マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

キング 罪の王

2006-11-29 21:01:16 | 映画ー劇場鑑賞
2005年 アメリカ ジェームズ・マーシュ監督 ガエル・ガルシア・ベルナル 、ウィリアム・ハート 、ペル・ジェームズ 、ローラ・ハリング 、ポール・ダノ

【解説】
まだ見ぬ実の父親に会いに行った青年が、初めて会う父に自分の存在を拒否されたのを機に復しゅうの権化となっていく姿を描いた衝撃のサスペンス・ドラマ。主人公の青年エルビスを演じるのは『バッド・エデュケーション』のガエル・ガルシア・ベルナル。彼の父を『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のウィリアム・ハートが演じる。あらゆるタブーを冒していく主人公にふんしたガエルの美しい怪演と、ショッキング極まりないストーリーは必見。

【あらすじ】
海軍を退役し、まだ見ぬ父デビッド(ウィリアム・ハート)に会うためテキサスの田舎町を訪れたエルビス(ガエル・ガルシア・ベルナル)。しかし、今は裕福な牧師として妻子とともに暮らすデビッドは、エルビスの存在を拒否。絶望したエルビスは父の娘であり、自分とも血がつながった妹マレリー(ペル・ジェームズ)を誘惑する。 (シネマトゥデイ)

【感想】
フライヤーに、「懺悔しよう、愛のために」とか「愛されるまで、許さない」とか脅迫っぽく紹介してあったけど、私は、ガエル君のエルビスは自分のしたことが、そんなに罪深いことと自覚していたのかなあ、と思いました。
彼に復讐心なんか、あったかどうかも、映画を見る限りでは確認できませんでした。

海軍を除隊したエルビス(ガエル・ガルシア・ベルナル )はまだ見ぬ父(ウィリアム・ハート)に会いにいく。
おずおずと申し出る。
「あなたが過去に関係のあった女性の息子です」「知らない」「息子です」と2度告げると、父親は二度と自分の家族の前に姿を現すなと、言い捨て、家族にも彼と会うことを禁じます。

エルビスはこの町に腰を落ち着け、働きだします。
そして、16歳の父の娘マレリー(ペル・ジェームズ)を誘惑して関係を結ぶわ、優等生の兄が自分を批難しにきたら、逆上して刺してしまうわ、むちゃくちゃ。
でも、計画性があるとは思えないんだなあ。

マレリーに妊娠したと聞かされたら、兄殺しを白状して、マレリー共々お祈りを捧げて終わり。
息子のことは諦めたのかどうか、父がエルビスを受け入れる決心をします。
懺悔をして、信者さんにエルビスを紹介します。
Oh my God!!
お母さんは半狂乱。それはないでしょ!!
真実を知ったマレリーの神経ももう切れそうです。
あ、切れちゃった…。
そして、最悪の結末。

「最後の懺悔をして天国へ」とお父さんに告げに来るのがラストシーン。
かなり切実な表情にはなっているけど、他の感情は読み取れません。
罪の意識におののくとか、復讐を遂げた喜びとか。

こんな調子だから、暗い映画ではありません。
彼はたぶん、現代人のある意味代表者なのでしょう。
罪の意識も、愛することも、全部忘れてしまった。
そして、見ている私たちも、彼とどれだけ違うのか、よーく考えなくちゃ。

めぐみー引き裂かれた家族の30年

2006-11-29 20:52:22 | 映画ー劇場鑑賞
2006年 アメリカ クリス・シェリダン 、パティ・キム監督

【解説】
北朝鮮による拉致問題を、横田めぐみさんの拉致事件と残された家族の視点から描いた衝撃のドキュメンタリー。『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオン監督が製作総指揮を務め、めぐみさん拉致疑惑の真相を究明するために闘い続けた横田夫妻らの姿を追う。日朝間の政治的な問題にも触れながら、拉致という非人道的な行為によって傷つけられた親子間の愛を浮き彫りにする。30年以上にも渡って、娘の生存を信じながら活動を続ける横田夫妻の姿が胸を打つ。

【内容】
1977年11月15日、いつものように学校へ出かけた当時13歳の横田めぐみさんが忽然と姿を消す。一家は帰ってこない娘を探し続け、彼女の無事を祈り続けた。それから30年。その実態が北朝鮮による拉致事件であることが判明。怒りや悲しみに包まれながら闘い続けた一家の捜索活動は、世論を巻き込み、やがて政府をも動かしていく。 (シネマトゥデイ)

【感想】
アカデミー賞も注目するドキュメンタリー映画、アメリカの制作なんですね。

拉致問題のニュースに接する度に、私は国家って何だろうと考えてしまいます。
国家って、国民の生活や生命を守るためにあるのと違うの?
めぐみさんやそのご家族、他の拉致被害者やご家族の心労を思うと、なぜこの問題が未だに解決されないか、とても不思議です。
だって、映画だったら、北朝鮮にいるとわかっている我が子を誰かヒーローが助けにいってくれるでしょう。
当然でしょ。
それが、なぜ…。

この問題を政治問題にするのは間違っている気がします。
なんで、めぐみさんや他の被害者がお米と比べられなくちゃならないのでしょう。
経済報復も違うでしょう。
北朝鮮は「日本だって同じことをした」と言う。
それはそれで、話し合って、謝るべきは謝って。
でも、13歳の少女を拉致していいことには決してならないはずです。

横田ご夫妻の闘いはもう30年も続いているのですね。
北朝鮮はもちろん言語道断ですけど、日本政府も頼りない…冷たい…。

この映画では、めぐみさんのソロの肉声が涙を誘います。
なんて、澄み切った美しい歌声。
でも、泣いてなんかいられないわ。
ご両親がお元気なうちに、めぐみさんを取り戻したい。

この映画、最後に監督夫妻の両親に捧げられていました。
親が子を思う気持ちは、どの国でもどんな人種でも同じですものね。

この映画、日本では、TV局で放送して、世界中でも放送してほしい。
もっと、国連や国際会議の場で上映してほしい。
力のある人もない人も、みんなで見たら、なんかできることが見つかるのじゃないかしら。


幸せだった横田さん一家

アトランティスのこころ

2006-11-29 09:20:27 | 映画ーTV
2001年 アメリカ スコット・ヒックス監督 スティーヴン・キング原作 アンソニー・ホプキンス 、ホープ・デイヴィス 、デヴィッド・モース 、アントン・イェルチン 、ミカ・ブーレム 、アラン・テュディック 、アダム・ルフェーヴル 、トム・バウアー 、セリア・ウェストン 、ティモシー・レイフシュナイダー 、ウィル・ロスハー

【解説】
写真家ボビーのもとに幼なじみの訃報が届く。生まれ故郷に戻ったボビーはそこで、過去の出来事を思い起こす。それは1960年の夏。11歳のボビーは友だちのキャロルとサリーの3人で楽しい毎日を過ごしていた。そんなある日、彼と母親が二人で住む家の二階に新しい下宿人テッドがやって来た。知的で物静かなその老人にはある不思議な力があった。父を早くになくしたボビーは、そんなテッドに特別な親しみを感じていく。しかし、テッドはその不思議な力のために謎の男たちから狙われていた。そして、男たちはすぐそこまで迫っていた……。

【感想】
少年の心の成長を一夏の体験を通して描いた作品です。

子役たちもいいし、アンソニー・ホプキンスも名演ですが、見終わった後、あまり感動が残らないのはなぜかなあ。

テッド(ホプキンス)は結局何者だったのか、謎の男たちの正体は?
その答えがありませんでした。

サリーやキャロルのその後や、主人公の現在もあまり描かれているとはいえません。
ボビーが母親と二人で暮らす孤独や、初恋のキス、三人の森の中の遊び場など、とてもよく描かれていたのに。
キャロルが傷つくところと、母が傷つくところをオーバーラップさせたのは、ちょっと違う気もしました。
傷ついたキャロルを必死で運ぶ姿には、心を打たれました。

少年の日の美しい思い出、という感じで作品をきれいにまとめすぎたのでしょうか。