秋雨やわが顔映るガラス窓 ひよどり 一平
(あきさめやわがかおうつるガラスまど)
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さほどの雨ではなかったが、雨戸を開ける気にはならなかった。
ガラス窓に映っている私の顔が、不機嫌そうに私を見つめていた。
私とて格別の話もなかったので、窓に映った私の顔を見詰めただけだ。
「お前、ずいぶん年をとったなァ」と、言おうと思ったがやめた。
私から声をかけるべき筋合いでもない。
窓に映った私の顔も、じっと私を見ていた。
こんなヤツと私は八十余年も付き合って来たのだ。
苦労を掛けたなァと思ったら、涙が出そうになった。
だから眼を逸らした。