このブログは2011年2月に開設初投稿して以来通算600号になる。昨年の8月11日、私の70歳の誕生日に丁度500号となり、それを機にそれまでの連載「今日の花」シリーズを現在の「日本語教師の中国滞在記」に変えた。 「今日の花」は季節折々の花や光景を掲載した。季節の花は”生もの”である。花の写真は撮ってすぐアップしないと情報の鮮度がなくなってしまう。既にしぼんだり枯れてしまたてものを載せるのは最低だ。また百花繚乱の時期は色々な花々が一斉に咲くのでなるべくたくさんを載せたいが、それらを一遍には載せ切れない。ということで「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき・・・」の作家林芙美子の言葉ではないけれど、季節の花を旬の時に載せる苦労があった。また真夏や特に真冬の花のネタ枯れの季節も悩ましかった。
それに比べ現在の[日本語教師の中国滞在記] の方は話題は過去にあったことなので、旬や時季とは関係なく書ける。概ね時系列的に取り上げているのだが話題の関連であちこちすることもある。文字だけ読んでいても退屈だし百聞はなんとかやらの言葉もあるので、必ず写真を付けることにしているが、書きたい話題やエピソードがあってもそれに伴う写真がないことが結構多く、それが難点である。写真は当時ブログなど全く想定せずに撮っていたものだから・・・。従って写真のない話題は割愛するか、他の写真の中から関連付けられるものがあったらそれを転用している。記録などなくても大方は思い出せるが、昔から使っている日記欄付きの手帳の4行日誌を見返していると当時のことが鮮明に蘇えってくる。今など数日前のことさえ思い出せないことが多いのに・・・。
28日の新聞に戦後初の国産旅客機である「YS11」のフライトが実現した、とあった。スクラップになる寸前のところを買い取って整備した会社があったのだそうだ。国産開発のターボプロップ・エンジンのプロペラ機で離着陸距离が短くて済むため、小さなローカル空港に向いていたのだが滑走路の延長やジェット旅客機の大型化が進んで、9年前に第一線から退いていた。私はYS11に3度だけ乗ったことがある。一度は大学2年の夏休みに一人で東北地方を旅行した際、国鉄(当時)の周遊券の期限が過ぎてしまい青森の三沢空港から東京に帰った時。YS11は飛行高度が低いため、松島や磐梯山が絵葉書の如く実にきれいにはっきり見えたのが忘れられない。次jの搭乗は勤務地の大分から自分の結婚式で東京に帰った時(往復)である。
YS11機は今後イベントなどでフライト披露があるようだ。
[日本語教師の中国滞在記] 山東省編#58―霊峰泰山に登る
中国では陰暦の5月5日が端午節の祝日で、この年は6月16日の水曜日であったが経貿学院では授業の振り替えなどで13日(日曜)から4連休になった。宿舎の常連来訪者であるケイ・ショウロとヨウ・ハイジエの2人からこの連休に泰山の登山に誘われていた。中国には五名山といわれる道教の聖地があって 、その一つである泰山は世界遺産にも登録されている最高位の霊山と崇敬されている。中国人にとって泰山登山は江戸時代の金毘羅山参り、現在の富士登山のようなものである。2千数百年の歴史の中で歴代皇帝がこの山頂で即位の儀式を行ったとされ、山頂およびそれに至る参道には夥しい数の歴史的建造物がある。その泰山が我が滞在している山東省にあるのだ。かなりハードだと聞いていたが登ってみたかった。ガイドブックによると標高は1545m、大した高さではない。途中までバスもあるし、そこから山頂近くまでのロープウェイもある。しかしガイドブックには「昔からの参道には名所旧跡や絶景地があり、ぜひ自分の足で登ってほしい」とあった。全長9kmの参道に7412段の石段があるという。
泰山は普通夜間に登り、日の出のご来光を拝むものである。6月とはいえ深夜・早朝の山頂は相当冷え込むというので、私はこのためにリュックザックを買い防寒衣を詰めて、13日の午後ケイさん、ヨウさんの2人と学校を出発した。因みに2人とも初めて登るのだ。濰坊駅から列車で麓の泰安市に行き、夕食をした後、タクシーで参道入口まで行っていよいよ登山開始。午後9時頃だろうか。参道は幅が7~8mで全行程ほとんど石畳と石段。9kmもの道をよくこれほど整えたものだと感嘆する。しかしこの石段がきついきつい。何度も休憩を取り、喘ぎながらひたすら登った。深夜にかけても夥しい数の登山者が我々を追い越すように登って行く。夜中でも所々にある茶店が開いていてその灯りで元気をもらう。行程の半ば過ぎにある「中天門」という所が広い休憩基地になっており、茶店や宿泊施設もある。ここから山頂へのロープウェイも出ているが夜間は勿論休転である。大勢の登山者がここでドタッとして休憩を取り、山頂での日の出を計算してまた出発をして行く。我々もバテバテの体をここで休め、気力を取り直して山頂を目指した。そして5時ちょっと前、ようようにして泰山の「山頂付近」にたどり着いた。
3人で登り始めた午後9時過ぎ 真夜中にひたすら登る人・人・人 夜明け前山頂付近に立つ