洗濯した雑巾を干して畳む時に「Beijing 2008」という文字と五輪マークの刺繍が見えた。大掃除で前日窓ガラス拭き用に自分が使ったもので、それは2008年の北京オリンピックの公式記念グッズであった。同年私が北京で日本語教師を務めた時に買って帰ったものが今や雑巾に身をやつしていたのだ。教え子の一人の親が北京中心の商店街に五輪記念品の公認ショップを開いていて、その店を覗きに行った時に買ったのだが、実は帰国する時にその親から大変なレア品をいただいている。それは五輪開催100日前から10日毎に発行されたカウントダウン・メダルで、各回2008個(2008年に因んだ数)しか発行されていないメダルの一揃い(10個)という希少品であった。ところがそのメダルは帰国後しばらくして行く方が分からなくなってしまった。今でも実に残念な思いをしている。そんなことを思い出させた雑巾であった。
過重労働や過労死などが問題になり、働き方のあり方が議論されている中で朝日新聞が小さな欄で伝えた記事が目に止まった。大分・別府温泉の杉乃井ホテルが10連休の休みを取るというのだ。年末年始の繁忙期が明けた来年1月9~18日を休館すると。杉乃井ホテルと言えば老舗で別府一の人気ホテル。私も家族で大分へ行く時には利用したホテルなので注目したわけなのだが、そこが2010年から5日連続の休館を実施していたのだとか。同ホテルはかつて労使紛争がもとで倒産し、外から経営陣を呼んで再建した経緯がある。そうしたことがあって従業員の働き方への配慮があるのだろうと想像するのである。
いよいよ今年も残すところあと一日。今朝大分を発ち正月を我が家で過ごす三男夫婦と孫二人を羽田で出迎えた。空港出口で孫の顔が見えた途端、家内の相好が崩れる。その足で揃って私の実家(足立区)へ挨拶に出向いた。間もなく98歳になる母も息災にて正月を迎えることが出来そうで何よりである。その母は15番目と17番目のひ孫の顔を見て嬉しそうに目を細めていた。二人の孫には長旅は疲れただろうが、我が家に着きアフタヌーン・ティーで一息ついて年越しモードに入った。
残り少なくなった平成時代、良い一年をお迎えください。