マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ワイルドバンチ

2006-11-13 11:15:33 | 映画ーTV
1969年 アメリカ サム・ペキンパー監督 ウィリアム・ホールデン 、アーネスト・ボーグナイン 、ロバート・ライアン 、ウォーレン・オーツ 、ベン・ジョンソン 、エドモンド・オブライエン 、ストローザー・マーティン 、エミリオ・フェルナンデス 、ボー・ホプキンス 、ジェイミー・サンチェス 、L・Q・ジョーンズ 、アルバート・デッカー 、ダブ・テイラー 、アルフォンソ・アラウ
【解説】
913年の動乱のメキシコ。パイクをリーダーとする5人のアウトローたちが、革命派の将軍マパッチから米政府の輸送列車の襲撃を依頼される。パイクたちは見事、列車から武器弾薬の強奪に成功するが、マパッチは約束の金の代わりにパイクたちに襲いかかる。100人を超える軍隊を相手に、5人は死闘を展開する……。S・ペキンパー独特の、スローモーションによる暴力描写が映える、彼の最高作の一つに未公開シーンを加えた完全版。(yahoo映画)

プロデューサーとの衝突でハリウッドを干されていた最後の西部劇監督サム・ペキンパーが、4年ぶりに監督した不滅のバイオレンス・アクション作品。超スローモーション、当時カラー映画最多のカット(約3600)を駆使したバイオレンス描写は、その後のすべてのアクション映画に多大な影響を及ぼしたという事実は言うまでもない(例:ジョン・ウー(香港ノワール)、クエンティン・タランティーノ、ロバート・ロドリゲス、他)。まさに男の美学の古典と呼ぶに相応しい作品。ラストの壮絶な大銃撃戦は「デス・バレエ(死の舞踏)」「ボリスティック・バレティックス(弾道バレエ)」などと呼ばれる紋切り型の手法は、6台のマルチカメラを用い11日間ぶっ通しで撮影されたという。オープニングの一般人を巻き込んだ美しくも凄まじい銃撃戦の地獄絵(本人自身が戦争で体験した過去が反映している)のような描写、時代の波に取り残された無法者たちの美学、女性の描き方の下手さも含めてペキンパーの代表作にして最高傑作。(ウィキペディア)

【感想】
映画の歴史みたいな本を読んでいると、必ずと言っていいほど出て来る作品。
やっと見ました。
遅い!!
残酷なんじゃないか、しんどい映像じゃないかと、敷居が高かったのですが、取り越し苦労、とても面白かった。
最初から最後まで続く緊張感。

はらはらどきどきの爆破シーンあり、少人数で列車から積み荷を奪ってしまうエピソードあり。
主人公パイクの頭の良さやリーダーシップ、無法者の集まりの中にもある友情など、見所満載でした。
最後は美しいとさえ思えてしまう、大量の殺戮シーン。
十分楽しめました。

多額の賞金をかけられた無法者の集団とそれを執拗に負う賞金稼ぎ。
かれらは、どっちに転んでも同じ穴のムジナ、世の中からはみ出したアウトローたちです。
メキシコの革命を舞台に、情け無用のドラマが展開します。
主要人物のほとんどが死に絶え、はげたかの餌食、最後は砂漠の砂となり果てるのでしょう。

ペキンパー監督は「皆殺しのペキンパー」の異名を取ると聞いていました。
でも、いままでに見たのは「わらの犬」くらいです。
暴力シーンの多い監督と思っていたけど、すごく計算された映像、ストーリーで、さすが映画史に残る作品だと思いました。

奥サマは魔女 魔王の陰謀

2006-11-13 11:05:18 | 映画ーDVD
1997年 フランス ルネ・マンゾール監督 ヴァネッサ・パラディ 、ジャン・レノ 、ギル・ベローズ 、ジャンヌ・モロー

【解説】
「白い婚礼」のヴァネッサ・パラディと「レオン」のジャン・レノ共演によるファンタスティック・コメディ。若い魔女モーガンはアメリカの青年実業家マイケルを誘拐する。モーガンは愛する息子アーサーが、悪の道に進んだ魔法使いモロクの後継者とならないために、アーサーを普通の人間にする儀式を行おうとしていた。その儀式に必要なのが、アーサーと同じ誕生日の代理父。モーガンたちの企てを知ったモロクは、これまで代理父候補を次々に殺してきたが……。

【感想】
ジョニー・デップの恋人、ヴァネッサの映画というだけのことです。
でも、そう思ってみていたら、見所はありました。
まず、恋人役のギル・ベローズは、私の大好きなTVドラマ「アリーmyラブ」のビリーです。
若い、細い、彼を見られてうれしかった。
そして、ジャン・レノの魔王と、ジャンヌ・モローのいい魔女。
魔法を使うかわいい赤ちゃん。

ほとんどの出演者がフランス人で、舞台もフランスなのに、セリフは英語。
それにも驚いた。

で、本編の内容については、とくに感想はないなあ。
面白くないこともないんだけど。

ふたりの5つの分かれ路

2006-11-13 11:02:28 | 映画ーDVD
2004年 フランス フランソワ・オゾン監督 ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ 、ステファン・フレイス 、ジェラルディン・ペラス 、フランソワーズ・ファビアン 、アントワーヌ・シャピー 、マイケル・ロンズデール 、マルク・ルシュマン

【解説】
8人の女たち』のフランソワ・オゾン監督が、あるカップルの姿を追いながら、愛の謎を追う野心作。主演はコンピレーション・ムービー『10ミニッツ・オールダー イデアの森』の『水の寓話』に出演していたヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、『私たちが結婚した理由』のステファン・フレイス。夫婦の“別れ”から“出会い”までの5つの季節をさかのぼりながら、2人の間に起きた真実に迫る愛のミステリー。

【あらすじ】
離婚の手続きをしたマリオン(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)とジル(ステファン・フレイス)。ホテルでお互いの肌に触れても再び愛がよみがえることはなかった。マリオンは立ち去りそして時計は逆に回りだす……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
フランソワ・オゾンは苦手な監督です。
今までに見た作品、「まぼろし」「8人の女たち」「スイミング・プール」いずれも、私には難しすぎるーと言う感想でした。

この映画はさらにおとなの感覚。
私にはわからない、男と女の関係ですね。

離婚手続きをした夫婦が、ホテルの1室でセックスをする、そこからわからないでしょう?
とても不毛な営み。
あたりまえだと思うけど。
男は「やり直せないか?」と言うけど、女はうんざりと去る。

物語は二人の歴史をさかのぼる。
幼い子供と家庭的な子煩悩な夫。
女盛りの、魅力的な妻。
夜中に妻が目を覚ますと、夫がいない。
息子に添い寝している夫。

次は出産のとき。
夫は出産にも立ち会わず、産院に来ても、妻の前に姿を現しません。
生まれたばかりの小さな赤ちゃんにたじろいで帰ってしまったのです。
妻に夫から謝りの電話が入ります。
妻は、ベビー室で手足を動かしている小さな我が子をじっと見入っています。

次は、結婚式。
愛の時間の絶頂のとき。
でも、夫は酔いつぶれて眠ってしまい、妻はホテルの庭で見知らぬ男との秘め事を持つ。

最後が二人の出会い。
顔見知り程度だった二人がイタリアのリゾートで会い、彼には微妙な関係の恋人がいた。
夕陽を浴びて恋に落ちる二人、これがふたりのクライマックスなのでしょうか?

フランソワ・オゾンさんは、男と女を難しく考え過ぎ、あるいは私が単純すぎるのか?

フィフス・エレメント

2006-11-12 18:13:28 | 映画ーTV
1997年 フランス/アメリカ リュック・ベッソン監督 リー・エヴァンス 、ジョン・ネヴィル 、ブルース・ウィリス 、ゲイリー・オールドマン 、イアン・ホルム 、ミラ・ジョヴォヴィッチ 、クリス・タッカー 、ルーク・ペリー 、ブライオン・ジェームズ 、タイニー・リスター・Jr 、マチュー・カソヴィッツ 、マイウェン・ル・ベスコ

【解説】
2214年、巨大なエネルギー体が地球に接近しつつあった。コーベン・ダラスの運転するタクシー突っ込んでくる赤い髪の少女。コーベンは彼女リールーを神父の元へ届けるが、そこでリールーこそ地球存亡のカギを握ると知らされる。一方、地球の危機を救うための4つの石が、惑星フロストン・パラダイスでコンサートを行う異星のディーヴァに託されている事が判明。特殊部隊の精鋭でもあったコーベンはリールーを連れていく事になるが、敵の手がすぐそこまで伸びていた。

【感想】
荒唐無稽、スピーディな展開で、ありえないーことを普通に見せちゃう、さすが、リュツク・ベンソン、うまいです。
すごくたくさんのキャラが出てくるけど、それぞれ個性的で面白い。
襲いかかってくる何星人だっけ?まで可愛く見えるから不思議です。

まず、主人公、奥さんに逃げられ、うだつの上がらないマザコンのタクシー運転手、実は元軍隊の特殊部隊の精鋭がコーベン(ブルース・ウィリス)。

自らがフィフスエレメント、地球を守る鍵だと現れる、イカレてるとしか思えない女の子リールーににミラ・ジョボビッチ。
この子に、コーベンは恋をしてしまうの。
その秘密を代々受け継いできた神父(イアン・ホルム)。
はやとちりのおっちょこちょい。

地球を滅ぼそうと襲ってくる宇宙人の手先となっているのがゲーリー・オールドマン。
この人の髪型、とっても個性的。
すごく怖い人なんだけど、ドジなのよね。

惑星フロストン・パラダイスでコンサートをレポートしているのが女装のクリス・タッカー。
なぜか裏声でずーっとしゃべっていて、めちゃテンションが高い。

その他、いつも司令室にいて、報告を聞いている黒人の大統領や司令官、その部下たち。
襲ってくる宇宙人。
神父の弟子やパーティのお客に至るまで、隅々までいきとどいて凝っています。

スターウォーズみたいだし、ダイハードみたい。
唯一落ち着けるのは宇宙の歌姫ディーヴァが歌っている時だけ。
また、この歌が聞き惚れちゃうの。

とにかく、しっちゃかめっちゃかだけどまとまっている、不思議な映画でした。
面白かった。

スネークアイズ

2006-11-12 18:09:39 | 映画ーTV
1998年 アメリカ ブライアン・デ・パルマ監督 デヴィッド・コープ脚本 ニコラス・ケイジ 、ゲイリー・シニーズ 、ジョン・ハード 、カーラ・グギーノ 、スタン・ショウ 、ケヴィン・ダン 、マイケル・リスポリ 、ジョエル・ファビアーニ 、デヴィッド・アンソニー・ヒギンズ 、タマラ・チュニー

【解説】
アトランティック・シティのドーム会場で、大観衆を集めて進行中のボクシング王座戦。白熱する試合の最中、銃声と共にリングサイドで観戦中の国防長官が暗殺される。その瞬間を間近で目撃した汚職刑事のリックは、真犯人探しに奔走。容疑者は、スタジアムにいた14,000人全員だ…!!!サスペンス映画としての緊張感に欠けるのが残念だが、映画の冒頭13分間に渡ってドーム入口からリングサイドまでを一気に見せ切る長廻し撮影は圧巻だ。

【感想】
この映画の魅力は、最初の13分間の長回し撮影に尽きるのではないでしょうか。
それから、ニコラス・ケイジの登場シーン、リックというケチな刑事の人柄が一瞬にしてわかる。
すごい演技力、びっくりしました。

あとは、飽きずに最後まで見られるということで、特別なことはないように思いました。
最初のインパクトで最後まで引っ張るタイプの映画でした。

見終わってしまうと、リックがなんだかすごくいい人になっちゃって、こんなはずでは…と思うけど。

ゲイリー・シニーズの悪役が徹しきれていないからかなあ。
ジュリア(カーラ・グジーノ)も若すぎて、国家の機密を暴く人物にしては、頼りない感じがしました。

ニコラス・ケイジの演技ばかりが光って見えました。

トリスタンとイゾルデ

2006-11-08 21:22:01 | 映画ー劇場鑑賞
2006年 アメリカ ケヴィン・レイノルズ監督 ジェームズ・フランコ 、ソフィア・マイルズ 、ルーファス・シーウェル 、デヴィッド・パトリック・オハラ 、マーク・ストロング 、ヘンリー・カヴィル 、ブロナー・ギャラガー 、ロナン・ヴィバート 、ルーシー・ラッセル

【解説】
ワーグナーの傑作オペラやシェイクスピアの戯曲の基にもなった悲恋の物語を映画化。暗黒時代のイギリスを舞台に、禁断の恋に落ちた男女、トリスタンとイゾルデの悲劇が描かれる。監督は『モンテ・クリスト伯』のケヴィン・レイノルズ。主人公トリスタンを『スパイダーマン』シリーズのジェームズ・フランコが、イゾルデを『サンダーバード』のソフィア・マイルズが演じる。胸を打つロマンティックなストーリーと歴史劇のスペクタクル感が魅力。

【あらすじ】
コーンウォールの領主マーク(ルーファス・シーウェル)に育てられた騎士トリスタン(ジェームズ・フランコ)は戦闘の末重傷を負い、敵国アイルランドに流れ着く。アイルランド王の娘イゾルデ(ソフィア・マイルズ)から献身的な介護を受けたトリスタンは、やがて彼女と恋に落ちるが、イゾルデはマークと政略結婚することになってしまう……。 (シネマトゥデイ)

【感想】
あまりにロマンティクすぎて、涙よりよだれがでそうになりました。

悲恋物語の要素がそろい過ぎている作品でした。
うっとりして見ました。

かっこいい騎士とかわいい王女の運命の出会いから、悲劇の展開へ。
誤解からの激情と許し、そして、浄化へ。

トリスタンのジェームズ・ブロンコ、かっこいいです。
逞しいか肉体にあどけなさを残した表情。
この人、「ディーン」という映画でジェームス・デイーンを演じているみたいですね。
ぜひ、見なくっちゃ。
トリスタンの子供時代を演じていたのは、ラブ・アクチュアリーのサム(トーマス・サングスター、リーアム・ニーソンの義理の息子役)。
ますますりりしくなっていました。

幻想的な婚礼のシーン。
イゾルデ役のソフィア・マイルズ、「フロム・ヘル」でアバーラインの妻を演じたですと?
全然、気がつかなかったですね。
すごくきれいな人と思ったけど、出番があまりに少ないですもんね。
特典では、未公開映像でもう少し出番があったようですが。
この映画で、花開きましたね。
悲劇のヒロインにぴったりでした。

マーク王役のルーファス・シーウェル、いつも悪役だけど、ここでは堂々とした王様役、しかも懐が深い。
その甥もすごくハンサムな俳優さんでした。

イゾルデはその後もマーク王の妃として全うしたのでしょうね。
キングアーサーとは時代的にどうなるのでしょう。
イギリスの歴史も勉強しなくちゃ。汗!!

ちょっと調べてみました。
キングアーサーはモデルはあるものの伝説の性格が強そうです。
時代背景はローマの支配が終わる頃、円卓の騎士というものの、中世というより古代のようですね。
「トリスタンとイゾルデ」も伝説。
ケルトの説話がフランスでまとめられ、ドイツへ伝わり、ワーグナーがオペラ化したそうです。

ナチョ・リブレ 覆面の神様

2006-11-08 21:10:57 | 映画ー劇場鑑賞
2006年 アメリカ ジャレッド・ヘス監督 ジャック・ブラック 、エクトル・ヒメネス 、アナ・デ・ラ・レゲラ 、リチャード・モントーヤ 、ピーター・ストーメア 、セサール・ゴンサレス 、ダリウス・ロセ 、モイセス・アリアス

【解説】
教会の修道院で育てられたダメ男が覆面レスラーとしてリングに上がり、修道院の孤児たちにおいしいものを食べさせようと奮起する爆笑コメディ。監督は『バス男』の新鋭ジャレッド・ヘス。主人公のダメ男、ナチョを『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラックが演じ、同作でもコンビを組んだジャック・ブラックの盟友マイク・ホワイトらが脚本を担当。ギャグの嵐に笑いながら、最後には温かい気持ちになれる感動作。

【あらすじ】
生まれてすぐに両親を亡くしたナチョ(ジャック・ブラック)は、戒律の厳しい修道院で孤児として育ち、修道院の料理番をしていた。ある日、町に食材を買いに行き、謎のやせた男(ヘクター・ヒメネス)に襲われたナチョは、ルチャ・リブレ(メキシコのプロレス)のアマチュア大会に出れば賞金を稼げることを知る。 (シネマトゥデイ)

【感想】

もう、このジャック・ブラックみたって!!
スクール・オブ・ロックでずっぽりJBにはまっているから、この作品もツボでしたよ。
ゆる~い映画なんだけど、なにやってくれてもJBが面白くて。

しかも驚くことに、これは実話で、モデルのフライ・トルメンタさんはタイガーマスクのモデルでもあり、すでにジャン・レノ主演で「グラン・マスクの男」というタイトルで映画化されているそうです。

でもこの作品は、そういう美談ぽいところをすべて取り去っているところがすばらししい。
エクセレント!!
あくまでJBお得意の、ダメダメ男の行き当たりばったりで、結果よし、みたいなノリがとってもいいなあ。

悪役はどこまでも憎たらしく、プロレスの試合は反則技ばっかり。
しかも、ナチョは負けてばかりなのに、人気はあって、ファイトマネーが入るのが不思議。

子供は可愛いし、一目惚れする尼さんはめっちゃべっぴんさん。
相棒は頼りないし、エピソードもベタなのに笑える。

ばかばかしいのに、温かい気持ちになれる、JBの好きな人なら絶対オーケーの映画でした。

それなのに、シネコンの小さな部屋で、レディスデイだというのにお客さんはがらがら。
どういうことかしら?


蛇イチゴ

2006-11-04 18:25:40 | 映画ーDVD
2003年 日本 西川美和監督 宮迫博之 、つみきみほ 、平泉成 、大谷直子 、手塚とおる 、絵沢萠子 、寺島進 、蛍原徹 、笑福亭松之助

【解説】
明智家の娘・倫子は、幼い頃から真面目で優秀。現在は小学校で教師をしており、同僚で恋人の鎌田との結婚を控えている。そんな彼女は働き者の父、優しい母、ボケてはいるが明るい祖父に囲まれ、平穏な毎日を過ごしていた。だがある日、痴呆の進んだ祖父が亡くなり、その葬式に10年間も行方知れずだった長男・周治が姿を現わしたのをきっかけに、一家の和やかな雰囲気が一変する。やがて、世渡り上手の周治は、家族に内緒で多額の借金をしていた父の窮地を救い、家に迎えられるのだが、倫子だけはお調子者の兄をどうしても受け入れることができずにいた…。

【感想】
「ゆれる」見て、をすごいと思って、この作品も見ることにしました。
西川監督のデビュー作。
やっぱりすごい監督でした。
なにげない、家族の朝の風景から始まるのに、ただものではない。
作品の世界に引き込まれて行きます。

お父さん(平泉成)はリストラされて、再就職先を探している。
いままでの経験に自負があるから、納得できる職場はなかなかみつからない。
しかも、クビになったことは家族に内緒。

お母(大谷直子)さんは、認知症の進んだ義父(笑福亭松之助)の面倒を見ている。
とても信頼し合っていて、それはお母さんの生き甲斐ではないかと思えるほどだけど、本当は円形脱毛症になるくらいのストレスを抱えている。

余談ですが、この映画を見る前に、「きみに読む物語」を見ていたから、同じ認知症を扱って、日米で何と言う違いだ、と思いました。
そう言えば、アメリカの映画で認知症の人や障害の重い人が自宅にいるお話は見たことがありません。
日本は貧しいのでしょうか?

まあ、それは置いておいて、映画の続き。
娘の倫子(つみきみほ)は小学校の教諭。同僚との結婚を考えている。
恋人を家に招き、ささやかでも幸せな団らんを見てもらった。

義父が亡くなった。
お葬式のまさに出棺というとき、借金取りが出てきて、リストラのことも山のような借金のこともばれてしまう。
その窮地を救ったのが10年前、大学の学費を使い込んで勘当された長男・修二(宮迫博之 )だった。
しかも彼の正体は!!

崩壊してしまった家族。
もう、何が正義かもわからなくなってしまった。
倫子が一人、正気を保とうと努力するのですが、壊れてしまったものは、もう元通りになることはないのでしょう。
机の上の蛇イチゴ、いったい何を象徴するのか。

役者さんの個性が生きて、セリフも面白く、楽しめる映画でした。


きみに読む物語

2006-11-04 18:18:47 | 映画ーDVD
2004年 アメリカ ニック・カサヴェテス監督 ライアン・ゴズリング 、レイチェル・マクアダムス 、ジーナ・ローランズ 、ジェームズ・ガーナー 、ジョーン・アレン 、ジェームズ・マースデン 、サム・シェパード 、ヘザー・ウォールクィスト 、ケヴィン・コナリー 、デヴィッド・ソーントン 、ジェイミー・ブラウン[女優] 、スターレッタ・デュポワ

【解説】
『メッセージ・イン・ア・ボトル』などで知られるニコラス・パークスのベストセラー小説を映画化。身分違いの純愛を貫く若き恋人同士の情熱的な愛と彼らの行く末がつづられる。監督は『シーズ・ソー・ラヴリー』のニック・カサヴェテス。出演は『16歳の合衆国』の若手トップスター、ライアン・ゴズリング、本作の演技で一躍注目を集めたレイチェル・マクアダムス、カサヴェテス監督の実母ジーナ・ローランズら。涙なしには見られない、珠玉のラブストーリー。

【あらすじ】
家族とひと夏を過ごすためにノース・カロライナにやって来た良家の子女アリー(レイチェル・マクアダムス)は、地元の青年ノア(ライアン・ゴズリング)から熱烈なアプローチを受け、やがて愛し合うようになる。 (シネマトゥデイ)

【感想】
あまりいい評判を聞かなかったので、ありきたりの純愛映画だと思っていました。
一生一人の人を激しく愛した男の純愛の映画で、女性の立場からはくすぐったいような、うらやましいような愛の物語でした。


認知症が進んだ老婦人の元へ、ラブストーリーを聞かせにくる老人がいます。
それは、かつての自分たちの物語。
読み聞かせていると、彼女の記憶が戻り、自分のことをまた思い出してくれるからです。
その愛の力に泣かされました。

本編のラブストーリーは、子供だった二人が辛い別れを経験して、また出会って恋に落ちるのですが、その単純な恋も、稚拙になることなく、納得いくものになっていました。
身分違いの失恋を乗り越えて、新しい恋にのめり込んで行くアリーって、どうなの?となるところを、お金持ちのお嬢さんの奔放さ、逞しさという感じで乗り切っていました。
私は、ステイで複雑な役を演じていたライアン・ゴズリングが、その個性の強さを出来るだけ隠して、彼女に献身する様子に惚れました。

この映画が気に入ったのはひとえに彼の存在が大きいかもしれないなあ。

父親たちの星条旗

2006-11-02 10:51:33 | 映画ー劇場鑑賞
2006年 アメリカ クリント・イーストウッド監督 ジェームズ・ブラッドリー 、ロン・パワーズ原作、ポール・ハギス 、ウィリアム・ブロイルズ・Jr脚本、クリント・イーストウッド音楽
ライアン・フィリップ 、ジェシー・ブラッドフォード 、アダム・ビーチ 、ジェイミー・ベル 、バリー・ペッパー 、ポール・ウォーカー 、ジョン・ベンジャミン・ヒッキー 、ジョン・スラッテリー 、ロバート・パトリック 、ニール・マクドノー 、メラニー・リンスキー 、トム・マッカーシー 、クリストファー・バウアー 、ジュディス・アイヴィ 、スコット・リーヴス[俳優] 、スターク・サンズ 、ジョセフ・クロス 、ベンジャミン・ウォーカー 、マイラ・ターリー 、アレッサンドロ・マストロブーノ 、ジョージ・グリザード 、ハーヴ・プレスネル 、ジョージ・ハーン 、レン・キャリオー 、クリストファー・カリー 、ベス・グラント 、コニー・レイ 、アン・ダウド 、メアリー・ベス・ペイル 、デヴィッド・パトリック・ケリー 、ジョン・ポリト 、ネッド・アイゼンバーグ 、ゴードン・クラップ 、カーク・B・R・ウォーラー 、トム・ヴェリカ 、ジェイソン・グレイ・スタンフォード

【解説】
第2次世界大戦時の最も悲劇的な戦いと言われる“硫黄島の戦い”を、アメリカ側の視点から描いた戦争映画。監督は『ミリオンダラー・ベイビー』のクリント・イーストウッド。日米双方の視点から“硫黄島の戦い”を描く“硫黄島プロジェクト”第1弾作品としても注目だ。有名な“摺鉢山に星条旗を掲げる米軍兵士たちの写真”の逸話をもとに、激闘に身を置いた兵士たちの心情がつづられる。『クラッシュ』のライアン・フィリップら、若手スターが多数出演。第2次世界大戦の知られざる一面が垣間見られる。

【あらすじ】
第2次世界大戦の重大な転機となった硫黄島の戦いで、米軍兵士たちはその勝利のシンボルとして摺鉢山に星条旗を掲げる。しかし、この光景は長引く戦争に疲れたアメリカ国民の士気を高めるために利用され、旗を掲げる6人の兵士、ジョン・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)らはたちまち英雄に祭り上げられる。 (シネマトゥデイ)

【感想】
いくつものテーマを巧みに表現した、すごい映画でした。
ただの戦争ものにしない、深い映画でした。

この頃、アメリカも戦争に自信が持てず、経済的にも逼迫していたのですね。
楽勝だと思っていた硫黄島での思いがけない苦戦。
兵隊たちが見えない敵に撃たれてばたばたと倒れていく上を、なおも進む。
正常な神経では考えられないことです。
恐怖を封じ込めて闘う。なぜ、それほどまでに…。

戦闘シーンと、帰還して英雄になった3人の兵士のフラッシュバックによって、物語は進んでいきます。
たまたま、世間の目が集中して、偶然英雄に祭り上げられてしまった兵士たち。
彼らにはそうとしか思えず、戦場で亡くなった戦友のことを思い、複雑な気持ちを持ちながら、でも、戦争のための国債を買ってもらうことが、祖国に貢献するためだと信じて耐えます。
まったくの客引きパンダ。
戦争で傷ついただけでも、大きな痛手なのに、彼らはさらに傷ついていきます。

インディアン出身のアイラ(アダム・ビーチ)の凋落ぶりをみると、社会的弱者はどこまでいっても弱者なのか、と暗い気持ちになりました。
恋人まで有名になったレイニー(ジェシー・ブラッドフォード)も、英雄らしい生涯を送ったとは言えません。

この原作者となったブラッドリーの息子は、生前父から聞けなかった話を、いろんな人に取材してこの本を書いたようです。
あまりに辛い経験をしたので、家族にも語り残せなかっのかと思うと、本当に可哀相です。

「誰のために闘ったのか?」
「戦友のため」と映画は答えています。
戦争では英雄なんかいないのです。
そこには恐怖と使命感があるだけでした。

ブラッドリー(ライアン・フィリップ)が気にしていたイギー(ジェイミー・ベル)の最後が、結局映像では現れませんでした。
ほっとしたような、物足りないような気分になりましたが、どうなんでしょう。

アイラが見た、日本人の自決していたシーン、あれは連作の「硫黄島からの手紙」の伏線になっているのではないでしょうか。他にも、伏線がたくさんはってありそうで、とても楽しみです。

主人公のブラッドリーを演じているのはライアン・フィリップ。
「クラッシュ」で印象に残りましたが、今年のアカデミー賞では奥さんのリース・ウィザースプーンと仲良く登場していました。でも、離婚の噂、本当かなあ。

ポール・ウォーカーは英雄と間違えられた人物として、少し登場しただけでした。

戦争映画嫌いの私でも、大丈夫でした。
映像は結構残酷でしたが。
主観があまり入っていないので、登場人物に入り込まなくて助かりました。
そう言う意味で、イーストウッドらしい作品だと思いました。
主観が入っていないのに、メッセージは伝わる、うまいなあ。