今朝(29日)の朝日新聞社会面には2件の賄賂に関する記事が並んでいた。一つは吉川(元)農林水産大臣が大手の鶏卵会社から賄賂を受け取っていたというものである。贈賄側の鶏卵A社の(前)代表が被告になっている公判で(前)代表は500万円の贈賄を認めたという記事だ。家畜の衛生向上を図るという国際機関の理念に反対して日本の鶏卵業界の利益を守るように農水大臣に要請するための金であったと。
勿論吉川(元)大臣はシラを切っている。この件とは別にA社(前)代表は延べ11回、合計1300万円を(元)大臣に渡した疑いもあるという。ここでカッコ書きしているのは、あくまで当時はその職にあったことを私が強調したいためであるが、民間業者と政治家の間にはその程度の贈収賄はザラにあることだろうと、国民はみんな思っている。
ところが2つ目の事案には驚く。日本を代表する大手のゼネコンK社の(元)営業部長が下請け業者から受け取った「謝礼金」の内2億2千万円の所得を申告せず、8300万円を脱税したとして検察から告発されたというものである。部長クラスが下請け業者から何億円もの裏金を受け取っていただけでなく、キャバクラで1回当り百万円を超える豪遊をしていたことも載っている。その”豪遊”の姿として「1本数十万円のワインを次々注文し・・・」と書かれてある。いやあ凄じいねえ。下請けからこれだけ貢がせるゼネコンというのはどれだけ儲けるものだろうか。しかも、これはほとんど公共事業のようなのだ。国民の税金が形を変えてゼネコン幹部の豪遊に使われているわけなんだな。
これもまた購読紙の記事から。一面トップに、これから連載する『中国共産党100年』という特集の第一回目を載せている。中国共産党の結党100年の式典を控えて、コロナ・ワクチン工場の造成が不眠不休の工事で記念式典に間に合わせるという。一党独裁・中央集権政治の成功を世界にアピールする狙いのようだ。「こうした中国の誇る”成功”は、多くの犠牲や忍耐の上に成り立っている」ことを今後の特集記事で明かして行くようであるが、それはともかく今回記事のワクチン工場は北京市郊外の経済開発区で建設されているとあった。
なんと、私が最初に中国で日本語教師を務めて滞在した地区である。日本語教師を務めたのは2008年。北京オリンピックのあった年で、直近では2年前に訪ねているがもう緑地空間は余りないほど都市化している。コロナ感染がなければ今年6月に行く予定にしていたところだった。
私は中国で新幹線や都市道路がすさまじい速さで造成されるのを目にしているが、それに比べれば人家の立ち退きも何もない(騒音や粉塵などお構いなしの)工場建設はたやすいことである。
写真は2008年滞在時の北京経済開発区の様子。左から日本語教師を務めた学校、学校の窓から眺めた新興のマンション群、住宅地区の区画された道路(街路樹の白色は冬の到来に備えて虫除け剤を塗布したもの)