新藤兼人

2010-11-01 10:58:29 | 塾あれこれ
気になる映画人、新藤兼人。

いまさら気になるとは失礼な言い草ですが
近年はサスガにお年を召された。

ウィキペディアでは「元」映画監督!
いくらなんでも、そりゃないよねえ。

広島の石内で生まれ、不自由のない生活が
一転苦労する・・有名な話です。
狭い平地ではあれ、こちらの山からあちらの麓まで
ずっと新藤家の農地だったとか、広島ではリッチ。


私の母が30年前に出来始めたばかりの住宅団地を
買い求めたのが、石内からとろとろと坂を上った
五月ケ丘という所でした。

サラ地ばかりで周りに一軒もなかったという時代です。
つまり、安かった。

バスも、石内を通る路線で大回りをして市内へ。
八丁堀まで1時間半くらいかな。


また例により話が横道でした。

新藤兼人は地元から出た有名人ということです。
尾道にも関係があるしねえ。

『原爆の子』や『裸の島』など意欲的な名作を発表
のちに『溝口健二の記録』これは面白い作品でした。

けれどもその後の『竹山ひとり旅』辺りから
詰らなくなってしまいましたね。

一般向け、収入が多い映画を目指されたのかなあ。

『午後の遺言状』は有名になりましたが、これはヒドイ。
彼の悪いところが強く出てしまった作品でした。

演出が甘いのです。
パパっと撮ってしまい、緊張が足りません。
日本映画らしいといえばそうなのですけれども。
この映画、季節感すらバラバラな画面でした。

なぜ、賞を取るのだ?
つまり賞と言うものが怪しいと強く意識した次第。

東京国際映画祭はどうなんでしょうね。
残念ながら、近年は広島では伺い知れない祭です。


『一枚のハガキ』を撮っている新藤兼人を追った
ドキュメンタリーを見ました。

大変に面白いものでした。

彼の戦争体験を盛り込んだ『一枚のハガキ』は
どうしても作っておきたかったということが伝わります。

お祭りですから、高齢の監督に今回の「特別賞」なの
でしょう。

でも、公開されれば見るべき作品のような気がしますね。

演出はピシっとしていないようですけれども。
(あんなテレっとした軍人はいませんぞ。
 高齢になって招集された兵隊といってもね。)