補足・「日本家屋構造」-3・・・・軸組まわり:柱と横材:の組立てかた(その2)

2012-08-07 15:31:57 | 「日本家屋構造」の紹介
昨日は原爆忌、今日は立秋。
昨日の夕立で、乾ききっていた地面が生き返りました。
草叢では秋の虫たちが鳴いています。そして近くの林では、アブラゼミ、ミンミンゼミとともに鶯が。このあたりでは、鶯は春先からずっと林に居ついています。 

左:二方差(伊藤邸  差鴨居) 右:四方差(筑波一小体育館  梁・桁) いずれも「竿シャチ継(竿は「雇い竿」)」
                                                    [写真更改 9日10.40]

(社)茨城県建築士事務所協会主催の建築設計講座に際し作成したテキストから、軸組まわりの説明の続き:継手や仕口についての部分:を転載します。


今も一般に多く見られるのは④⑤です。これは、「住宅金融公庫」が推奨仕様としていたためと思われます。
金物を添えれば強くなる、という《神話》を広め、「建築基準法」の規定の《神格化》を進めたのが、「住宅金融公庫」仕様であった、と言っていいでしょう。
しかしそこでは、①の説明で触れているように、「追掛大栓継ぎ」と「腰掛鎌継ぎ」を同じ性能のものとして扱っています。
   住宅金融公庫仕様を背後で支えてきたのが、建築研究者ムラです。原子力ムラと構図は同じです。

次は「通し柱」への横材の取付け方のいろいろ。
最初は隅の「通し柱」の場合。

③と④は、一般に多く見かけますが奨められない方法。
これは「住宅金融公庫」仕様はもちろん、現在の教科書「構造用教材」でも紹介されています!!

次は「二方差し」~「四方差し」、つまり、中間の「通し柱」への横材の取付け方。

図はありませんが②③④⑤が今一般に見られる奨められない方法。

続いて、横材同士の仕口と管柱と横材の仕口について。

次に梁と小梁、根太の取付け方の一般。

最後に、伝統的な建築法から学んだ「部材を組んで一体の立体:箱:につくり上げる方策」の概要。

このようにすることで、間違いなくきわめて頑強な架構になります。
しかし、これでは、現行法令では「不適格」、すなわち、数百年健在の多くの重要文化財建造物と同じく、耐震補強を要する建物とされてしまいます!《神話》が「事実」よりも上位にあるからです。

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