所感・・・・ある棟梁を偲ぶ

2010-09-21 07:39:51 | その他


八月の初め、私もお世話になった棟梁が亡くなられた。各界に顔の広い方だった。
葬儀は密葬で行なわれ、いずれ「偲ぶ会」を開くとのことだった。
その「偲ぶ会」の案内が、先日送られてきた。
読んで、私は仰天した。

私は、てっきり、棟梁のかつての仕事場:加工場:かどこかで、そこで永らく棟梁を支えてきた多くの職方も集まって偲ぶ、そんな会の姿を想像していた。
なぜなら、彼らがいなければ棟梁だって仕事ができなかったはずだし、彼らだって棟梁に鍛えられた数々の想い出があり、いろいろ想うことがあるはずだ、と思ったからである。

まったく違っていた。
そういった方がたはきわめて出にくいに違いない、多数の、棟梁に「世話になった」、あるいは棟梁を「利用した」人びとが集まって、新宿の高級ホテルで開くのだそうである。

仰天するのは私の勝手である。ただ、そういう「世界」に私が馴染めないだけのこと。
しかし、私はそこに、今の建築界の縮図を見る思いがした。

私は、遠くで静かに偲びたい旨、返信の葉書に書いて、欠席することにした。

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