川崎医科大学 リハビリテーション医学講座 花山 耕三会長の下で第8回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会が岡山で開催された。
今回、以下の演題を発表した。
等速性CKC運動におけるtDCSとIVESによるハムストリング電気刺激の併用効果
Combined effects of tDCS and IVES electrical stimulation of hamstring in isokinetic CKC exercise
河村 顕治 吉備国際大学 保健科学研究科
【目的】CKC運動においては膝関節で大腿四頭筋とハムストリングの共同収縮が起こり、膝関節が保護されるが、この必要条件を満たすように、脊髄回路における情報伝達が下降性運動指令によって制御されている。tDCSによって下降運動指令を強化して、IVESによって必要な筋収縮を補助すれば、効率的な筋力強化が行える。
【方法】対象者は、健常若年者10名とした。tDCS装置GD-800で左側一次運動野刺激を行い、IVESによって右ハムストリングの刺激を行った。等速性CKC運動は我々が開発した等速性閉運動連鎖型評価訓練機を用いて、右下肢の評価を行った。膝関節について運動速度 60 deg / secで、膝伸展0度から膝屈曲90度の往復運動を行わせ、ToMoCo-LCにて右下肢の解析を行った。10分間のtDCSとIVESによるハムストリング電気刺激を併用した等速性CKC運動を10%MVCの強度で行わせ、その前後で右下肢最大出力時の3関節モーメントを評価した。
【結果】10分間のtDCSとIVESによるハムストリング電気刺激を併用した等速性CKC運動により、膝屈曲60度の膝伸展モーメントは1.09±0.48Nm/kgから1.76±0.61Nm/kgへ有意に増加した。
【考察】一般的にはCKCの状況下でも、大腿四頭筋優位の収縮が起こる。ハムストリングを電気刺激した時、状態依存性反射反転のメカニズムが働き、拮抗筋である大腿四頭筋も強く収縮する。ハムストリングをIVESで電気刺激した時も膝伸展モーメントが有意に増大するという知見は、CKC運動における膝関節周囲の理想的なバランスの共同収縮を引き出すための方法として有意義である。