私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

ジョン・ピルジャーが亡くなった

2024-01-02 19:10:07 | 日記
山椒魚さんがいち早く知らせてくださいました。痛恨の極みです。冥福を祈ります。

この世では、真実はプロパガンダに、美はショックによって取って代わられてしまいました。『ライ麦畑で捕まえて』のホールデンならば、PHONYと大声で叫ぶところでしょう。

Mr.Tさんからも知らせて頂きました:

藤永茂(2024年1月2日)

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3 コメント

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先程知りました。 (ayako)
2024-01-02 20:53:35
藤永先生、私も先程知り、先生のブログを読みに来ました。皆さまの翻訳を通して、ジョン・ピルジャー氏のレポートから学びました。感謝と、独立して活動する困難から解き放たれ、今は安らかに、と祈ります。
先生のパレスチナの記事などを読み、マイケル・ジャクソンの動画などを観たら、日本の現状、元旦の地震、世界への想いに涙が溢れながらも、このアーティストの素晴らしい才に、少し元気が戻りました。(私もファンなのです。)
(過日)海坊主さんや、桜井様のコメントなども読み、先生のブログに漂う、優しく思慮深い他者の心に触れた思いです。
先生もどうぞご自愛くださいませ、そしてご趣味の時間なども愉しまれます様に。
年頭の祈り (桜井元)
2024-01-07 15:00:25
ジョン・ピルジャー氏のこと、本当に残念でなりません。
あらためて尊敬と感謝そして慰労の気持ちをここに記させていただきます。
氏のみたまの安からならんことを心より祈ります。

ayakoさんのコメントにも心を動かされました。
他者の苦しみや痛みに涙を流せる方を、私は心から尊敬します。
このことは、他のどんなことよりも、人間にとってはるかに大切なことだと感じています。
藤永先生のブログに寄せてきた私の拙いコメントに対しても、過分のお言葉をありがとうございました。温かいお言葉に感謝しております。

ジョン・ピルジャー氏のことを知って、追悼のコメントをと考えておりましたが、なかなか落ち着いてまとめる時間がとれずにいます。折を見て、そのようなコメントを寄せさせて頂きたいと思っております。

藤永先生、読者の皆様、今年もどうぞお元気で、穏やかな一年となりますように。
一人一人の命が大切にされる世界に、平和な世界に向かう年となりますように。
アンドレ・ヴルチェク氏よ、ジョン・ピルジャー氏よ、永遠に (桜井元)
2024-01-10 06:10:15
藤永先生のブログを通して、主流マスコミが歪めたり無視したりする事実を、労を惜しまず勇敢に伝えてくれる記者たちの存在を知り、これまでネットでそうした方々の報告に触れてきました。2014年2月27日付のブログ記事「アメリカがはっきり見える場所」で紹介されたアンドレ・ヴルチェク氏、ジョン・ピルジャー氏もそうした記者ですが、ヴルチェク氏は数年前に、ピルジャー氏はこのほど逝去されてしまいました。本当に残念でなりません。

「アメリカがはっきり見える場所」
https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/269f634a83052066b9fb70d1abccf291/?st=0

ピルジャー氏の「The War on Democracy」のことを藤永先生のブログで初めて知り、視聴して当時たいへん感銘を受けた私は、その後、輸入盤のDVDまで購入しました。

The War on Democracy
https://vimeo.com/16724719

汚いクーデターの裏側、米国の中南米への汚い介入の歴史、米国に後押しされた軍事独裁政権のおぞましさ、ウゴ・チャベスという人物の魅力、チャベスの危機を救ったのが誰か他の傑物などではなく民衆の力そのものだったという真の民主主義が放った力強い希望の光、こうした事実を見事に記録した非常に意義深く感動的なドキュメンタリーでした。

米国の中南米への汚い介入、その象徴的な人物としてのヘンリー・キッシンジャーについては、以下の記事が参考になります。

『南米で「戦争屋」と呼ばれた男 =軍事独裁政権を支持したキッシンジャー』
https://latin-america.jp/archives/60855

米国による汚い介入は、なにも中南米に限られず、このことは藤永先生が長年にわたるブログを通してアジア・アフリカ・中東など世界中の数々の例を丹念に取り上げて解説してくださいましたが、東欧のウクライナで起きてしまった悲劇の背景にも、そうした汚い介入があったようです。このことを、ピルジャー氏のように見事なドキュメンタリー作品に仕上げて示してくれたのが、オリバー・ストーン氏の「Ukraine on Fire」でした。

映画『ウクライナ・オン・ファイアー』(英題:UKRAINE ON FIRE)
花崎哲さん(憲法を考える映画の会)解説
https://www.jicl.jp/articles/cinema_20220516.html

ウクライナ・オン・ファイヤー 日本語字幕(字幕改正版)
https://www.youtube.com/watch?v=4U_IzVh_KDs

藤永先生は以前、「現代アメリカの五人の悪女」というブログ記事を連載されましたが、このストーン氏のドキュメンタリーに登場するビクトリア・ヌーランドも、間違いなくそうした現代アメリカの悪女の1人に入るでしょう。

現代アメリカの五人の悪女(1)
https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/428b04c02e7dee1706975f7be3196c3f

現代アメリカの五人の悪女(2)
https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/0f370f501ad77cee6dea14cd7e8829d5

現代アメリカの五人の悪女(3)
https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/454f5ca20bbd725ae4032f0d4ba7cca6

ピルジャー氏とヴルチェク氏は多くの労作を残されましたが、次の二作品も、あらためて注目したいものです。一つはピルジャー氏の「Stealing A Nation」、もう一つはヴルチェク氏の「Oceania」です。

ピルジャー氏の「Stealing A Nation」は、以下でご覧になれます。

Stealing A Nation
https://johnpilger.com/videos/stealing-a-nation

映像には、何不自由ない豊かな暮らしを送れていたインド洋チャゴス諸島の島民に対して、英国と米国が裏で取り引きをし、英国が自国領として島を接収し、島民を暴力と詐術を使い、遥か遠くアフリカ東岸の島に追放、その後に米国が軍事基地(対アフガニスタン攻撃、イラク攻撃の拠点となったディエゴ・ガルシア)を建設していったという許しがたい経緯が描かれています。

追放の際には、島民たちの大切なペットの犬が集められ、米軍車両の排ガスで一斉に殺されたそうです。また、追放の際に乗せられた船では、馬が甲板に上げられた一方で、島民たちは子供も含め、肥料用の鳥の糞が積まれた船倉に押し込まれたそうです。あまりに身勝手・理不尽な英米による島の強奪、島民の追放に加え、その手段もあまりに冷酷・非道であり、かつての奴隷船を想起させるような相手を同じ人間とみなさないひどい人種偏見・差別意識に満ちた所業です。

追放された島民を待っていた悲惨は壮絶なものでした(島民に与えられたのは、水も電気も窓も屋根もない廃屋のみで、貧困と絶望のなか、人々は心身を蝕まれ、自ら命を絶つ者も出たそうです)。英国のひどい仕打ちはそれだけではありません。その後、補償金を渡すのに必要だと偽り、島への帰還権を放棄する書面に拇印を押させた騙し討ちの手法にしても、のちに公文書で明らかになった、外務省が練り、首相まで了承したという、「そこに島民などもともといなかった」という国際社会向けの国家ぐるみの大ウソにしても、また、エリザベス女王の命令までをも使って島民の帰還を阻止しようとした英国政府の策動にしても、ことごとく卑劣なやり口の連続でした。

チャゴス諸島の島民の悲劇について、ピルジャー氏は、映像だけでなく、以下のような文章も記しています。

The world war on democracy
https://johnpilger.com/articles/the-world-war-on-democracy

この文章の日本語訳については、藤永先生が常々高く評価されている「マスコミに載らない海外記事」さんの以下の翻訳をご参照ください。これは現在の世界を知るうえで必読の内容です。

民主主義に対する世界戦争
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-3846.html

ピルジャー氏のこの文章とその日本語訳について、藤永先生は2016年6月15日付のブログ記事「ノーマン・フィンケルスタイン(シュティーン)」の中でご紹介くださっていました。藤永先生のこの記事は、イスラエルのパレスチナへの非道が続くいま、あらためて多くの方々に再読して頂きたいものです。

ノーマン・フィンケルスタイン(シュティーン)
https://blog.goo.ne.jp/goo1818sigeru/e/9ad09e832acf0fcd2bac800a36ed4bf7

ところで、ピルジャー氏のこうした映像や文章に接し、日本人の一人として想起するのは「沖縄」のことでした。米国が軍事基地を作るために「銃剣とブルドーザー」で、慣れ親しんだ土地、生活の場を追われ、いまなお、反対の声を踏みにじられ、かけがえのない美しい自然を破壊され続ける沖縄の人々のことでした。

「銃剣とブルドーザー」(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%83%E5%89%A3%E3%81%A8%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC

海鳴りの島から(目取真俊氏のブログ)
https://blog.goo.ne.jp/awamori777

(続く)

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