『WOMAN』

2013-07-04 10:46:46 | 見る
坂元裕二、『それでも生きてゆく』『最高の離婚』
私が知るのはこれだけですが良い脚本家ですね。

昨夜は『WOMAN』第一話
以下、ネタバレに近くなると思います、スミマセン。

『最高』のようなとっつきやすさがない真摯な作品ですから
「これでは視聴率はとれないべ」
もしある程度まで行ったら(日本も捨てたものじゃない)

まず、シングルマザーの大変さが描かれます。
「そうだろうな」

・・実際はこんなじゃなくすごい大変だろうけれど
ドラマですから(シンドサばかり)(子供可愛いばかり)
を描いても、平凡になりそうです。

色々組み合わせてゆく中で、シングルマザーの全体像が
浮かんでくるのでしょう。

実は坂元脚本としては、まあまあくらいの感想でした。
けれど、母との「対決」では流石。
ぐ~んと引き付けられました。

これから、人間の裏、そのまた裏、などという展開が
予想されます。
目が離せないのが坂元作品ですね。

人間と言うものは「表」だけではないと考えれば
当ったり前の話ですが、なぜそうかを解きほぐすのが
出来の良いドラマです。
近頃は「流行らない」かと思い始めていましたが
そうでもないらしく妙に安心します。

満島さん母子が帰って行ったあとの親たちの会話!
あれが本当ですよね。

そういう「人間たちの在りよう」が描かれそうです。
驚きの展開があるハズです。
「裏」は隠すものですから。

もちろん、他でよくみる無責任かつコートームケイな超漫画
脚本の「展開が読めない」とは異質の世界です。
(朝ドラ・・前回も今回もひどいね)

俳優陣は申し分ありません。

満島さんは微妙な空気を醸し出せる稀有な女優さんで
若いのにねえ「私のお気に入り」

田中裕子さんに負けていないでしょう?

若尾文子さんの若い頃をイメージしてしまうのですが
・・・ちょっと違いますか?

『それでも生きてゆく』の満島さんが少しだけ単純な役
だったようにも思いますから、今回は代表作になるか・・


演出も気合が入っていそうです。

オールロケ?
というほどのカメラは新鮮です。
撮影は大変でしょう。

セットを使っているとしても映画並みに充実しています。
成瀬映画が現代に・・・ちょっと誉めすぎかなあ。


今回の坂元脚本そのものが、昔の巨匠時代の日本映画を
意識しているのではないか、というくらい細やかな出来
になっています。

よっく考えて作り込んであるのですね。

梨の使い方だけでもどれほど神経を遣っているか。
それがあるから「意外な展開」も生きるのです。

そこらへんの脚本とは出来が違いますね。
本当に頭が良い人。


例えば、雨の降らせ方。

盛り上がる時に雨、というのは定番です。
しかし、その使いこなし方が上手い!
削ぎ落としてあることをこちらが推測できる作り
ですねえ。

雨だから気分が高揚する
雨だから子供は眠入る
雨だから出かけていた人は帰ってこない

雨上がりだから子供を連れ帰宅する
雨上がりだから義父が送って出る
少しだけ気が晴れる→階段をのぼりながら
こみ上げるものに負けて泣いてしまう

ビデオでチェックし直せばこんなものではない、
芸の細やかさが分かるはずですが、・・次回以降に。


質が高かったころの日本映画をイメージしたのは、特に、
お母さんと二人の話が始まる部屋。

畳に扇風機の首を振る影だけがうっすらと差していました。

(追記:畳ではなくて籐の敷物でした)

この気分、坂元さんお若いのに、よく分かっておられます。
それに気付くだけでもドラマをみた価値がありました。