はがき随筆7月度の受賞者は次の皆さんでした。(敬称略)
月間賞に川並さん(宮崎)
佳作は太田さん(宮崎)、東郷さん(鹿児島)、川嶋さん(熊本)
【月間賞】
16日「サプライズ」川並ハツ子=(宮崎県延岡市)
【佳作】
3日「され上手」太田充=宮崎県延岡市
17日「手紙」東郷久子=鹿児島市
24日「小学1年絵日記」川嶋孝子=熊本市
「ご時世が恨めしい」と大腿骨骨折で入院、手術した母を思う川並さんはその心配をつづられた。一人ベッドで過ごす母は足の不自由さに加え認知症を患っていると。面会ができないことを理解したうえで着替えを届けに行った時に思いもかけない計らいを「サプライズ」という言葉にこめられた。サプライズ(surprise)は英語で、不意打ちとか驚きという意味を持ちますが日本では他人を驚かせた後にその人を喜ばす計画を示す言葉として使われるようです。ハツ子さんの喜びは、会えないと思っていた母に会えた。そしてその日は100歳の誕生日だったのだ。花籠を抱えた母と数分の面会。「母さんよかったね」。無表情の顔だったのに、手を握ると黙って握り返してきた。これこそがサプライズ。よかったね、ハツ子さん。
勉強会で学んだ言葉は「介護され上手」。人はいつか旅立つ。その前に人さまのお世話になる。その平均は女で12年、男で8年。介護現場の生の声を知った太田さんは心が折れる言葉を自戒として心に刻み、お世話になる介護職のお方との幸せな関係の模索の中から二つ記された。介護され上手な秘訣は「ありがとう」と「笑顔」。その日のために私も心がけます。
いつ終息するかもしれないコロナ禍の昨今。自粛の日々の中、東郷さんは「手紙」を受け取る美しい交流を、美しい言葉とともにご披露。手製の封筒、詩的なリズムの明快な文章。読むと高揚感と憧憬。86歳の東郷さんはコロナが終息したら会いたいと願われている。そのためにまず生きていなければ……。パンデミックが収まりますようにと祈る思いです。
終戦の翌年の昭和21年、75年前に書かれた夏休みの絵日記の思い出は「平和」である事の大切さを伝えてくれます空襲警報もなく焼夷弾も降ってこない小学1年生の夏休み。物資不足の中にも戦争がないだけで穏やかな日々だったと振り返っています。感染を意識して手洗いマスク装着が義務化の学校生活も夏休みに入りどこにも行けない今、「知恵を絞って、穏やかな夏休みになることを信じて、乗り切れますよう祈っています」。大切にしたい平和のメッセージ、受け取りました。
日本ペンクラブ会員 興梠マリア