フォレスタの散歩道(パート4へ) 東日本大震災の20日前、2011年2月にスタートしたこのブログも1000回を超えた

概ね2~3日毎の更新、1回に3題の記事をめどとして来たが、以後間隔や記事の数などに捉われずに更新することとしたい。

梅雨入り:地表に目を遣ると

2011-05-30 22:46:21 | 季節の便り

      
                           水溜りに映る新緑

   このところ天気がぐずつき気味で、散歩に出られない日が続いていたが、関東地方は例年より2週間前後も早い梅雨入りとなった。
  雨の合間を縫って井の頭公園を歩いてみると、所々にできた水溜りに映る新緑がとても目に優しかった。

  また、折りからの強い風にあおられた落花落葉が、地表に思いもかけぬ興趣を添えていた。  普段地上に落ちた花や葉など余り目に留めぬものだが、今日は落花落葉にカメラを向けてみた。

       
 上左は緋色のジュウタンを敷いたようなハコネウツギ(箱根空木)。右は遊歩道に落ちた真っ白なウツギの花。


        
   余り気がつかないものだが常緑のアカマツ(赤松)でも葉は抜け代わる。右は珍しい葉の形をしたアカガシワ(赤柏)。
  

        
  これはイイギリ(飯桐)の花。イイギリは高木なのでなかな花は見られないが、地表に落ちて眞近に見ることができた。
   右は
トウカエデ(唐楓)の葉と薄緑した翼果(翼の形をした実)である。


      
  イヌシデ(犬四手)の葉と果穂(やはり薄緑の部分)。ちょっとコンパクトカメラの写真では限界があって何かよく分からない。右はヒノキ(桧)に似たサワラの葉。
  ヒノキとサワラは樹形も樹皮も似通っていて区別しにくいが、葉をよく見ると識別できる。

 

 

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井の頭公園の5月(4)

2011-05-24 19:08:46 | 季節の便り

   九州南部では梅雨入りしたそうである。
  東京地方もこのところ天候が不順である。東京で28度を記録した日、関東では30度超えの真夏日になった地方もあった。
  22日の日曜の午後は、27度あった気温が降り出した雨とともに一気に11度も下がった。
  そんな5月の我が散歩道の花の続きである。

                 
      ムラサキカタバミ(紫片喰)         ムラサキツメクサ(紫詰草)

  「ムラサキ」のつく花が2つ並んだが、いずれもどこにでも見られる「雑草」の花である。
  植物研究者でもあった昭和天皇が「雑草と言う名の植物はない。一つ一つにはちゃんとした名前があるのだ」と仰られたようだが、私もこの言葉を噛みしめて路傍や草藪の植物の名前を少しずつ覚えるようになってから「雑草」にも愛着がわいて来た。
    

           
        コヒルガオ(小昼顔)              ノアザミ(野薊)

  ヒルガオより小ぶりなコヒルガオ。
   アザミの仲間は極めて多く、日本だけでも100種くらいあるそうだが、春咲くものはノアザミを除けば少ない。

      
    トウグミ(唐茱)          クワ(桑)          ヘビイチゴ(蛇苺)

   最後に草木の実を。トウグミはグミ(茱)より実が大ぶりである。
  クワはヤマグワ(山桑)とも呼ばれるが、この写真は若木のせいか実がどうも小さい。しかし葉や実の形状から「クワ」だろうと思い込んでいる。
  ヘビイチゴは毒があるという俗説があり、ドクイチゴとも呼ばれるが実は毒はないのである。

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井の頭公園の5月(3)

2011-05-23 18:15:13 | 季節の便り

  この時期は次々と季節の花が咲いては散り、また実をつける。 
  道すがらに花を観察している公園ウォーカーには、その移ろいを見逃すまいとなかなかに気の落ち着かない時期でもあるのだ。

          

  今、井の頭公園で一番目につくのが満開のヤマボウシ(山法師)とエゴノキである。
  ヤマボウシは既に登場したので割愛するとして、上がエゴノキの花である。左右の写真は色調が違うが、これは薄暮の中でのフラッシュの有無による。実際はこの中間くらいの色である。


    

  上は左と中がタニウツギ(谷空木)、右はハコネウツギ(箱根空木)。
 タニウツギの花は薄紅色なのに対してハコネウツギは白から紅色に変化するので二色の花が同時に見られる。  
 
 下はウツギである。実は上の二つと下のウツギは親戚ではない。
  タニウツギとハコネウツギはスイカズラ科の植物で、下のウツギはユキノシタ科。
  ”♪♪ 卯の花の匂う垣根に、ホトトギス早も来鳴きて・・・”  と唱歌『夏は来ぬ』で歌われる「卯の花」は下のウツギのことである。 

         

  続いて下は左がガマズミ、右はマユミ(真弓)
  ガマズミは一般には余り馴染みがないかも知れないが、井の頭公園では数か所で見かける。マユミの花は実に幽(かそ)けく目立たない小さな花であるが、その幽けさに趣を感じる人も少なくない。また小さく愛らしい実は秋には橙~赤色に熟して目を引くようになる。
  材はしなやかで、これで弓を作ったということからその名がついたといわれる。   

           

 

 

 

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植物園 5月の花形たち(2)

2011-05-20 09:34:01 | 季節の便り

            
      平日にもかかわらず神代植物園のバラフェスタは大勢の人出で賑わっていた

バラ(薔薇)

  神代植物園には四季それぞれの趣があり、一年を通しての見所があるが、中でも最大のハイライトがバラではないかと思う。
  サッカー競技場一面ほどの広さの洋式庭園に作られているバラ園には約300種、5500株のバラが植えられているという。
   現在丁度見頃のピークを迎えて「バラフェスタ」が開催され、コンサートなどの催しも行われている。
 
  実はバラはこの時期だけが見頃ではなく、花を切り落としてやると返り咲きをするので秋にもう一度バラフェスタが催される。
  一年中咲いているわけではないが、一季咲きに対して「四季咲き」と呼ばれる。
  公園側は5000株にも及ぶバラが5月と10月の年2回のフェスタ期間に一斉に咲くように、丹精込めて手入れをしているのである。 

        

      

 
シャクヤク(芍薬)

   前回登場のボタン(牡丹)が終わって、代わりにシャクヤクが満開を迎えている。
   ボタンは「百花の王」、シャクヤクは「花の宰相」と呼ばれるほど、両者は花の中でもその美しさ、華麗さが称えられている。
 
  ボタンとシャクヤクは背丈といい、花の色・形といい、ちょっと見ただけでは区別がつかないほど似ている。 実はボタンが木本植物なのに対してシャクヤクは草本植物という決定的な違いがあるのだが、茎などを見てもそれは分からない。
 まあざっと一番先の葉をよく見て、深く3裂していればボタン、そうでなければシャクヤクと言ってよさそうだ
  
  シャクヤクはその漢名の通り消炎、鎮痛作用のある生薬なのだそうだ。
   話は逸れるが、「立てば芍薬、座れば牡丹。歩く姿は百合の花」は美人を形容する言葉としてよく知られている。

   

      

 
トチノキ(栃の木)ベニバナトチノキ(紅花栃の木)

  トチノキは大木になり、昔はこの木で臼を作ったのそうである。
  花は円錐形の花序を成して咲き、花序はほぼ直立する。
   ベニバナトチノキはよくヨーロッパなどで街路樹に使われるセイヨウトチノキ(マロニエ)と勘違いする人がいるけれど、これはセイヨウトチノキとアカバナアメリカトチノキ(長ったらしい名前!)との交雑種と言われる。花は鮮紅色をしていて名前の由来がよく分る。
(写真下左がトチノキ、中と右がベニバナトチノキ) 

    

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井の頭公園の5月(2)

2011-05-18 23:29:30 | 季節の便り

(前号の続き)
  
  ハルジオン(春紫苑)に交じってヒメジョオン(姫女苑)が咲き出した。
   両者は至る所に咲く同じキク科の草花で、名前だけでなく姿がよく似ていて見分けがつきにくい。 花が開くまえの蕾がうな垂れ、茎が中空なのが前者、蕾がうな垂れず茎の髄が詰まっているのが後者である。
  両者とも花の咲く期間が長いが、最盛期はハルジオンが4月~5月、ヒメジョオンが5月~7月頃である。

       ヒメジョオン(姫女苑) 


  梅林の下草となっている野草の中で、ひと際目だって背が高く艶やかにアヤメが咲いている。アヤメは花の形などが前号に登場したハナショウブ(花菖蒲)やカキツバタ(杜若)に似ているが、最も乾燥したところを好むのがアヤメである。

           アヤメ  


   下左はヤマブキソウ(山吹草)。ヤマブキ(山吹)の花に似ているからつけられた名前だが、ヤマブキはバラ科の木本植物、このヤマブキソウはケシ科の草本植物で両者の間には何の関係もない。
   中央はトキワツユクサ(常磐露草)。樹木の日陰になっているような路傍に群生しているが、花が小さく目立たない。花弁が3枚の珍しい形をしており、5月から7月頃まで息長く咲いている。
   そして右はムサシノキスゲ。ニッコウキスゲなどで知られるユリ科のユスゲの仲間である。    調べてみると自生しているのは府中市の浅間山(せんげんやま:標高80米)のみで、井の頭公園こは移植されたようだ。

         
  ヤマブキソウ(山吹草)    トキワツユクサ(常磐露草)   ムサシノキスゲ

 
      カルミヤ  

  最後、上はカルミヤで別名アメリカシャクナゲと呼ばれる。シャクナゲ(石楠花)とはちょっと似ていないが、やはりツツジ科の花で100年ほど前に日本に渡来したそうだ。
   淡紅色の小ぶりな花で、満開になると大変美しく私の好きな花の一つである。

 

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