ブログだから打ち明けられる話です。
私の一族は、酒を呑めない者が多く、なかでも父はまったくの下戸でございました。
お猪口半分ほども呑めば、真っ赤な形相になり、息苦しそうにして横になってしまいます。
仕事関係の方々も承知してくれていて、酒席は少なかったようです。かりにそのような羽目になっても、ほとんど呑まずに帰ってまいりました。
ただ一度だけ、父の大狂乱を見たことがございます。
どれほど呑んだのか知りませんが、すっかり仕上がった様子で帰ってまいりました。
いつもより饒舌ではありながら、気分が悪い風でもなかったので、それほどの量を呑んだとも見えませんでした。
ところが驚いたことに、家に入るやいなや、「踊る!」と言いはじめ、素っ裸になったのでございます。
私たちは呆気にとられ、声も出せませんでした。謹厳な父でしたので、思いもしない光景でした。
もっとも驚いたのは母だったようです。笑いながらも、腰が抜けたような状態でございました。
弟にお盆を持ってこさせ、踊りとも言えぬ妙な手つき腰つきで踊り、ほんの1~2分ほどののち、バタンキューと倒れました。
醜態と言えば大醜態なのですが、私たちは別な父を見ることができたのでした。
母は小言や苦情を言いませんでした。父の意外な一面を、歓迎していたようにすら見える母でした。
そのような父の子供でしたから、私の弟たちも下戸に近い実力です。
私もまったく駄目でした。
母は酒を苦手としていた私を、心配していたようです。多少は呑めた方がいいと思っていたような節がありました。
私の帰省のおり、こっそりとお燗をつけてくれたりしたこともありました。
「男なのだから、少しは呑めなくてはね」と、言われたこともございます。
だからといって、すぐに呑めるようにはなれるものではありません。
ビールですらグラス半分で気分が悪くなり、汚い話で恐縮ですが、「小間物屋」の店開きをしてしまう有様でした。
ところが、「小間物屋」を幾度となく繰り返しているうち、少しずつ酒量が進み、いつの間にか大酒呑みと言われるほどになっておりました。進化したのか堕落したのか。
「酒は吐きながら強くなる」という話を、地でいったわけでございます。
もちろん酒を呑んでいただけではありません。口幅ったいことを申し上げれば、高度成長時代の一戦士として、気概をもって働いていもおりました。
一方では、家庭を顧みなかったことに、今も心塞がれる思いがあります。これは私の密かな反省でございます。
やがてカラオケの時代がまいりました。酔いにまかせ、調子はずれの歌を夜な夜な歌い歩く不行跡を、かなり長い間続けておりました。
カミさんの立場から言えば、とんでもない遊び人だったかも知れません。
しかし、もとより強い体質の私ではありませんでした。過激な酒と仕事が祟り、当然の報いとして、体調が乱れ始めたのでございます。
慌てて酒量を減らそうと努力しましたが、習慣とは恐ろしいもので、もはや一朝一夕で断酒はおろか節酒もままなりませんでした。
そのころ自戒の気持ちをこめて、「酒二合 我がはらわたの処方箋」を作りました。
酒に魅入られてしまってからではもう遅かったのです。ついには病を得てしまいました。
今度こその決意を込めて、「川柳もどき」をご披露する次第でございます。
「二合までは許容する」、という意地汚い中途半端さ。
そんな優柔不断な私を、私自身が咎めている昨今でございます。
酒二合 我がはらわたの処方箋 鵯 一平
(写真はイメージ写真を使用しました)
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ご家族の皆様はお酒は呑めないのですね。
私の家族も父も兄も呑めませんでした。ですから飲まされると苦しそうでした。体質的に合わないようでした。
男性はお酒が呑めないと困るとお母様が思われたお気持ちよくわかります。会社のお付き合いで呑まなければいけないことがよくありますよね。
でも、呑んでいるうちに呑めるようになることもあるのですねぇ。
昔、「酒は吐きながら強くなるンだ!」と先輩から気合いを入れられました。
無茶なことなのですが、私の場合、そのとおりでした。
しかし、どんなことをしても呑めなかった友人もいましたので、誰にでも適用出来る「定理」ではなかったようです。
呑むとすぐにドキドキと心臓が早打ちする友人は、もうダメでしたねえ。
母は自分の亭主が呑めずに苦労していたので、セガレには勉強させようとしたのです。
変な母親でしたね。普通は逆でしょうに。
このごろの男社会は、酒を強要しなくなりました。
スマートになったのでしょうか。
付き合いが淡泊になってしまったとも言えます。
ひよどりさんのお父様その日はとてもうれしいお酒を飲んだのでしょうね でも アッハハ
飲めない人がうらやましいと思ったり思わなかったりの私です
酒は適量といいますが二合がね~ ふんふん
いいですね~
でも ひよどりさんはまだまだですよ
一回一緒に飲みたくなりました なぁーんて(^_-)-☆
今の私の実力は、とても1合も無理です。
しかも、まだまだ先の話。
でも、2合は適量ですねえ。
適量というより、限度ですね。
ひろこーぼさんは2合に?のようですが、足らないご様子ですね。
年齢によりけりなのですから、どうぞもっともっと召し上がって下さい。
一緒にイッパイやりたいです!
お母さんの気持ちわかるなぁ~
私も息子にそうしたかも知れないですね。
ただし我が息子は教えなくても大酒飲みに変身していました。
企業戦士となっての戦いお疲れ様でした。
お酒に助けられたこともあったことでしょう。
今思うといろんなことが出来ていい時代を生きましたよね。楽しい過去に乾杯 そしてこれからの人生にもね。
戦争直後に青春時代を過ごし、血気盛んなころに高度成長期でした。
善と悪の規範も少しズレていたかも知れません。
堂々と家庭を顧みなかった時代です。
だから、今、家内には頭が上がりません。
子供たちの思い出話には、「お父さん」の姿が希薄です。
私なりに家庭サービスをしていたつもりでしたが、影が薄いのです。
今、取り戻しつつあります。
遅いかもネー。