最近、コロナワクチン液の異物混入が問題になっている、いやマスメディアが大騒ぎしている。モデルナ社製のワクチンに白い粒子状の濁りが見えるという。確かに医薬品や注射液に異物があってそれを体内に取り込むとすると、”危険”を感じる。だが、それは人体の生命・健康に障害をもたらすものなのかどうか、きちんとした検証をして論評すべきであろう。メディアでは「危険なワクチンの異物混入」と言う論調で、ワクチン離れを助長こそすれ、接種を促す報道にはならない。
コロナ担当大臣の談話では異物の濁りは磁石に反応し(=くっ付く)、金属成分だという。一方、ワクチン接種でどれくらいの量が体に取り込まれるのであろうか。ワクチン接種は1回0.3ml、血管ではなく筋肉注射である。異物濃度が1%として2回の接種で6mg。これが筋肉に注入されたとして生命・健康に有害な金属って一体何があるだろうか?
勿論、異物の直接の危険性より「生命に直結する医薬品等の製造管理には万々が一のミスも許されない」という諫言ではあろうと思うが、ワクチンに過剰な不安を煽る報道は如何なるものかと思う。
もう一つコロナとメディア。
東京都が渋谷区立勤労福祉会館でコロナワクチンが予約なしで接種できる若者向け接種会場を開設すると発表した。期間は27日から10月8日までで、対象は16~39歳の都内在住、在勤・在学の人としている。
その初日の27日は朝5時ごろから接種希望者が並び始めて、7時半には200mにも及んだという。接種時間は12時から、1日あたり約200人としており、都の担当者は想定外の数の多さに驚いて、急きょ抽選券を配布して長蛇の列を解消したそうだ。テレビが現場取材した若者が言う。「コロナ感染が恐い。早くワクチン接種したかった」「有給休暇を取って、朝早く家を出て来たけれど、7時ごろ着いたらもういっぱい並んでいた」等々。
これはその日の昼のニュースを見て知ったわけだが、メディアは早速「若者もコロナ感染に危機感を抱いており、ワクチン接種をしたいのだ」というトーンで報じている。これまでは若者たちが路上飲みや深夜たむろするのを「感染防止に危機感がなく、感染拡大の温床となっている」みたいに報道していたのに・・・。手の平返しというか、一つ目の話題と同じように深い考察もない表層的で安直な報道というべきだろうか。