英霊の絶叫

2015-03-18 | 政治・経済
私の趣味は“鉄道”です。

今風には 「何‘鉄’ですか?」 と問われることになります・・・


“撮り鉄”と“模型鉄”かな。


でも実際には「全部」なのかなと思います。 (「全部」がいちばん普通じゃないか?と思っています)

鉄道趣味のあり方を分類する言い方。
これも鉄道趣味の多様さを世間に知って貰う為には役立ったと思います。

でも鉄道趣味のなかにはもっと違うモノが有りますよね。

例えば私の友人デトレフは彼が担当している 44 2546 を走れるように整備(修理したり修理依頼をして稼働出来る様に)して、製造時風プレートを新調して取付るなどして飾り、誇りを持って仕立て上げて自ら機関士として運転してファンに写真を撮らせるのです。


本人が撮ったモノかどうか判りませんが彼が先月送ってきた写真です。


これもそうです。 軸重計測中?踏面研磨中?


コレは本人撮影じゃなさそうです。 本人は多分機関士席です。


これもそうです。

これは「ドイツならでは」かと言えば、日本でも成田ゆめ牧場をやっている人達がきわめて近いです。


そして日本で言えば星晃さんや黒岩保美さんの様に鉄道を職業としながらではありますが「美しい車両を実現してしまう」という鉄道趣味も有るかと思います。

残念ながら現在の日本にはなかなか無いレベルです。



水戸岡鋭治さんと言うデザイナーが居ます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%88%B8%E5%B2%A1%E9%8B%AD%E6%B2%BB

彼と、彼にデザインを依頼している人達は趣味として「美しい車両を実現しよう」という分野とは対極を成すと思います。

鉄道に興味を持ち、好きで知識が有ったならば恥ずかしくて出来ない幼稚な猿真似を平気でやってしまうからです。

TGVの猿真似やICE3の猿真似を、ファンから見たら露骨に猿真似と判ってしまうことを「やってしまう」のです。
そのあまりの「幼稚さ」故に鉄道趣味というモノが有ることを本当には認識していない事が判ります。

まさに日本の鉄道界にとって‘最大の恥辱’であると思います。



日本鉄道業界、趣味界のなかで抜群のチャンス=E26系をデザインするときにあんなダメダメなデザインになってしまった事は星晃さんや黒岩保美さんの輝き渡る功績の対極を成す感じがします。


フランスのデザイナー、ナタリー・ジョルジュさんのデザインだそうですがダサいからあっさり‘ボツ’にするべきだった、‘ボツ’の決断をするべきだったのです。



第一にフランスやイタリアのデザイナーに鉄道車両のデザインをさせようとすること自体が鉄道に対する「見識がなっていない」です。
 
日本の鉄道車両は「日本人に対してどういう印象を与えられるのか?」と言うことが大事なはず。 日本の線路上を走る車両にイタリア人やフランス人に喜んで乗って貰うためにデザインするわけではないです。

だから答は簡単です。
(1)日本人
(2)ドイツ人
(3)アメリカ人
(4)イギリス人
の優先順位でデザイナーを選ぶべきであり、フランスやイタリアの入る余地は無いです。

それは鉄道車両であり、ハンドバックでも自動車でもないのですから。


「イタリアの特急はジョルジェット・ジウジアーロのデザインなんだって?」

「へえ~ ・・・・でもかっこわるいね。」


と言うのがせいぜいです。
ジョルジェット・ジウジアーロさんのデザインセンスが悪いのではないです。

日本人の目から見てジウジアーロデザインの特急が格好悪く見えるだけのことです。

其処が重要なのです。

「それ」を知っている人間でなくては日本の特急のデザインを依頼してはいけないです。 日本の鉄道の浮沈が掛かって居るからです。



そういったもっともっと深い鉄道趣味に於いて断然『尊敬』に値するのがアメリカ合衆国です。

E26系を見たとき、50年先行しているアメリカのステンレス車両による全個室寝台特急列車【スーパーチーフ】と比べて何と格好悪い!
デザインのレベルが5段階ぐらい下じゃないか!?
がっかりして眼前が真っ暗になるほどの衝撃を受けたモノです。


アメリカのかつての鉄道は美しさを押し出して居ました。

どの鉄道もそうです。

今見ても見事です。

アメリカのかつての列車の塗装の塗り分けは6点~10点満点の点数を与えられるとするならば、日本の○○色、××色は0点~6点程度の点数しか与えることができないです。

ああ、日本の星晃さんと黒岩保美さん(回りに多くの優れたデザイナーが居たのかも知れません)は偉大でした。 日本の輝ける時代です。



そんなわけでアメリカ合衆国や、かつての鉄道各社やNMRAやケーディー社を大変尊敬しますが、鉄道趣味をやっているとどうしても他の事も判ってきたりします。

例えば 『ビックボーイ』

世界最大の蒸汽機関車として有名ですし、復活の期待も有って興味は尽きません。


ビックボーイは1930年代終り頃、合衆国政府から「太平洋での戦争に備えてより高速で強力な新型蒸汽機関車を用意せよ」という指示により開発されました。


1941年8月 ビックボーイ最初の1両、#4000がニューヨーク州で落成。

1941年9月8日 #4000が就役、初めてロッキー山脈を越えました。

1941年11月 #4019が納入され一次形20両が勢揃いしました。


主に太平洋を舞台に日本とアメリカ合衆国が戦った“太平洋戦争”はアメリカ側では『予定』していた事が判ります。

1940年7月 アメリカでは両洋艦隊法が成立、エセックス級空母32隻(落成は24隻)をはじめとする147万トン(日本の連合艦隊全艦相当量の新鋭艦)という途方も無い建造計画がスタートします。 これは海上艦を僅かしか持たないドイツを対象としていない事ははっきりしている計画です。

対する日本は1941年まで対米戦争は全く想定して居らなかった事が判っています。
開戦して、戦況が進んでから戦争計画を次々に改定して行った経緯は皆様ご存知のところかと思います。

艦艇マニアから聞かされて記憶に残っている事を書けば「日本と米英の艦艇の根本的な違いは燃料搭載量である」

と聞かされました。

「航続距離を大きくして遠くまで攻め込む発想の英米と燃料搭載を減らして隻数で劣る分を兵器搭載量を大きくして対抗しようとした日本の違いだよ」

と言うことです。

(内南洋での艦隊決戦)
(攻め込む想定は元来無かった)


あの頃からじつは殆ど専守防衛形の兵装だった訳です。

日本の歴史最大の愚行、アメリカへの奇襲攻撃と宣戦布告はどうして成されなければならなかったのか・・・・


日本では全くタブーとして議論されない日米開戦への歩みについては、アメリカでは戦時中や終戦直後から議論されて居るようです。

「日本が戦争を仕掛けてきた」とする正統派

「ルーズベルトが戦争を希望して日本に最初の一発を撃たせた」とする修正派

の議論は今でも終っていません。


正統派に与するジェフリー・レコードさんによる著書。

開戦に至ったのはルーズベルトの誤算だったとしています。


修正派に属する加瀬英明さん、ヘンリー・S・ストークスさんによる著書。


こんな帯が巻かれています。

よく言われる“裏口からの参戦”(ドイツと戦う為に日本を戦争に追い込み、先に撃たせた)を実現した経緯や記録を連ねています。

1941年12月時点で日本の暗号はかなり解読されてしまって居たはずなのに何故「トラトラトラ(ワレ奇襲ニ成功セリ)」だったのか?
共和党にそれ(日本の攻撃がハワイに伝わらないようにして旧型戦艦を生贄にして米国民の復讐心を煽った)がばれたのに選挙戦にその件を使わせなかったのはどういう理屈だったのか?といったことが分析されています。

今年は終戦70周年だそうで「日本悪し」を盛んに言い立てる近隣国がのさばりそうですが、歴史を冷徹に検証してみればじつはアメリカによる侵略であった事はほぼ間違いないと言えるのです。

戦争によって独立国であった日本はアメリカの保護国となり、自治権は認められているものの独立国としての権利はもはや認められていません。

沖縄の基地問題のピント外れ振りは滑稽すぎて不愉快以外の何者でもありません。

ペリーは地政学的な沖縄の特異性、戦略的価値を既に見抜いていたわけで、あの位置に米軍は巨大な基地を必要としているのです。

日本は独立国ではないから周辺諸国からいかな嫌がらせを受けても黙って耐えるしかないのかとは思いますが、米国による保護国日本の国民であると言うこと自体が不幸せであるかどうかはまた全くの別問題です。



ところで、独立国であった時代の日本、つまり戦前は良かったか?という点で言うとあまり良くなかったかなということも言えます。

アメリカに叩かれても仕方が無いだらしがない悪事は重ねてきました。 (=ずるずる続いたシナ侵略)(東南アジアは全て植民地だったので侵略は「皆無」・・・タイ国政府への気の使い振りはなかなかのものです)

しかし、↓この本はなかなかの内容で当時のことが色々と判る素晴しい本だと思います。


鉄道写真撮影に出かけて苦難に遭遇したとき、この世にはこんな地獄があったのだという事を思い出して耐える! という目的のためには私は大いに役立ちます。

これまで素晴しかったのは“最悪の戦場に奇跡は無かった”という歩124連隊の高崎伝さんという人の書いた本ですが、この“英霊の絶叫”は凄いです。

辛い内容ですがどんどん読み進んでしまう本です。


話が色々飛び、言いたいことの1/10も言えない程度の内容ですが「そうだったのか!」という驚きに満ちたこれらの本は是非一読してみて欲しいです。