マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

マッチポイント

2006-09-14 11:38:58 | 映画ー劇場鑑賞
2005年 イギリス/アメリカ/ルクセンブルグ ウディ・アレン監督 ジョナサン・リス・マイヤーズ 、スカーレット・ヨハンソン 、エミリー・モーティマー 、マシュー・グード 、ブライアン・コックス

【解説】
ニューヨーク派の名匠ウディ・アレンが初めてロンドン・ロケを敢行したサスペンス。イギリスの上流社会を舞台に、持ち前の野心で地位と財産を手に入れる男の運命を描く。運命に翻弄(ほんろう)される主人公を演じるのは、『アレキサンダー』のジョナサン・リース・マイヤーズ。彼をとりこにする奔放なアメリカ人女性を『アイランド』のスカーレット・ヨハンソンが演じる。先の読めないサスペンスの魅力とウィットに富んだ語り口が融合した贅沢な作品。

【あらすじ】
元プロテニス・プレイヤーのクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、大金持ちのトム(マシュー・グード)と親しくなり、やがて彼の妹クロエ(エミリー・モーティマー)と結婚。しかし、トムの婚約者で、セクシーなアメリカ人女優のノラ(スカーレット・ヨハンソン)に心を奪われ、不倫の関係に陥ってしまう。

【感想】
ストーリーは、日本の昼メロでもありがちな浮気、不倫、男の野心など、使い古されているもの。
舞台がイギリスというのも納得できる。
古い倫理観、道徳が人々を支配しているから。
そして、ちゃちな殺人トリック。
でも、ウッディ・アレンが味付けしたら、こうななってしまうのね。
すごい。面白い。
最初から最後まで、パーフェクトだと思いました。

テニスボールがネットのコードに当たり、向こうに入れば敵の得点、こちらに落ちれば自分の得点…果たして、運命の女神は…

このシチュエーションがあんなところで使われるなんてねえ。
びっくりしました。

最後義兄が生まれた赤ちゃんに「実力はどうでも運のいい男に育て」と言います。
これが、この映画のテーマかなあ。
ウッディらしい、ひねりの利いたセリフでした。

といっても、私は「アニー・ホール」しか彼の作品を見ていなくて、それも、あまり気に入らず、ほとんど忘れています。
でも、この作品は、かなりたくさんの人が面白いと唸る作品に仕上がっているのではないでしょうか。

ただいま売り出し中のジョナサン・リス・マイヤーズ、よかったです。
若い頃のアラン・ドロンを彷彿とさせませんか。
野心の隠された暗い瞳、セクシーな口元、しかも、あまりお利口そうではないところも魅力です。

スカーレットは、むちゃくちゃセクシーでした。
男なら誰でも、まいっちゃうでしょ。
危険な女。
二人の出会いのシーン、エロティックでした。
からみあうような視線。
ここでもう、この二人は危険って観客が納得します。

奥さん役のエミリー・モーティマー 、「Dearフランキー」の時とは全然違う、世間知らずで単細胞の女性を無理なく演じていました。

物語も登場人物もすごく単純にして、人の欲望だけにテーマを絞って、大成功だと思いました。

音楽は古いオペラの曲を多用して、それも成功でした。

トランスアメリカ

2006-09-14 11:35:13 | 映画ー劇場鑑賞
2005年 アメリカ ダンカン・タッカー監督
ウィリアム・H・メイシー製作総指揮 フェリシティ・ハフマン 、ケヴィン・ゼガーズ 、フィオヌラ・フラナガン 、エリザベス・ペーニャ 、グレアム・グリーン

【解説】
女性の心を持ちながら、体は男性として生まれた主人公の葛藤をモチーフにしたハートフルな人間ドラマ。愛を忘れてしまった親と愛を知らない息子の複雑な関係を、新鋭監督のダンカ・タッカーが、彼らのアメリカ大陸横断の旅を通してたおやかに描き出す。人気TVドラマ「デスパレートな妻たち」の“女優”フェリシティ・ハフマンが、女性になる手術を待つ“中年男”にふんし、夢と親心の間で揺れる“ヒロイン”を好演している。

【あらすじ】
男性であることに違和感を持つブリー(フェリシティ・ハフマン)は、肉体的にも女性になるため最後の手術を控えていた。そんな“彼女”の前に、突然トピー(ケヴィン・ゼガーズ)という少年が出現。彼はブリーが男だったころに出来た息子であることが判明するが、女性になりたい“彼女”は彼を養父の元へ送り返そうとする……。(以上yahoo映画)

【感想】
この映画は女優フェリシティ・ハフマンの演技力に尽きるのではないでしょうか。
もう、すごいといかいいようがない。
なにからなにまで、主人公ブリーになりきっていました。
なんで、これがオスカー穫れなかったの?
ホワイ?

生まれた時から性同一障害に苦しみ、念願の性転換手術を1週間後に控えたブリーに、男性として生活していた頃にできた息子が現れる。
彼(彼女)はさすがに父親だと打ち明けられず、なんとか継父の元へ送り返そうとするが、その継父はとんでもない男だった。
手術の時間は迫るが、息子を放ってもおけず、二人は車に乗って大陸横断の旅を続けるというロードムービーです。

世間との違和感を持ち、〝埋没〟した人生を送っていたブリー。
彼女にとって手術は自分を取り戻す立ったひとつの希望でした。
傷だらけで生きてきたブリーを、フェリシティは全身で表現していました。
痛々しさがひしひしと伝わって、共感できました。

息子のトビーもまた、傷ついて育った少年でした。家出してジャンキーたちの間で暮らしながらも、夢(ちょっとへんてこな夢でも)を持って、まともになりたいと精一杯生きている少年でした。

その二人が初めて愛する人を得た喜び。
これで、孤独な魂はよりそって、やっと長い絶望から解放されるのではないかしら。
いいラストでした。

トビー役のケヴィン・ゼガーズもかわいくて、繊細でとてもよかった。

ブリーお母さん役のフィオヌラ・フラナガン、笑わせてくれました。
この人、「アザーズ」のあの怖い召使いのおばあさんなのね。
さすが、うまいです。

製作総指揮のウィリアム・H・メイシーって、名優ですが、フェリシティのご主人だったのね。
知らなかった。

音楽も良かったなあ。
ドリー・パートンが歌う主題歌もいい。
トビーが映画の撮影をやっているときに「聖しこの夜」、なにか深い意味があったのかな?

映画館を出てしばらくは私も、ブリーみたいにつっぱった歩き方や、コーヒーカップの持ち方になりそうなくらい、印象に残るフェリシティの演技でした。