子をうたう詩人

2014-02-02 16:56:56 | 塾あれこれ
先日、新聞のコラムで吉野弘の詩に触れて
いました。

『奈々子に』
(1957年、詩集『消息』)

父が娘への思いを謳った詩です。
吉野さんは1926年生まれですから実感あふれる
詩であろうと思います。

私も若いころは大好きでした。

ハートがあるし、思慮深くもあり
なにより分かりやすい表現で書く素晴らしさ。

ただ近頃は、完成度の高さゆえ、好きという感じが
逆に薄れてきましたが。
少し「理」が勝つのです。


山之口貘にも娘さんが登場するものが多くあり
分かり易くて愛情があふれている面が共通します。

ただ生前は娘さんの詩はほぼ詩集に編まれていません。
没後の詩集『鮪に鰯』(1964)に多数収められています。

吉野さんの詩集より遅い出版ですが、1957年といえば
バクさん54歳ですから、詩そのものは吉野さんよりも
早くに書かれていたと推測できます。
(45才のときにミミコ4才)

『大きくひらいたその眼からして
 ミミコはまさに
 この父親似だ
 ・・・
 手の鳴る方へ
 まっすぐに地球を踏みしめたのだ』

これは『親子』という詩の一部です。

愛する娘の詩をほぼ詩集に載せていないことが
バクさんらしいところですね。


バクさんが亡くなられて半世紀
沖縄の置かれているありさまと
大和んチュの無責任さは何も変わっていないようです。