うまくいくかなあ。
そのようなことを考え、逡巡していては、恋は成就しない。
盲目になれとは言わないが、突進の意気がなければ打開できないのではないか。
若い時代は突進の意気があった。
周囲が見えなくなり、突進だけを選択していた。
ところが中年以降ともなれば、身につけているものも多くなってきている。
身分、体面、家族、社会的地位。
それらをうち捨てて恋に走ることの難しさ。
過去の失恋の経験から、臆病という殻も身に纏ってしまった。
身に纏うものが多くなった老境の恋は、青年期を越える内なる炎がなければ、二重三重に纏った殻を突き破れない。
炎は緋の色。
牡丹咲く炎の色を伝へたし 鵯 一平
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