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自分で考え、自分で調べる

 自分で勉強する、このくせをつけることは、大変大事なことです。勉強するとなると、誰かに教えてもらわなければ、と考えがちですが、まずは自分で勉強するということから本来は始めるべきなのです。

 例えば、本を読んでもいいし、調べものをしてもいい、自分で勉強していくという姿勢は、なるべく早く身につけてもらいたいと思います。

 塾で、よく受けた質問で、こういうことがありました。
「子どもが勉強しているのを、横で見ているのですが、いったいどこまで教えればいいのでしょうか。」
という質問です。これはなかなか難しい質問です。自分で勉強できるようになった子どもに対しては、別に教えなくてもかまいません。自分で勉強できるようになると、何がわかっていて、何がわからないかは、結構早い段階からわかってきますので、親が教えなくても、自分で先生に聞いたり、あるいは参考書や本を探して調べたりします。
 多分、問題なのは
「わかんないや」
といって投げ出す子どもでしょう。こういう子どもたちは、まず入り口のところで、本当に勉強したいという動機づけがしっかりできていないことが多いようです。本当に勉強したいという動機が明確になっている子どもは、いろいろな方法を用いて、自分のわからないところを克服しようとします。ところが「勉強をやらされている」子どもは、わからないことを、勉強をやめる一つの言い訳にしますから、ちっとも進まないのです。こういう子どもたちには、まず動機づけをしてあげなければなりませんが、すぐにはできないでしょうから、やはりわからないところは、少しずつ教えてあげなければいけません。
 ただ教え方には二つ、守らなければならないことがあります。

 ひとつは、怒らないこと。わからないからといって怒ってしまうと、子どもはそれが怖くなってそれ以上勉強する気には到底なりません。これは、最近多くなりました。お父さんやお母さんが熱心に教えるあまり、だんだん子どもに腹を立ててしまうケースが見られます。怒ってしまうと、子どもはその先、「怖い」が先にたってしまいますから、あまり良い結果には結びつかないようです。怒らないように気をつけてください。

 もうひとつは、ほめること。興味をおこすためには、自分が「できる」という自信をもつことが重要です。誰でもそうですが、できると思えば、積極的になります。お父さんやお母さんからほめられて、うれしくない子どもはいません。できたら、多少大げさでもかまいませんから、ぜひ、ほめてあげてください、それが自信になって、子どもは、
「僕は算数が好きだ」
とか言い出すようになります。

 自分で勉強できるようになっていくのは、だいたい5年生の中ごろくらいからではないでしょうか。動機づけがしっかりできてくれば、もっと早いかもしれないし、そうでなければずっと遅いでしょう。

 自分ひとりで勉強できるまでは、私は自分の部屋で勉強させることには、反対しています。子どもは自分の部屋に入ってしまうと、誘惑がいっぱいあって、なかなか前に進みません。マンガがあったり、おもちゃがあったりすれば、勉強しようと多少思っていたとしても、うまくいかないでしょう。

 自分の息子に関して言えば、中学に入るまで、勉強は食堂でさせていました。といって、私や家内が勉強を横でずっと見ていたわけではありません。食堂で勉強させることで、今は勉強する時間なんだということを、意識させていました。しかし娘に関しては6年生の最初から、自分の部屋で勉強させました。これは兄の影響があって、自分も受験して合格したいという気持ちが強く、また女の子ですから、精神年齢も比較的高いので、部屋で勉強させていました。

 どちらがいいのかは、個人差がありますが、本当に自分で勉強できるようになるまでは、自分の部屋で勉強させない方がよいと思います。

 最近の家庭では、無理して子どもの部屋を作っていますが、一方しつけの面では、独立させることと反対のことをしているのが目立ちます。部屋をもつということは、自分でその部屋の管理をするというのが条件です。掃除をする、自分の洗濯物は片付ける、そういったことが、きちんとできて、初めて自分の部屋を持てる条件が満たされるのです。

 ところが、そういうことはお母さんがやってあげていて、それで勉強はひとりでやれというケースが多いのです。本当は逆。まず、子どもが自分でできることを増やしていくことから始めなければなりません。掃除や片付けが先です。その間は、親の目の届く範囲で勉強させておく、そして自分の世話が自分でできるようになったら、今度は自分で勉強する環境を与えてあげればよいのです。

 受験に関して言えば、ひとりで勉強するというのは大変です。子どもはどうしても、自分でできないことは避ける傾向にあります。ところが、それでは状況が改善しません。したがってやはり、できないことを明確にして、それをできるようにするような、どちらかといえば苦しい勉強をしなければならないのです。

 そういうことを、自分の部屋の片付けもできない子どもができるはずがありませんね。ですから、4年生くらいまでの間は、なるべくいろいろなことを自分でやらせながら、受験勉強は親の目の届くところでやらせていく、そして次第に子どもの勉強もまかせていくという感じがよいのではないかと思うのです。

 中学に入った時、自分で勉強できない子どもは大変かわいそうです。少なくとも、ここまでには自分で勉強できる姿勢が身につけられるように、しつけてあげてください。
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