負荷が利用されている。筋力強化理論には古典的であるが基本となる原則がある。「過負荷の原則」と呼ばれるもので、筋肉は普段の生活での運動負荷以上の負荷がかかることによって筋力が増大するというものである。一般的には最大筋力の六十パーセント以上の負荷をかける必要がある。したがって左右の足に五百グラムくらいの負荷をかけることが筋力増加に結びつくとは考えにくい。人によってはこの程度の負荷であっても過負荷となり筋力が増加するが、さらなる筋力増加を求めるのであれば重りを漸増しなければならない。具体例をあげると、プロスキーヤーである三浦雄一郎氏は、六十五歳の時に五年後の七十歳でのエベレスト登頂に照準を合わせてトレーニングを始めたが、一年目は片足に一キロずつ、二年目は二キロ、三年目は五キロ、そして五年目には片足十キロの重りをつけて歩いたという。
 一方、重りを利用したトレーニングにおいては高負荷で低頻度の運動では最大筋力を増加させ、低負荷で高頻度の運動では筋持久力を増加させるという特性がある。左右の足に五百グラムくらいの重りをつけて生活することは後者の筋持久力を増大させる効果があると考えられる。従って、年齢による筋力低下防止には有効と考えられる。
 重り負荷を利用したトレーニングにおいては生体力学的な考察も重要である。足首に重りをつけた場合、歩行においては足部が地面に着いた立脚期には下肢筋に重りによる負荷はかからない。一方遊脚期には下肢を持ち上げるために股関節屈筋である腸腰筋に主に負荷がかかることになる。四肢末端に重り負荷をかける方法では特定の筋肉に強い収縮を引き起こし、関節にいびつな応力を生じる場合がある2)。重りを利用して筋力増大を計るのであれば四肢末端に重りをつけるよりは体幹につける方が安全で効果的である。リュックサックやベストに重りを仕込む等の方法で体幹に重りをつけると、歩行によって抗重力筋と呼ばれる下肢筋および脊柱起立筋などに強い共同収縮を引き出すことが可能になる。特に骨粗鬆症で背中が曲がってきている人にはリュックサックの紐を緩めて重りが臀部に来るようにすると姿勢が矯正されて効果的である。下肢筋だけでなく、腹筋背筋も鍛えられて腰痛も軽減する3)。
 さらに、筋力強化法としては重りを用いる等張性訓練以外にも等尺性訓練が有効である。著者は十年ほど前から、変形性膝関節症患者を中心に日本人の入浴好きという特性を生かした入浴時にバスタブを利用した等尺性レッグプレスを指導して効果を上げている4)。
       ( 文献 )
1) Fiatarone MA el al.: N Engl J Med 330(25): 1769-1820, 1994.
2) 河村顕治:臨床リハ5 (2) : 186-189, 1996.
3)河村顕治:明治生命厚生事業団第12回健康医科学研究助成論文集: 29-39, 1997.
4)河村顕治:臨床リハ7 (5) : 544-547, 1998.
(吉備国際大学保健科学部教授 河村顕治)
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データは復旧できず

2014-04-25 | 大学
解析の結果がメールで送られてきた。

『解析装置検証にて内部電子素子自体の損傷と診断され、元となる情報の取得が不可能なため復旧は不可 と判定されました。ご期待に副えず恐縮ですが、ご理解の程お願い申し上げます。』

ブランド品のUSBメモリを過度に信頼して使っていたのがまずかった。

しかし、こういう結果になったので、すっぱりと諦めて、残されたデータで復旧するしかない。

ゴールデンウィークにまた仕事が増えてしまった。
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データ復旧サービス

2014-04-23 | 大学
壊れたUSBメモリだが、パソコンに刺しても全く認識しないが、システムレポートではUSBのところにきちんと認識されているのでデータ復旧の可能性はあるのではないかと考えた。

パソコンに残されたデータから失ったデータを作成するのは不可能ではないが、とても時間がかかる。
データ復旧サービスを利用するコストと自力で復旧するための時間を天秤にかけると、データ復旧サービスを利用した方が良いと考えた。

壊れたUSBの販売会社に連絡しても、壊れたUSBの交換はしてもデータ復旧はできないと言う。
代わりに、関連のロジテックデータ復旧技術センターの連絡先を教えてくれた。

いったん方針が固まったら早い方が良い。

昨夜、帰宅途上に宅急便に配達を依頼した。


この様な経験は生まれて初めてである。

以前は必ずデータはパソコン本体にバックアップを取っていたので、たとえメディアが壊れても何の問題もなかった。
ところが、最近常時3台のMacを利用するようになり、それぞれに同期したデータを置いておくことが困難になった。
それで、信頼できるメディアにデータをひとまとめにして持ち歩いていたのだが、これが致命傷となった。
少なくとも1台のMac本体に常時バックアップを取るようにしておくべきであった。

悔やんでも仕方がないので、ロジテックデータデータ復旧技術センターからよい報告が返ってくることを期待している。
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キックオフミーティング

2014-04-20 | 大学
キックオフミーティングというのは分かりやすく言うと年度始めに行う『決意表明会』だろうと思う。
数年前から始まったが、一日かけて結構大変である。

今年はさらに大変なことに、大事なデータの入ったUSBメモリが壊れてしまった。

ちょっと深刻である。

帰りに本屋に寄って、数冊本を購入した。

『下りの中で上りを生きる』
「不可能」の時に「可能」をみつけろ
鎌田 實

今の私にぴったりの本だ。
楽観力で乗り切ろう。
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やっつけ仕事

2014-04-17 | 大学
昨日から今日に書けて締切の迫った仕事を立て続けに仕上げていった。

まさにばっさばっさとやっつけている感じである。

1つ仕事を終えて提出がすむと肩の荷が1つ軽くなる感じで爽快である。

しかし、講義や会議の合間に時計をにらみながら書類を仕上げていくのは相当なストレスである。

途中誰かが研究室に尋ねてきたりすると計画は台無しになる。

しかし、振り返ってみると仕事というのは締切が迫っていったん作業を始めると実際には大した時間はかからない。

仕事に着手するまでの心理的な抵抗感がストレスの原因なのである。

何でも早め早めに仕上げて行くのがストレスを減じるポイントなのだと言うことになる。
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ゴールデンウィークのイベント

2014-04-16 | Private
いろいろな仕事が押し寄せてきて、頭の中も机の上もグチャグチャの散乱状態である。

こうした仕事のストレスを乗り切るには、あらかじめ遊びのスケジュールを組んでしまうのが一番である。

近場ではゴールデンウィークだが、どこにも行く予定がない。

そこで、自宅でバーベキューパーティーを行うことにした。

とりあえずはそれを楽しみに4月を乗り切ろうと思う。
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春の癒やし

2014-04-15 | Private
新学期が始まり慌ただしく毎日が過ぎている。

いろいろな書類を準備したり、講義の準備をしたり、大学院生の指導体制を決めたり、毎日気がかりなことばかりである。

今年は昨年のように新規補助金への応募という大仕事はないものの、学園として医療センターを岡山市内に立ち上げるという新規事業が行われるので昨年以上に大変なことになりそうだ。

そんな毎日の中で、心の癒やしは園芸である。

昨年末に取り寄せて植えた100個のチューリップの球根が、春になって見事に花を咲かせるようになった。

先週は皇帝ダリアの苗を2株購入してきて、昨日庭に植え込んだ。
これは秋になったらぐんぐん伸びて大きな花を咲かせてくれるはずである。

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第122回中部日本整形外科災害外科学会・学術集会 2日目

2014-04-12 | 研究・講演
今回の学会で聴講した講演は以下の通り。
主にスポーツ医学関係の講演に的を絞って聴講した。
北大の岩崎倫政教授はアメリカ留学時代の同じラボの同僚である。
プリッカー賞を受賞された建築家ユニットSANAAとして活躍中の妹島和世様、西沢立衛様の特別講演も興味深かった。

4月11日(金)
肩腱板断裂の診断と治療UPDATE 
菅谷 啓之 船橋整形外科病院肩関節・肘関節センター

後十字靭帯(PCL)の損傷の病態と治療
越智 光夫  広島大学大学院医歯薬保健学研究院統合健康科学部門医学分野整形外科学

置かれたところで咲く
渡辺 和子  学校法人ノートルダム清心学園


4月12日(土)
膝靭帯損傷の診断と治療
石橋 恭之  弘前大学大学院医学研究科整形外科学教室 

肘関節疾患の診断と治療-軟骨損傷に関するトピックス-
岩崎 倫政  北海道大学大学院医学研究科医学専攻機能再生医学講座整形外科学分野 

運動器の痛み -メカニズムに基づく治療戦略-
山下 敏彦  札幌医科大学医学部整形外科学教室

環境と建築
SANAA 有限会社SANAA事務所
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第122回中部日本整形外科災害外科学会・学術集会

2014-04-11 | 研究・講演
岡山コンベンションセンターにおいて第122回中部日本整形外科災害外科学会・学術集会が開催され、参加してきた。
今回は岡山大学整形外科の主催で、同門の先生方がたくさん参加されていた。

本日一番興味深かった講演は、ノートルダム清心学園理事長 渡辺和子先生の『置かれたところで咲く』というお話しであった。
スライドは全く使われなかったが、心に響く講演であった。
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岡山大学整形外科開講60周年記念祝賀会

2014-04-10 | 医学・医療
新学期が始まったばかりだが、夜、岡山大学整形外科開講60周年記念祝賀会が岡山駅のホテルグランビアで行われた。

岡山大学整形外科の歴史は、私の人生よりも長く、開講は私が生まれる前である。

平日の夜とあって、遠方の同期生は来られなかったが、久しぶりに多くの同門の方と顔を合わせることができた。
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春学期のスタートと新しいゼミの開始

2014-04-08 | 大学
本日より、新学期の講義が始まった。
同時に3年生で私のゼミに配属となった学生との顔合わせで、これからのゼミの打ち合わせを行った。

今回新しく私のゼミ生となったのは男子2名、女子2名でバランスが取れている。
4人とも素直そうな学生なのでうまくやっていけそうだ。

それにしても、新学期の始まりはいつも慌ただしく毎日が大変である。
提出を求められている書類をこなすのにあたふたとしている。
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入学宣誓式

2014-04-04 | 大学
本日は午後、入学宣誓式が行われる。
桜は入学宣誓式にあわせたかのように満開だ。
ただ残念ながら小雨がぱらついている。
午後には上がりそうなので期待している。

3月の春休みもばたばたと休むことなく仕事が続いて、年度末に学会発表した内容の論文書きが全然進んでおらず、年度が変わったらすぐに新しい仕事が押し寄せてきている現状では新学期といってもあまりあらたまったような気がしない。

それでも気を引き締めて頑張っていきたい。
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平成26年科研費交付申請

2014-04-03 | 大学
平成26年科研費交付申請の指示が科研費担当事務から送られてきた。

科研費交付の仕組みは最近ダイナミックに変わっており、合理的経済的な方向を志向して変化のまっただ中という感じで全体像をつかむのが大変である。
あと数年すればシンプルな使いやすい仕組みが確立するものと思うが、私が現在交付を受けている基盤研究Bでは科学研究費補助金分と学術研究助成基金助成金分とに分かれており、それぞれ別の仕組みで交付申請をしなくてはならない。

2月20日のブログによれば科学研究費助成事業(基金分、一部基金分)継続課題に係る支払請求書の提出と言う作業を行ったことが記録されている。
今度はその残りの交付申請ということになるのだろう。

科研費を執行する上で多少のデスクワークは必要だが、科研費をもらえなければ自分の夢の実現も不可能なので、ここは面倒がらずにしっかりと申請作業をやらなくてはいけない。

そう思い、日本学術振興会のホームページから登録作業を行おうとしたら、ついつい掲載されている「私と科研費」のコラムを読みふけってしまった。

最新号は北海道大学・大学院理学系研究科・圦本 尚義教授の記事であるが、これがとても面白い。
太陽系の起源と進化を明らかにするためにこれまで科研費を得て研究を行ってこられたそうで、SFファンの私としてはこんな研究分野もあるのだと目を見開かされるような気持ちだ。

科研費がなくてはこんな『浮世離れしていて全く実利性』のない研究の実行は不可能だろうと私も思う。

私の研究は実現すれば新しいリハ機器の開発に繋がり、ある程度高齢者の健康に寄与できる可能性がある。

夢を持って貴重な研究費を使わせていただきたいと思う。
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新学期の始まりと新しい科研費の獲得

2014-04-01 | 大学
本日より新学期が始まり、学内でも人事異動や教員の入れ替わりが行われた。
夕方には岡山キャンパスで辞令交付式が行われる予定だが、私は通信制及び通学制大学院保健科学研究科長に再任ということで辞令を受ける予定になっている。

明日は新学期になって初めての中核センター会議および地域貢献推進センター会議が予定されており、会議にいろいろな資料を準備しなくてはならず朝早くからばたばたと作業を行った。
特に、今年度の学内共同研究費の配分に関する取り決めや、補助金による地域志向教育研究経費の配分に関することは今すぐに審議しなくては間に合わない。

本学では学内共同研究費は、その年度の科研費に応募した人しか申請できないことになっている。
また、申請に当たっては科学研究費助成事業の審査結果等の電子申請システムを利用した電子的開示のページをプリントして添付しなくてはならないこととしている。

例年、科研費の採択結果は4月1日にネットで公表されることから、その公表を待っていた。
たまたま事務に用事があり1階庶務部に下りていったところ、科研費担当の事務の方に呼び止められた。

ちょうど、科研の採択結果が公表されたところであった。

私は基盤研究Bが継続中であるが、新規に応募した挑戦的萌芽研究の課題が採択されていた。

科研費が2つ採択されて本来なら嬉しいはずなのだが、現在の状況からすると非常に厳しいことになりそうだ。

自分の採択された科研費の研究だけでなく、文科省の地(知)の拠点整備事業の補助金の事業責任者も兼ねているので、自由になる時間は限られている。

共同研究者の加納教授としっかり連携して、資金に見合うだけの成果は上げたいと考えている。
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