とある温泉にて

2008-10-22 14:15:22 | 塾あれこれ
いつもながらの昔話です。

私は独身が長かったので一人旅をよくしました。

独身が長いといっても、それを選択させられていた
だけのことです。
そう、モテなかった。

40を過ぎて結婚が可能になったときに私を知る人は
親戚、年来の友人、から行きつけの飲み屋まで
皆さんにしっかりと言われました。

「最初で最後だからオクサンに逃げられないように
 きちんとした人間になるんですよ」

そう言われて腹が立たなかったのは私自身も納得の
有難い忠告であったからです。

あのころは意識が確かだったのですがねえ。。。
実行が伴わないまま時が流れています。


一人旅の話でした。

ガイドブックで翌日の宿を探し予約を入れて移動する
というパターンが多かったですね。
当時は飛び込みでいくと断られることが多かった。
女性の一人旅ほどではなかったでしょうが。
宿で銚子を傾けながら次の泊まりを探すのも面白い
ものです。

ある時「誰も知らない東北の小さな温泉」をテーマの
一人旅。もちろん調べないで飛び込みです。
国鉄で移動しますから秘境にはあまり向かいません。

で、福島県、磐越東線で宿を探し・・

さびれた駅からタクシーで行き先を告げると
どうも様子がおかしい。
あとで「言えばいいじゃん!」と思いましたが
その宿に用がある人間かもしれないと思われたかな、
運転手から忠告はありませんでした。

私も旅する人間というより(会社を抜け出した)風の
旅行をしていますから。

宿に着いて驚いた。
普通の、ごくごくごく庶民的な、小さな家なのです。
民宿にしてもちょっと、と思いながら
いちおう玄関らしきものから入りますと
紙くずがいっぱい散らばっている!

江戸か明治、あるいは昭和大恐慌の農村
娘さんを身売りに出し・・のイメージです。

客間にはさすがに紙くずはないけれども
小さな子供が使っているという形跡があります。

まあこれでもガイドブックに載って仕事をしている
のだから温泉だけは良いのだろうと・・・

・・家族の使う風呂でした。

なんなんだ~!!!!

そこから後の記憶がありません。
どんな食事を出されたのか、
次の日どうやって最寄駅までたどりついたのか・・

二十代後半でしたから驚いた。

宿にしてみればそれが昔からの姿だったのです。
ただし、時代の流れからはズレていた。
当たり前、という意識の怖さです。
(今となっては妙に懐かしい思い出です)

逆に当たり前の良さも沢山ありますが、それは明日。