熟年の手習い

熟年老い易くチェロなり難し

‘超絶のチェリスト’コンサート

2008年05月18日 | コンサート
この芸文ホールの支配人のお話では、新進気鋭の演奏家を紹介するのも大きな使命とか。
そういえば、ケラスさんから始まって、古川さん、石坂さん、ミュラー=ショットさん、若手の演奏をずいぶん楽しませていただき、ありがたいことです。

今回、弱冠31才。ガブリエル・リプキン氏

ホームページがファッションブランドみたいにスタイリッシュ。
(超絶技巧も聞こえてきますよ)
ちなみにステージのファッションは、ドルマンスリーブのカジュアルなカットソーに、
ボトムは脇線にサテンテープのパンツ。
いたって地味。

演奏はマッチョ。
威勢が良くて、パワフル。
これだけ弾くのって、やっぱり大汗仕事ですよね。

音色は300年前の楽器で、苦みばしっているけど、高音はクリスタルのよう。
テクニックがスゴイらしいのですが、ワタシにはよくわかりません。
個人的には、もっと繊細な、やっぱり細部に‘神さん’がいる演奏が好き。
切り込むような鋭い演奏と音が印象に残っています。

野心的、革新的にチェロ道を極めようとしている、ちょっとお茶目なところがご愛嬌な青年でした。

コンサート開始前、最初にリプキンさん特製であろう3脚スツール登場。
脚の1本から、エンドピンストッパーの棒が延びている。

チェロには黒い胸当てがぶら下がっていたけど、周囲レースのトリミングあり。
なんかきゅっと引き締まった、いかにもお値打ちのチェロ。
びっくりしたのはエンドピンにアールがついていること!収納できないと思う。
スツールの中心から床に垂線を下ろしたA地点から、
エンドピンの着地点B地点までを半径とした円の弧の一部がその曲線であ~る。
違うかな?

ABを底辺に背骨、チェロの直角三角形が、非常にバランスがよいようです。
全曲、すべて定位置です。
演奏家が曲中、エンドピンを操作するのもよく見ますけど違います。

興に乗ったら、両足が浮いて動き出す。
足を上げて自転車を乗るみたい。

それから、開放弦の時、左手を弓の先に添えてましたね。
超ビギナーで、これさせられますね。
すごく大きな音でますから。

調弦はほとんど聞こえないように行う方でした。

ベートーベンチェロソナタ4番初めて聴きました。
なんだか、瞑想の世界から急に癇癪を起こすベートーベン。

シューマンの曲は、題名は長くなっていますが、いつものアダージョとアレグロでした。
このブログで検索したら、こんなに聴いてます。

大阪センチュリー高橋さん
ベルンハルト・直樹・へーデンボルクさん
石坂団十郎さん
ダニエル・ミュラー=ショットさん
ペレーニさん
西谷牧人さん
遠藤真理さん

その時のお味は、ほとんど忘れておりますね。←あかんやん!
この曲にウルッとなったとか書いてるのにね。

好きな曲、ブラームス・ソナタ2番ですが、イッサーリスのCDの印象が強すぎて、荒削りに思いました。
カーリーヘアは似ているんですけど。

■出演者
チェロ ガブリエル・リプキン
ピアノ ロマン・ザスラフスキー


■プログラム
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番より プレリュード
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ 第4番
ファリャ:スペイン民謡組曲

休憩

シューマン/リプキン編曲:ピアノとホルンのためのアダージョとアレグロ
ブラームス:チェロ・ソナタ 第2番

アンコール

スクリャービン・ロマンス 出版されてない短い曲。
ブリテン ピッツィカートばかりのソナタ

於・芸文小ホール