夜、岡山プラザホテルへ講演を聴きに行った。
第233回岡山県臨床整形外科医会研修会
「CRPS(複合性局所疼痛症候群)に関する最新の知見」
大阪大学大学院医学系研究科疼痛医学講座
教授 柴田政彦 先生
最近医療行為が原因で起こったり、見逃したりで医療訴訟になることが多いCRPSについての講演であった。
訴訟はともかく、一旦発病すると悲惨な症状を呈する大変な病気である。
ともかく医師はその病態を知っておかなければならないと思い講演を聴きに行った。
1946年にEvansがRSD(反射性交感神経性ジストロフィー)として定義した疾患だが、国際疼痛学会(IASP)は1994年にcomplex regional pain syndrome (CRPS)に名称を変更することを提案した。さらに2005年には新たな診断基準を提唱している。
日本では厚労省研究班が現在最終報告をまとめているところで、来月それが発表される。
今回の講演で一番興味を引かれたこと。
CRPSには中枢神経が関与している。
柴田先生の経験談
点滴の針を刺してカウザルギーを起こし、痛みのために自営の工場をたたまざるを得なかった患者さんが、発病後5年しても全く改善しなかった。痛み止め、抗うつ薬、循環改善薬などありとあらゆる薬を飲んでいた。ある日、薬の作用からか頭がぼーっとして自宅で転倒して頭を打った。脳挫傷を受傷してしまったのだ。
ところが、この患者さんはそれがきっかけで痛みが消失してしまったのだとか。
それ以来柴田先生はCRPSと中枢神経系との関係を研究しているとのことであった。
幻肢痛には大脳皮質運動野の刺激が有効である。
CRPS関連無視現象
左患側の場合視野の中心が左にずれる。
プリズムでこれを補正すると症状が改善する。
理学療法が治療に一番重要。
特に神経損傷のない場合は投薬に頼らず、理学療法に重点を置くべきである。