マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

マイアミ・バイス

2006-09-21 10:08:08 | 映画ー劇場鑑賞
2006年 アメリカ マイケル・マン監督 コリン・ファレル 、ジェイミー・フォックス 、コン・リー 、ナオミ・ハリス 、エリザベス・ロドリゲス

【解説】
80年代に人気を博した伝説の同名TVシリーズを、オリジナルのエグゼクティブ・プロデューサーでもあるマイケル・マンがリメイクしたアクションムービー。国際犯罪が頻発する危険都市マイアミを舞台に、マイアミ警察の特捜刑事コンビ、ソニー・クロケットとリカルド・タブスが活躍する。主演は『アレキサンダー』のコリン・ファレルと『Ray/レイ』のジェイミー・フォックス。実力派2人のクールな刑事ぶりと、マイケル・マンならではの迫力の銃撃戦が見どころ。

【あらすじ】
合衆国司法機関の極秘情報がドラッグ密輸コネクションに漏洩(ろうえい)する事態が発生。それを受け、マイアミ警察特捜課(バイス)の刑事コンビ、ソニー・クロケット(コリン・ファレル)とリカルド・タブス(ジェイミー・フォックス)は南米に飛び現地の犯罪組織と接触し、情報が漏れた原因を見つけ出す任務を任された。

【感想】
「コラテラル」のマイケル・マン監督の新作です。
結論から言うと、アクション映画として可もなく不可もなしという感じでした。

期待していたのは、コリン・ファレルのちょいワル振りと、ジェイミー・フォックスの2枚目半の役所。
二人のイキはぴったりで、いいコンビとは思いましたが、それ以上の魅力がなかった。

リコの恋人にナオミ・ハリス、ソニーが恋する組織の女にコン・リー。
でも、お色気シーンもすごく抑えてあったし、特にコン・リーとの濡れ場のシーンで、「取り分17パーセントに何パーセント上増しするか」、みたいなシビアな会話を入れて、それでこの恋は「真剣だ」「本物だ」といっても、なかなか納得できませんでした。
見た目が全くの東洋人であるコン・リーがキューバやハバナを拠点としている点も、ちょっと違和感がありました。

売り物の夜の銃撃戦は、さすがに迫力満点。
面白かった!!
それに、夜のシーン、すごく映像がクリアできれいで、それには圧倒されました。
監督はすごく自信があったのでしようね。

トータルで「普通のアクション映画」になってしまうのですが、そう言われても作った人は、うれしくないでしょうね。

Be Cool/ビー・クール

2006-09-19 13:17:06 | 映画ーDVD
2005年 アメリカ F・ゲイリー・グレイ監督 ジョン・トラヴォルタ 、ユマ・サーマン 、ヴィンス・ヴォーン 、ダニー・デヴィート 、ハーヴェイ・カイテル

【解説】
1995年に大ヒットした『ゲット・ショーティ』の続編で、音楽業界を舞台に裏社会の住人の巻き起こす騒動を描いたコメディ映画。“チリ・パーマ”役には前作で当り役となったジョン・トラボルタが再び演じ、共演は『パルプ・フィクション』で名コンビぶりを発揮したユマ・サーマンが務める。そのほか思いもよらないスターたちがカメオ出演しているので、一瞬たりとも目が離せない。

【あらすじ】
映画プロデューサーのチリ(ジョン・トラボルタ)は、友人の頼みで無名歌手のリンダ(クリスティーナ・ミリアン)をプロデュースするため音楽業界に足を踏み入れる。(以上yahoo映画)

【感想】
チリは前作ゲット・ショーティーで取り立て屋から映画界に華麗なる転身を遂げて、「ゲット・レオ」「ゲット・ロスト」をプロデュースして、成功したみたいね。
でも、業界の締め付けにちょっと飽き飽きしていたみたい。
トミーがロシアマフィアに殺される前に持ちかけられた新人リンダの売り出しに興味を持ってしまう。

トラボルタのチリが相変わらずクールでかっこいい。
チンピラ時代から、それは変わらないチリのスタイル。
今回はストーリー展開というより、キャラクターの面白さ、ゲストの多彩さで見せていきます。
今のアメリカの音楽やその業界に詳しくない私でも、乗せられて行くおもしろさ。

トラボルタとユマ・サーマンが踊るシーンでは「パルプフィクション」を思い出してにんまり。
バックはセルジオ・メンデス&ブラック・アイド・ピーズだそうです。
エアロ・スミスが大きなコンサート会場で演奏するシーンは、すごい迫力です。
スティーブン・タイラーが本人役で演技しているのも楽しい。

もう一度、リンダのコンサートシーンがあるけど、ミュージックビデオみたいで飽きさせません。

リンダが最初にチリの目にとまる場所がなんとヴァイパールーム。
映画のテンポは少し緩いけど、はまる人にはたまらない作品です。


ザ・バンド/ラストワルツ

2006-09-17 09:40:42 | 映画ーTV
1978年 アメリカ マーティン・スコセッシ監督 ザ・バンド 、ボブ・ディラン 、ニール・ヤング 、ニール・ダイアモンド 、ジョニ・ミッチェル

【解説】
1976年11月25日、サンフランシスコ、ウィンターランド。ザ・バンドがかつて初公演を開いたこの場所で、壮大な解散コンサートが始まった。“ラスト・ワルツのテーマ”が哀愁を漂わせる。随所にスコセッシ監督の挑発的なインタビューが挟み込まれる。ゲストにはボブ・ディラン、エリック・クラプトン、リンゴ・スター、ヴァン・モリソン、ニール・ヤングの錚々たるメンバー。そしてコンサートのフィナーレは「アイ・シャル・ビー・リリースト」の大合唱。偉大なロックの牽引車がまた一つ、表舞台から華々しく消えていくのだった。(以上yahoo映画)

【感想】
ケーブルTV番組で「ラストワルツ」を放映していました。
これは映画館でリアルタイムで見ているし、CDも持っているので、もういいや、と言う感じで見ていたのですが、ほとんど忘れていたこともあって、感動の連続。
TVの前を離れられなくなり、歌ったり踊ったりしながら見てしまいました。

今更ながらにすごいバンドでしたね。
今聞いても、どこも古くさくない、どころか、彼らの才能に感服しまくりです。
みんなが歌えて、ハモれて、楽器を数種類あやつれて、まあ、すごーい。
しかも、味のある声、魅力的なハーモニー、個性的なミュージシャンの集まりなのに、どんなソリストが出てきても、調和のとれたバックバンドにになれる。
アンビーバブル!!
今、この年になった方が、彼らのすごさがわかった感じです。

ニール・ヤングが若いし、笑っている。
ジョニ・ミッチェルも素敵。
え、エリック・クラプトン?
髭もじゃで誰かわからないし、声もちょっときれいすぎるんじゃない?
でも、ギタープレイは確かにクラプトンでした。
そして、ボブ・ディラン。
あんまり変わっていないように見える。
素敵な帽子。
出演者みんなで演奏する、「アイシャルビーリリースト」は鳥肌ものでした。
また、表題の「ラストワルツ」も哀愁漂う名曲です。

ザ・バンドについて調べてみました。
ザ・バンド(The Band)はカナダ、アメリカのバンド。カントリーロック、サザンロックの代表的アーティストの一つ。ミュージシャンズ・ミュージシャンとして今なお多くのアーティストから尊敬を集めている。(ウィキペディア)
1959年カナダのトロントでロビー・ロバートソン(ギター)を中心に結成。メンバーはリック・ダンコ(ベース)、リチャード・エマニュエル(ピアノ)、ガース・ハドソン(オルガン)、リヴォン・ヘルム(ドラム)。
ロニー・ホーキンズのバック・バンドとしてホークスという名で活動していた。
65年にボブ・ディランのバックバンドとなり、ディランがバイク事故で休養中に、自らが名付けた「ビッグ・ピンク」というウッドストックにあった家の地下室にこもって曲作りをしたあたりから「ザ・バンド」と名乗るようになったらしい。
68年に「フロム・ビッグ・ピンク」でデビューするのだが、この時点で既に活動を開始してから10年足らずのキャリアがある。
この中の「ザ・ウェイト」は映画「イージーライダー」にも使われている。
その後ディランとツアーを行い、大成功を納めるが、76年に解散を発表。
でも、これはロビー・ロバートソンの考えであって、他のメンバーは賛成していなかったらしい。
この解散コンサートというより、最終演奏会といった趣のライブが「ラストワルツ」としてマーティン・スコセッシ監督によって映画化された。
その後、ロビーは単独で音楽活動を行い、評価も高い。
他のメンバーはロビー抜きで再結成しツアーを行っていたが、86年にリチャードが自殺。
それでも、活動は続けていたが、99年にリックが亡くなってからは活動を休止している。

恍惚

2006-09-17 09:33:47 | 映画ーTV
2003年 フランス アンヌ・フォンテーヌ監督  ファニー・アルダン 、エマニュエル・ベアール 、ジェラール・ドパルデュー 、ウラディミール・ヨルダノフ 、ジュディット・マーレ

【解説】
フランソワ・オゾン監督作『8人の女たち』でも共演しているフランスの2大女優、ファニー・アルダンとエマニュエル・ベアール共演の官能ドラマ。夫婦関係の危機に陥った主婦が、娼婦を雇って夫を誘惑させ、情事の一部始終を報告させようとする。ファニー・アルダンが倦怠期の熟年主婦を、エマニュエル・ベアールが魅惑的な娼婦をそれぞれ好演。男女愛の本質と女の性を深く掘り下げながら、思いがけないラストへと突入するストーリー展開が注目だ。

【あらすじ】
夫のベルナール(ジェラール・ドパルデュー)に浮気された主婦カトリーヌ(ファニー・アルダン)は、夫の性癖を知るため、娼婦のマルレーヌ(エマニュエル・ベアール)を雇って情事の一部始終を報告させようとする。(以上yahoo映画)

【感想】
これが大人の関係ということなのでしょうか。
妻が夫に刺客ならぬ愛人を送り込むなんて、まず発想に驚かされます。
語られる情事に妻は耳を覆いたくなるような衝撃を覚えながらも、やめられない。
理解しがたい妻と愛人の関係が、理解を超えた結びつきに変わって行く様子が、丁寧に描かれて行きます。

私は結構早い段階で、虚構に気がつきましたが、それでも二人の女優の緊張した会話には引き込まれました。

エマニュエル・ベアールがすごくセクシー。ファニー・アルダンの苦悩する妻の表現もすごい。ジェラール・ドパルデューは相変わらず、味わい深い。

3者の魅力が十分に引き出された作品と言えますが、このテーマはフランス映画ならではの、大人の関係を描いたもので、共感できるところまではいけませんでした。

ダニー・ザ・ドッグ

2006-09-16 17:42:12 | 映画ーTV
2005年 フランス/アメリカ ルイ・レテリエ監督 リュック・ベンソン脚本 ジェット・リー 、モーガン・フリーマン 、ボブ・ホスキンス 、ケリー・コンドン 、ディラン・ブラウン

【解説】
ジェット・リー主演、リュック・ベッソン製作・脚本のアクション・エンターテインメント。共演はアカデミー俳優の一員となったモーガン・フリーマン。撮影は『トランスポーター』のピエール・モレル。ジエット・リーが孤独な主人公を表現するために、スタジオに一人で泊まり込みをして役作りに挑んだ意欲作。

【あらすじ】
5歳の時に誘拐され、バート(ボブ・ホスキンス)という男の奴隷として、犬のような扱いを受けて育てられたダニー(ジエット・リー)。成長した彼はアンダーグラウンドの格闘技場で戦って、バートのために金を稼いでいた。

【感想】
もっと、格闘技がテーマの作品だと勘違いしていました。
悲しい生い立ちの青年の物語。
ジェット・リーのアクションは気持ちがいいですね。
先日見たジャッキーのアクションよりもう少しテンポがよく、音楽みたいに聞こえます。
ストーリーもよかった。
モーガン・フリーマンとそのまま娘、心優しく、行き届いていました。

これでもかと、生き返ってくる悪役、ボブ・ホスキンス。
その憎たらしさが良かった。

リュック・ベンソンの脚本にしてはもたもたした感じもあるけど、おおむね、合格点ではないでしょうか。
引き込まれてみてしまいました。

THE MYTH/神話

2006-09-15 13:54:44 | 映画ーDVD
2005年 香港/中国 スタンリー・トン監督 ジャッキー・チェン 、キム・ヒソン 、レオン・カーフェイ 、マリカ・シェラワット 、シャオ・ピン

【解説】
世界のカンフー・スター、ジャッキー・チェンと『ファイナル・プロジェクト』のスタンリー・トン監督が手を組んだ歴史武侠アクション大作。『アウトライブ飛天舞』のキム・ヒソンが天女のようなヒロインを熱演し、その美貌で観客を魅了する。『リベラ・メ』のチェ・ミンスと『ダブル・ビジョン』のレオン・カーフェイという、韓国と香港のスターの共演も実現。2000年前から現代に到る壮大なスケール愛の物語と、命がけで撮影された本物のアクションに息を呑む。

【あらすじ】
考古学者のジャック(ジャッキー・チェン)はいつも同じ美女(キム・ヒソン)の夢を見ていた。じつは2000年前の前世で彼は秦の始皇帝の近衛将軍で、朝鮮から迎える妃の玉漱(キム・ヒソン)の警護を任されていた。国境で彼女の婚約者、チェ将軍(チェ・ミンス)と激しい闘いになり、彼は命がけで妃を守り抜くのだった。(以上yahoo映画)

【感想】
ストーリーは現代と未来が交錯して、少しわかりにくいと思いました。
最初はジャッキーも年を取ったなあ、と思いながら見ていましたが、だんだんアクションに引き込まれて行って、インドでの大立ち回りはさすがに圧巻。面白かった。
現代のアクションと古代のアクションの両方が楽しめます。
本物の兵馬俑博物館も見られるし、中国内陸部の大自然も堪能できます。
ワイヤーアクションも充実。

ただ、古代の戦闘シーンで敵味方がよくわからなかったのが残念でした。

これは、映像的にも劇場鑑賞が望ましい作品と思いますが、DVDの特典映像にあるメイキングが面白かったです。
映画のエンディングにも出てきますが、メイキング風景はとても温かく、手作り風で、ジャッキーの優しい人柄がしのばれました。
また、命綱なしで岩場を飛び歩くジャッキーにも感動しました。

音楽もたっぷり聴かせてくれて、それがなかなかよかったです。
漢字字幕が出て、なんとなく内容もわかり、切ない気持ちになりました。

マッチポイント

2006-09-14 11:38:58 | 映画ー劇場鑑賞
2005年 イギリス/アメリカ/ルクセンブルグ ウディ・アレン監督 ジョナサン・リス・マイヤーズ 、スカーレット・ヨハンソン 、エミリー・モーティマー 、マシュー・グード 、ブライアン・コックス

【解説】
ニューヨーク派の名匠ウディ・アレンが初めてロンドン・ロケを敢行したサスペンス。イギリスの上流社会を舞台に、持ち前の野心で地位と財産を手に入れる男の運命を描く。運命に翻弄(ほんろう)される主人公を演じるのは、『アレキサンダー』のジョナサン・リース・マイヤーズ。彼をとりこにする奔放なアメリカ人女性を『アイランド』のスカーレット・ヨハンソンが演じる。先の読めないサスペンスの魅力とウィットに富んだ語り口が融合した贅沢な作品。

【あらすじ】
元プロテニス・プレイヤーのクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、大金持ちのトム(マシュー・グード)と親しくなり、やがて彼の妹クロエ(エミリー・モーティマー)と結婚。しかし、トムの婚約者で、セクシーなアメリカ人女優のノラ(スカーレット・ヨハンソン)に心を奪われ、不倫の関係に陥ってしまう。

【感想】
ストーリーは、日本の昼メロでもありがちな浮気、不倫、男の野心など、使い古されているもの。
舞台がイギリスというのも納得できる。
古い倫理観、道徳が人々を支配しているから。
そして、ちゃちな殺人トリック。
でも、ウッディ・アレンが味付けしたら、こうななってしまうのね。
すごい。面白い。
最初から最後まで、パーフェクトだと思いました。

テニスボールがネットのコードに当たり、向こうに入れば敵の得点、こちらに落ちれば自分の得点…果たして、運命の女神は…

このシチュエーションがあんなところで使われるなんてねえ。
びっくりしました。

最後義兄が生まれた赤ちゃんに「実力はどうでも運のいい男に育て」と言います。
これが、この映画のテーマかなあ。
ウッディらしい、ひねりの利いたセリフでした。

といっても、私は「アニー・ホール」しか彼の作品を見ていなくて、それも、あまり気に入らず、ほとんど忘れています。
でも、この作品は、かなりたくさんの人が面白いと唸る作品に仕上がっているのではないでしょうか。

ただいま売り出し中のジョナサン・リス・マイヤーズ、よかったです。
若い頃のアラン・ドロンを彷彿とさせませんか。
野心の隠された暗い瞳、セクシーな口元、しかも、あまりお利口そうではないところも魅力です。

スカーレットは、むちゃくちゃセクシーでした。
男なら誰でも、まいっちゃうでしょ。
危険な女。
二人の出会いのシーン、エロティックでした。
からみあうような視線。
ここでもう、この二人は危険って観客が納得します。

奥さん役のエミリー・モーティマー 、「Dearフランキー」の時とは全然違う、世間知らずで単細胞の女性を無理なく演じていました。

物語も登場人物もすごく単純にして、人の欲望だけにテーマを絞って、大成功だと思いました。

音楽は古いオペラの曲を多用して、それも成功でした。

トランスアメリカ

2006-09-14 11:35:13 | 映画ー劇場鑑賞
2005年 アメリカ ダンカン・タッカー監督
ウィリアム・H・メイシー製作総指揮 フェリシティ・ハフマン 、ケヴィン・ゼガーズ 、フィオヌラ・フラナガン 、エリザベス・ペーニャ 、グレアム・グリーン

【解説】
女性の心を持ちながら、体は男性として生まれた主人公の葛藤をモチーフにしたハートフルな人間ドラマ。愛を忘れてしまった親と愛を知らない息子の複雑な関係を、新鋭監督のダンカ・タッカーが、彼らのアメリカ大陸横断の旅を通してたおやかに描き出す。人気TVドラマ「デスパレートな妻たち」の“女優”フェリシティ・ハフマンが、女性になる手術を待つ“中年男”にふんし、夢と親心の間で揺れる“ヒロイン”を好演している。

【あらすじ】
男性であることに違和感を持つブリー(フェリシティ・ハフマン)は、肉体的にも女性になるため最後の手術を控えていた。そんな“彼女”の前に、突然トピー(ケヴィン・ゼガーズ)という少年が出現。彼はブリーが男だったころに出来た息子であることが判明するが、女性になりたい“彼女”は彼を養父の元へ送り返そうとする……。(以上yahoo映画)

【感想】
この映画は女優フェリシティ・ハフマンの演技力に尽きるのではないでしょうか。
もう、すごいといかいいようがない。
なにからなにまで、主人公ブリーになりきっていました。
なんで、これがオスカー穫れなかったの?
ホワイ?

生まれた時から性同一障害に苦しみ、念願の性転換手術を1週間後に控えたブリーに、男性として生活していた頃にできた息子が現れる。
彼(彼女)はさすがに父親だと打ち明けられず、なんとか継父の元へ送り返そうとするが、その継父はとんでもない男だった。
手術の時間は迫るが、息子を放ってもおけず、二人は車に乗って大陸横断の旅を続けるというロードムービーです。

世間との違和感を持ち、〝埋没〟した人生を送っていたブリー。
彼女にとって手術は自分を取り戻す立ったひとつの希望でした。
傷だらけで生きてきたブリーを、フェリシティは全身で表現していました。
痛々しさがひしひしと伝わって、共感できました。

息子のトビーもまた、傷ついて育った少年でした。家出してジャンキーたちの間で暮らしながらも、夢(ちょっとへんてこな夢でも)を持って、まともになりたいと精一杯生きている少年でした。

その二人が初めて愛する人を得た喜び。
これで、孤独な魂はよりそって、やっと長い絶望から解放されるのではないかしら。
いいラストでした。

トビー役のケヴィン・ゼガーズもかわいくて、繊細でとてもよかった。

ブリーお母さん役のフィオヌラ・フラナガン、笑わせてくれました。
この人、「アザーズ」のあの怖い召使いのおばあさんなのね。
さすが、うまいです。

製作総指揮のウィリアム・H・メイシーって、名優ですが、フェリシティのご主人だったのね。
知らなかった。

音楽も良かったなあ。
ドリー・パートンが歌う主題歌もいい。
トビーが映画の撮影をやっているときに「聖しこの夜」、なにか深い意味があったのかな?

映画館を出てしばらくは私も、ブリーみたいにつっぱった歩き方や、コーヒーカップの持ち方になりそうなくらい、印象に残るフェリシティの演技でした。

東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~

2006-09-12 09:22:09 | 読書
著者:リリー・フランキー 出版社: 扶桑社 (2005/6/28)

出版社 / 著者からの内容紹介
読みやすさ、ユーモア、強烈な感動! 同時代の我らが天才リリー・フランキーが骨身に沁みるように綴る、母と子、父と子、友情。この普遍的な、そして、いま語りづらいことがまっすぐリアルに胸に届く、新たなる「国民的名作」。『en-taxi』連載、著者初の長編小説がついに単行本化。

リリー・フランキー
1963年福岡県生まれ。武蔵野美術大学卒業。文章家、小説家、コラムニスト、絵本作家、イラストレーター、アートディレクター、デザイナー、作詞・作曲家、構成・演出家、ラジオナビゲーター、フォトグラファー…など多彩な顔を持ち、ジャンルの壁を自由に往来しつつ活動。『東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン』は著者初めての長篇(Amazon.co.jpより)

【感想】
娘のお薦めで読み始めましたが、慣れない文体で、最初は、「これって面白いのかなあ」と半信半疑でした。
でも、オカンが病気になって上京して来るあたりから、一気に読んでしまい、最後は号泣。
自分の両親のこと、父の病気から死など、私自身の経験が走馬灯のように頭の中によみがえり、「僕が一番怖れていること」という言葉では、今あまり関係がいいとは言えない母への思いで、声に出して泣きたいような気分になりました。
それだからといって、私はたぶん母との関係は今まで通り、冷たい娘が優しい娘に変身、なんてことは決してないのですけど。

こんな私が言うのもなんですが、だいたい、日本の男の子は、母親が大好きなくせに、ぞんざいに扱い過ぎです。
フランス在住の友人が言ってたけど、フランス人は母親に優しくしないと軽蔑されるんだそうです。
当たり前の話です。
母ほど子供を思う存在はないのですから。
じゃあ、なぜ私は母に冷たいか?
ひとそれぞれ、いろんな事情を抱えているんですよね。
絶対母を亡くしたら後悔するとわかっていても、優しい言葉の一言がかけられないのも人間です。

それが、40歳も過ぎたリリーさんが母恋しいと言ってくれることも、ひとりの母親としてすごくうれしい。
こういう時代も来たんだと、はしゃぎたい気分にもなりました。

息子を持つ母として、父を看取った娘として、老いた母を抱えている娘として、カタルシスを味わえるいい本でした。

プルーフ・オブ・マイ・ライフ

2006-09-11 16:19:22 | 映画ーDVD
2005年 アメリカ ジョン・マッデン監督 グウィネス・パルトロー 、アンソニー・ホプキンス 、ジェイク・ギレンホール 、ホープ・デイヴィス 、ダニー・マッカーシー

【解説】
恋に落ちたシェイクスピア』のジョン・マッデン監督と、同作品でアカデミー賞主演女優賞に輝いたグウィネス・パルトロウが再び組んだ感動作。共演は『アレキサンダー』のアンソニー・ホプキンスや、『デイ・アフター・トゥモロー』のジェイク・ギレンホール。人生に必ず訪れる愛しい者との永遠の別れ。そこから始まる再生のドラマが万人の胸を打つ。撮影の前年に父を亡くしたグウィネスの深い悲しみの演技に圧倒される。

【あらすじ】
キャサリン(グウィネス・パルトロウ)は天才数学者の父(アンソニー・ホプキンス)を亡くし、失意の底にいた。そんな時父の教え子のハル(ジェイク・ギレンホール)が、遺されたノートを見に訪ねて来る。

【感想】
グウィネスとジェイクのもっと、ロマンティックなお話なのかと思っていました。
内容は、狂気に怯えるグウィネスの心の問題で、結構深刻でした。

物語への導入部分が、ちょっと退屈な感じ。
有名な父が亡くなって、明日は葬儀というのに、なんかのんびりし過ぎているような気がしました。
葬儀も、その後のパーティも、日本の感覚とはずいぶん違いました。
そして、扱っているのも数式であり、数学者の世界のことなので、少しわかりにくかった。
だから、お姉さん(ホープ・デイヴィス)の存在が、とても冷たく、非情な感じに見えたのが残念でした。
本当は、というのも変ですが、彼女は彼女で妹に病んだ父を押し付けたことを心苦しく思い、彼女なりに妹に新しい人生を送ってもらいたいと願っていると思うのです。
でも、あまりに父と似ている妹が恐ろしくもあるのです。

アンソニー・ホプキンスが、正気と狂気の境を生きる老人を好演していました。

なんか、豪華キャスト&監督の割にはね、と言う作品でした。
最後も、地味だったなあ。
数式を二人で検証しながら終わるなんて…。それってロマンティックって言えるかなあ。
数学音痴には理解できないことでした。