マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

香華

2006-09-07 20:57:51 | 映画ー劇場鑑賞
1964年 日本 木下恵介監督 有吉佐和子原作 岡田茉莉子 、加藤剛 、三木のり平 、乙羽信子 、岡田英次

【解説】
有吉佐和子の同名小説を「死闘の伝説」の木下恵介が脚色、監督した文芸もの。撮影もコンビの楠田浩之。

【あらすじ】
〈吾亦紅の章〉明治三十七年紀州の片田舎で朋子(岡田茉莉子)は父を亡くした。母の郁代(乙羽信子)は二十歳で後家になると、その美貌を見込まれて朋子をつなの手に残すと、高坂敬助の後妻となった。母のつなは、そんな娘を身勝手な親不孝とののしった。朋子は実家に残された。婚家とそりがあわない郁代は夫とおさな娘安子と一緒に大阪へ家出したが、貧しい暮らしを強いられた。
祖母のつなが精神に異常をきたして死に、引き取り手のない朋子は静岡の遊廓叶楼に半玉として売られた。
皮肉なことに、敬助に売られて母の郁代が花魁として同じ遊郭で働くこととなった。
十七歳になった朋子は、赤坂で神波伯爵に水揚げされ、養女先の津川家の肩入れもあって小牡丹という名で一本立ちとなった。朋子が、士官学校の生徒江崎武文(加藤剛)を知ったのは、丁度この頃のことだった。一本気で真面目な朋子と江崎の恋は、許されぬ環境の中で激しく燃えたが、道ならぬ恋のゆくえは…。

〈三椏の章〉関東大震災を経て、年号も昭和と変わった頃、朋子は二五歳で、築地に旅館“波奈家"を開業していた。朋子の頭の中には、江崎と結婚する夢だけがあった。しかし、突然訪れた江崎は、結婚出来ぬ旨告げて去った。郁代が女郎であったことが原因していた。朋子の全ての希望はくずれ去った。
やがて、戦争。空襲で旅館を失った朋子だが、たくましく同じ地で旅館を再会する。
それから三年、新聞の片隅に江崎の絞首刑の記事を見つけた朋子は、一目会いたいと、巣鴨通いを始めた。村田事務官の好意で金網越しにあった江崎は、三椏の咲く二月、十三階段に消えていった。
母も亡くなり、妹の息子を養子にした朋子は和歌山へ父のお墓参りに出かけるのだか。

【感想】


大阪九条にあるシネヌーボーへ初めて出かけました。
アート系の映画館として有名ですが、今まで行ったことがなかったのです。
今回は「松竹110周年祭」。7月の終わりから始まっていたのですが、日本映画好きの友達に誘われて、ようやく来ることができました。
町並みにとけてしまうような外観で、とても手作りっぽい。
中は100席くらい、スクリーンの大きさも手頃でした。
客の入りは9割と行ったところ。よく入っていました。
客層は平均年齢50歳後半から60代という感じでした。
上に長々とあらすじを書きましたが、後編は特に筋を追ったような作品になってしましっていて、少し残念でした。

この映画の収穫は、有吉文学であるということ。
有吉の特徴である、紀州弁がとても耳に心地よかった。
全編を通じてテーマは母と娘の葛藤。
こんなに波乱万丈の人生ではもちろんありませんが、自分の身に置き換えて、苦笑してしまうようなやりとりがありました。

カメラワークも、前編はとても凝っていて、わくわくしました。
白黒も美しかったけど、カラー作品であれば、反物の柄や着物など、もっと楽しめただろうと思いました。

日本家屋や和室の美しさ、四季折々の調度の風情など、再認識しました。
日本語も美しかった。

ただ、青年将校加藤剛との恋は、身を焦がす意味が少しわかりませんでした。
だって、朋子は当時妾で、妾の純愛は納得できませんでした。
これも、時代の違いなのでしょうか。